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部下の「やりたい仕事」病、あなたはどう対処する? 正解は? ~お子様上司の時代

NIKKEI STYLE 10/4(火) 16:40配信

ひとりひとりの社員に人生があり、職場はその重要な舞台となっている

 満足・充実も、不満・虚しさも、きわめて主観的なものだ。同じような仕事をしていても、充実している人もいれば、不満たらたらの人もいる。その理由は、本人にもよくわからなかったりする。

 普段は意識化されていなくても、語ることで意識化される。気づきが得られる。

 やる気になれないケース、成果が出ないケースなど、本人の思いに耳を傾けることで、問題点や改善の糸口が見えてくる。

 たとえば、対話をしているうちに、本人の欲求・価値観と組織の求める基準との折り合いをつけることができないでいるところに問題の根っこがあるとわかることがある。本人の欲求・価値観=生き方に照らして働き方を決めているわけだが、それが組織の求める基準とマッチしない。そのような場合、ナラティブ・コーチングを通して本人が折り合いをつけるのをサポートしていく必要がある。仕事のもつ意味に気づかせるための対話である。

 「やりたいことをしよう」「やりたいことを見つけよう」などと言って、やりたいこと志向を煽るメッセージが世にあふれている。その弊害については、拙著『「やりたい仕事」病』で指摘した通りである。

 やりたいこと志向によって、就職の先延ばしの心理が刺激され、フリーターが増える。せっかく就職しても、「こんなはずじゃなかった」といった思いが強まり、早期離職が増える。「自分のやりたいことと違う」といった思いにより、目の前の仕事に没頭できず、仕事力が身につかない。やりたいこと探しに気をとられ、何に対してもやる気になれない。

 やりたいこと志向にとらわれ、自分の仕事に対して「やりたい仕事じゃない」といった思いを抱いているのがあからさまに伝わってくる部下に対しては、気づきを促す対話を仕掛ける必要がある。いろんな視点を持ち出すことで、本人を縛っている固定観念を揺さぶっていく。

 自分を成長させてくれるのは、「やりたい仕事」に限らない。どんな仕事も自分を成長させてくれる。苦手なことをすることで新たな自己開発が進む。そういったことに目を向けさせるような対話を心がける。

 思いがけない発見も、想定外の展開の中でもたらされる。「意外に面白いじゃん」「自分にこんな適性があったんだ」「けっこうこの仕事、自分に向いてるかも」といった思いがけない発見は、だれもが経験するものだ。「やりたい仕事」にこだわりすぎると、そうした思いがけない発見のチャンスを失うことになる。そのことに気づかせるような対話を進めていく。

 どんな仕事でも、真剣に向き合うことによって仕事力がつく。役割遂行能力、段取り力、課題解決能力など、どんな仕事をしてもさまざまな仕事力が向上する。仕事力を高めておけば、いつか配置転換があって今よりもやりがいを感じられる仕事の担当になったとき、力を発揮できるはず。そのように、仕事力を身につけておくことの大切さを実感させるような対話をしていく。

 やりたいことをするなら、だれでもできる。子どもの遊びじゃないのだから、やりたいことだけやってればいいというような働き方は、現実にはあり得ない。仕事をするというのは、一種の試練でもある。より大きな人間に成熟していくために、やりたいことと違っても、たとえ苦手なことであっても、与えられた仕事、目の前の仕事に集中し、きちんとこなせるかどうかが常に試されている。そんな観点もあるのだと気づかせるような対話を行ってみる。

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最終更新:10/4(火) 16:59

NIKKEI STYLE

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