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楽天OP初戦で「よもや」の錦織圭。 第1セットを落とすのも想定内?

webスポルティーバ 10/4(火) 19:30配信

 足もとに飛んできた相手の長いサービスリターンを、ひょいとまたぐように避けると同時に、勝利のときは訪れる――。錦織圭の「楽天ジャパンオープンテニス2016」は、4-6、6-2、6-2の逆転勝利で幕を開けた。

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 第1セットを落としたスコアが示すように、決して楽な試合ではなかったはずだ。2週前のデビスカップでのダブルス出場があったとはいえ、シングルスに限っていえば、全米オープン以来約1カ月ぶりの公式戦。前売りチケットが完売した有明コロシアムは、約1万人のファンからのぼり立つ「錦織勝利への期待感」で満たされていた。

 しかも試合当日の朝には、対戦相手が急きょ変更になるという予期せぬ事態も起きた。その代わった対戦相手とは、ジュニア時代には錦織が背を追う存在だったドナルド・ヤング(アメリカ)。15歳にしてジュニアランキング・ナンバー1に座したかつての”神童”が、思いがけず手にした好機を生かすため、錦織に全力でぶつかってくることは明白だった。

 はたして序盤は、ヤングがコート上を躍動する。通常なら相手を圧する錦織のバックハンドのクロスショットが、サウスポーのヤング相手には、フォアのカウンターの餌食になった。かといって相手のバックサイドを狙っても、少しでもボールが浅いと見るや、ヤングは快足を飛ばして回り込み、得意のフォアを叩き込んでくる。機を見てはネットにも出てくる相手の気迫に押されるように、錦織は終盤でミスを重ねて、第1セットを奪われた。

 試合開始から、40分――。錦織の勝利を願うセンターコートに、「よもや……」の不穏な気配が立ち込める。

 ところが、コートに立つ錦織の胸中に、さほど焦りや不安はなかったという。それは、10代のころからよく知る相手の特性や心の内を、彼が冷静に見定めていたからだろう。

「あのプレーが続くとも思ってなかった」

 試合後に、錦織がさらりと言う。2年半前の全豪オープンで対戦したときと「ほぼ同じ展開」であったことも、そう信じられる判断材料になっていただろう。その全豪の試合でも、序盤のヤングは超攻撃的プレーに終始したが、第2セット以降は失速する。そのような経験も踏まえたうえで、錦織は「もっとトップスピンを使うこと」「深いボールを打ち、自分から左右に振っていくこと」、そして相手のフォアの逆クロスを封じるためにも、「フォアサイドにも振っていくこと」などを心掛けた。

 そうして第2セット以降の彼は、掲げたプランを確実に実行していく。

 一定のペースで打ち合うことはせず、高く弾むショットや、相手を前に釣り出す浅いボールを織り交ぜながら、相手のリズムを狂わせる。またこの日は、サーブが確率・スピードともに高かったことも、ゲームプラン遂行を容易にした。

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最終更新:10/5(水) 15:49

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