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群馬大病院の死亡事故、最終報告書から学ぶこと

JBpress 10/3(月) 6:00配信

 去る7月30日、群馬大学医学部付属病院は、腹腔鏡手術に伴う死亡事故問題に対して、医療事故調査委員会の最終報告書を公表しました。

 2014年11月、群馬大学医学部付属病院で同じ執刀医による腹腔鏡手術で8人、開腹手術で10人の患者が、術後100日以内に死亡していたことが報道されました。このスクープをきっかけに膨大な時間を費やして行われた原因究明調査は、これで一旦終了となりました。

 当初、この一連の事故は、1人の医師による手術に伴って発生したと報道されたことで、「資質を欠いた医師個人の問題」と理解していた方も多いと思います。

 しかし最終報告書では、医師の資質の問題ではなく、“システム上の問題の方が大きかった“という結論を導き出しています。

 一番分かりやすい部分で言うと、事故が続いたあとも再発防止策が取られることなく手術が継続して行われていたという点です。

 つまり、医師個人の問題もさることながら、見て見ぬふりをした人が多かったということです。対応策をとらなかった病院のシステム上の問題が大きいという指摘はうなずけるものがあります。

 築地市場移転問題などでも見られるように、事故や問題が起きた際に、マスコミは誰が悪いのかと犯人探しに奔走します。しかし、再発を防ぐために重要なのは、個人を責めることではなく、同様の問題が起きないようにシステムを改善することのはずです。

■ 新規手術導入の際の指導体制に不備があった

 肝臓の腹腔鏡手術は、胃や大腸の腹腔鏡手術に比較して難易度が高いため、全国平均でも手術の死亡率が2%と高いものとなっています。しかし、群馬大学の腹腔鏡手術の死亡率は8%と全国平均に比べて4倍だったことが報道されました。そのため、「医師個人の技量が一番の問題」というイメージが定着してしまったようです。

 調査報告書には、手術の症例数の増加に伴う死亡率の推移が記載されています。それによると、当初の14例目までの死亡率が28%、40例目までの死亡率が15%、その後、41例目から103例目までの死亡率は3%(全症例累計で7.8%)と減っていきます。つまり、経験を積むことにより死亡率が低下する“ラーニングカーブ”が認められています。

 新規手術を導入した初期に死亡率が高く、その後、死亡率が減少していく“ラーニングカーブ”が認められるということは、「新規手術導入の際の指導体制や管理体制が不十分であった」ことの結果だと言うことができます。

 当初の段階で、もっと十分な経験を持った医師の指導のもとで施行するようにするべきでしたし、数例の事故が起きた段階で検討会を開催して、事故の発生率を下げるべきでした。その対応を取らなかった体制が問題なのです。

■ 労働量の管理ができていなかった管理部門

 報告書では、手術件数と労働時間についての検証もなされています。

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最終更新:10/3(月) 6:00

JBpress

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