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【とび職人】ダボダボのズボンにも職人の知恵が。高い所から工事の安全と成功を支える建設技能者

日本の人事部 10/5(水) 7:30配信

命の危険と常に隣り合わせの現場へ真っ先に乗り込み、他の職人や大工のために足場を築く「とび職人」。地上数百メートルの高所でも華麗かつ繊細に動き回る彼らの技術がなければ、あらゆる建設工事は先へ進まない。海外にも同様の職種があり、英語での職種名は「スパイダーマン」。なるほど、言い得て妙である。新国立競技場の建設をはじめ、4年後に迫った東京五輪・パラリンピックの開催準備の進捗をも左右しかねない、現場の担い手の実像とは。

職人が消えた!? 深刻なのは人手不足より人材不足

リオデジャネイロから東京へ、2020年夏季五輪・パラリンピックのバトンがついに手渡された。これからの4年は長いようで短い。開催準備はまさに待ったなしだ。しかし、先の東京都知事選挙でも開催費用負担の見直しが争点となるなど、最終局面に入ってなお、問題は山積している。仮設競技会場などの整備費用が招致段階の約4倍にもふくらむ見通しであることが公表されたのは、今年4月になってから。資材や人件費の高騰に加え、招致段階での見積もりの甘さなどが理由とされているが、むしろ構造的なボトルネックとしてより深刻なのは、賃金コストを押し上げている建設現場の作業員不足である。

公共事業と民間を合わせて1996年度に約82兆円あった日本の建設投資額は、長引く景気低迷と政府による公共工事の削減が続いた結果、2010年度までに42兆円弱とほぼ半減した。激化した受注競争のしわよせが賃金低下やリストラを招き、労働者を減少させた。しかも建設現場の仕事は多くの専門職に分かれ、それぞれに高い技術をもつ職人=「建設技能者」が求められるが、5~10年かけてやっと一人前になる職人の育成が、建設市場の縮小で滞ってしまった。そこへ昨今の景気回復と重なり、建設投資は一転、上向きに。単なる人手の不足だけでなく、職人という人材の不足が顕在化し、東京五輪の開催準備や被災地の復旧・復興にまで影を落としかねないと危惧されている。総務省の労働力調査によると、建設技能者の数は13年(平均)で338万人。直近のピークだった97年に比べて2割強減り、いまや熟練職人の高齢化も著しい。そんな建設技能者の代表的な職種の一つが、「とび職人」である。

とび職とは、建設現場で働く作業員のうち、もっぱら高所での作業を担う技能者で、危険を伴う専門性の高い職種である。一口に高所作業といってもさまざまな仕事があり、とび職も主に担当している作業によっていくつかの種類に分かれる。まず最も多いのが、建設現場に欠かせない足場を、鉄パイプや“ピケ”と呼ばれる材料を使って設置する「足場とび」。図面から建物をイメージし、後から現場に入る他の職種の職人が安全、かつ作業しやすいように、足場を組んでいくのが主な役割である。次に多いのが「鉄骨とび」。鉄骨造の建築物において、図面をもとにその基礎となる骨組を組む職人で、鉄骨などをクレーンで吊り上げ、高所で組み立てを行う。より専門性の高い職種として、大きな橋の骨組を組み立てたり、建築物の内部に大型機械などの重量物を据え付けたりするとび職もある。「重量とび」と呼ばれ、鉄骨とびと一くくりにされることもあるが、その仕事にはより高度な技術と知識が求められる。

ちなみに、とび職人といえば、地下足袋に「ニッカポッカ」と呼ばれる独特の作業着を身に着けた姿をイメージする人が多いだろう。あの作業ズボンは、第一に脚をスムーズに動かせるように、また足元の障害物にズボンのすその広がりが触れることでいちはやく反応して危険を回避できるように、ダボッとした形状になっているのだという。

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最終更新:10/5(水) 7:30

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