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不動産に貸し込んでいる銀行はバブル崩壊に学んでいないのか? (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 10/4(火) 5:37配信

80年代後半のバブルで不動産担保融資を著増させた銀行は、バブル崩壊後に巨額の損失を被りました。しかし昨今、ふたたび不動産向け融資を著増させていて、不動産業向け設備資金新規貸出額も不動産業向け貸出残高もバブル期を上回っています。あれほど高い授業料を支払ったのに、何も学ばなかったのでしょうか?今回は、銀行の不動産貸出について考えてみましょう。

■上がれば借り手の勝ち、下がれば銀行の損

今がバブルか否か、見極めるのは困難です。都心部の不動産については、バブルであると感じている人も少なくないようですが、一方で「諸外国の不動産と比べれば東京の不動産は安すぎるから、まだ値上がりするに違いない」と言われれば、そんな気もしてきます。

そうした時に、借金をして不動産を買うこと自体は、特に問題ではありません。株式会社を設立して会社名義で借金をするならば、更に良いでしょう。もしも今がバブルで無いならば、このまま不動産価格が上昇し、莫大な利益が得られるかも知れません。

もしも今がバブルであって、バブル崩壊によって不動産価格が下落したら、借金が返せなくなりますが、株式会社の株主は「有限責任」ですから、返せない部分は踏み倒しましょう。儲かる可能性は無限大ですが、損失は最大でも出資額までなのです。損を被るのは銀行です。つまり、これは「上がれば自分の儲け、下がれば銀行の損」という賭けなのです。

同じ事を銀行側から見てみましょう。不動産価格が上昇を続けても、得られるのは金利収入だけですが、不動産価格が下がれば貸出元本を丸ごと損する可能性さえあるのです。「上がれば客の儲け、下がれば自分の損」という賭けなのです。

そんな不利な賭けを、なぜ銀行は熱心に行うのでしょうか?いくつかの可能性が考えられます。

■バブル期の失敗に学んでいない?
銀行員は定年が早い(50歳代前半で子会社などに出向する人が多い)ので、バブル崩壊後の不良債権地獄を知らない行員が多いでしょう。百聞は一見に如かずですから、経験していない行員にとっては、バブル期の失敗は歴史であって、「身に染みて解っている」わけではない筈です。

そんな時に、「預金が集って仕方ない。日銀に預ければマイナス金利になるし、国債を買ってもマイナス利回りだ。貸出を増やしたいが、顧客に資金需要が無い」となれば、「不動産融資に注力しよう」となっても不思議はありません。

かつて、「バブルが30年ごとに繰り返すのは、痛い目に遭った人が引退するからだ」と言われた事があります。今回も、そうした事かも知れません。

もしかすると、個々人の問題ではなく、組織の問題として、銀行の人事評価システムがバブル前から改善していないのかも知れません。そうだとすると、バブルの頃から銀行にいた人々も、バブルに踊るインセンティブを持ちかねません。

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最終更新:10/4(火) 5:37

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