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崖っぷち結婚相談所:ついに恋の予感?!幼稚男とのグダグダデートは、まさかの展開に...

東京カレンダー 10/4(火) 5:20配信

典型的な結婚できない女、杏子、32歳。

慶應大学卒業後、丸の内の某外資系金融でセールス職に就き、年収は2,000万円を優に超える。

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美人だがプライドが高くワガママな彼女は、男運が悪く全くモテない。さらにハイスペックゆえ、男が近寄りたくない女ナンバーワンとまで噂されている。

婚活に危機感を持ち始めた杏子は、結婚相談所に登録した。しかし、婚活アドバイザーの直人から痛烈なダメ出しを受けつつも、婚活は難航する。だが、2回目のマッチングは、なんと大成功!段取りの悪い相手に苛立ちながらも、杏子はデートへ向かう...?

「杏子ちゃん、ごめんごめん~。待った?」

正木は17分遅れで、待合せ場所の神楽坂に到着した。シャワーを浴びて乾かしたばかりと見える髪はフワフワと浮いていて、服装はジーンズとTシャツといった、かなりラフなものだ。

―遅刻したうえに、全然気合いが入ってるようには見えないわ...。

杏子は騒々しい駅前で、マノロブラニクのピンヒールで立ちっぱなしで17分も待ったことに、かなり憤慨していた。

「いえ、大丈夫です...。」

しかし、婚活アドバイザーの直人や多くの恋愛本によって、女は安易にキレてはいけないということを学び、杏子は我慢をするという行動を覚えたのだ。

「杏子ちゃん、今日も本当に可愛いね~。」

正木は、ニコニコと無邪気な笑顔を杏子に向ける。杏子は、それに応えるように、同じように笑顔を返してやった。

今日はベージュのノースリーブニットに、フレアスカートを合わせ、シンプルに小ぶりのパールのピアスだけを付けていた。家を出る前にチェックした全身鏡には、これ以上ないほど清楚な自分の姿が映っていたことを思い出す。

杏子は気を取り直し、デートに挑むことにした。

欠点ばかりが気になる初デート。それでも我慢を重ねるが...?

正木に連れて来られた『イル スカンピ』は、神楽坂の裏路地にある、小じんまりとしたヴェネツィア料理店だった。適度にカジュアルで騒々しい店内に緊張感はなく、通されたカウンターの席は、思いがけず居心地が良い。

「ねぇねぇ杏子ちゃん、俺、イカスミ食べたいんだ―。」

席に座って早々、杏子はまたしても正木に驚かされた。

初デートで、イカスミなんて食材を選ぶ男がどこにいるだろうか。一口食べるごとに歯の汚れを気にしろとでも言うのだろうか。

「え、イカスミ...?」

「ここね、ヴェネツィア料理だから、イカスミ料理が有名なんだって。杏子ちゃんと僕の仲じゃん、細かいことは気にせずに食べようよー。」

そう言って、正木は勝手に色々とオーダーを済ませてしまった。悪気は一切ないようだが、女にメニューを選ばせない男と言うのは、いくらイケメン医師と言えど、いかがなものだろうか。

デート初速から、杏子は正木の欠点ばかりが気になってしまう。

イカスミに始まり、正木は相変わらず食事中も落ち着きがなく、しょっちゅうスマホをいじっている。それも、仕事などの連絡ではなく、ただのラインの友達グループとやり取りをしているようなのだ。

その度に、会話は中途半端に中断され、正木は「えっと、今何話してたっけ?」と、ヘラヘラ笑う。杏子はいい加減ウンザリし始めていた。

どうして自分のような女が、わざわざ遠い神楽坂まで赴き、精神年齢の幼い男の相手をしているのか。仮面で貼り付けたような笑顔を浮かべながら、杏子はもう二度と正木には会うまいと、心の中で誓った。

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最終更新:10/4(火) 5:20

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