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子ども食堂――一緒に「つくり」「食べる」ことの大切さ

nippon.com 10/5(水) 14:18配信

家庭で十分な食事取れない一人親の子どもらに無料か安価で食事を提供する「子ども食堂」などの施設が、全国的に増えている。子どもの貧困や孤食に対してどのような対策が講じられているのかを伝える。

子ども食堂――一緒に「つくり」「食べる」ことの大切さ

学校という場を通して見えてきた子どもの貧困

筆者は、2005年度からスクールソーシャルワーカーとして、子どもたちが抱える問題に関わってきた。その役割は、子どもたちが学校生活を送る上で生じる問題が彼らの置かれた環境とどのように関係しているかを見極め、彼らの教育保障と生活改善を目指すことにある。

現在子どもたちが抱える次のような問題は、特定の地域だけで起こっていることではない。

―不登校の子どもの家庭訪問をすると、家の中がものであふれかえっている。小さなきょうだいの世話もしていて、食事もあまり取れていない。臭いもある。健康面と衛生面が心配だ。

―虫歯で歯がボロボロで、何年も治療を受けていない。耳鼻科受診も終えておらず、プールに入れない。

―アパートに中学生が複数集まって騒いでいる。仲間と共に窃盗を繰り返している。

こうした子どもたちは、学校に行くどころではないという状況にある。

学校では、子どもたちの状況を改善しようと、保護者にも協力を求めるが、保護者と連絡そのものが取れないことも多い。何が起こっているのだろうか。気になる子どもたちの家庭の事情を探っていくと、保護者が抱える苦悩と貧困の問題が見えてくる。

貧困とネグレクトの関係

ある保護者には知的障害があり、金銭管理や家事が難しいという事情があった。誰からも料理を教わったことがなく、包丁を握ったこともない。そのため外食が増え、生活保護費も半月で使い切ってしまう。別の保護者は、ひとり親家庭で朝早くから夜遅くまで働いているため、学校で必要なものを買いに行く時間が取れなかったり、宿題を見てやれる時間がなかったりする。経済的に苦しいことに加えて、子どもと共に過ごす時間が取れないのである。

また、保護者がメンタルヘルス上の課題を抱えることも少なくない。かつては家事をこなしていたが、今はどうしても身体が動かない。見よう見まねで子どもが手伝い、兄や姉が弟や妹の世話をしているのである。

結果として、子どもたちは「ネグレクト」の状況に置かれてしまう。ネグレクトとは、人間が生きていく上で必要なもの(衣食住、愛情のある声掛けやまなざしなど)が与えられないことを意味する。日本語では、養育拒否や育児放棄と訳されるため、親が意図的に必要なものを与えていないという印象が強い。

しかし実際には、保護者自身にも支援が必要な状態にもかかわらず、福祉制度を利用していなかったり、知らなかったりする。頑張っていても、健全な生活を送れない状況なのである。さらに、頼れる親戚も友人もおらず地域からも孤立しており、「人に頼る力」を持てなくなってしまっているという共通点がある。この貧困とネグレクトが絡み合う悲しい現実は、その複雑さゆえに、広く社会で理解を得られにくい。

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最終更新:10/5(水) 14:18

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