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配偶者手当が消える? 国が先行、民間も追随

NIKKEI STYLE 10/5(水) 10:30配信

「『国家公務員の配偶者手当が見直される』という内容の新聞記事を読みました。夫が会社員で勤務先から配偶者手当を受け取っている我が家にも関係があるのでしょうか。」

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 人事院は8月、国家公務員に支給している扶養手当を見直すよう勧告した。従来は年収130万円未満の配偶者がいる職員に月1万3000円を支給していたが、2017年度から段階的に減額して6500円にする。課長級以上は廃止する。一方、子どものいる職員への手当は6500円から1万円に増やす。

 背景にあるのは女性の社会進出だ。共働き世帯数は約1100万となり、専業主婦世帯の約700万を大きく上回っている。女性の就労をさらに促し、子育て支援を充実させるという制度変更に、公務員が率先して取り組む格好だ。

 民間企業でも同様の動きが広がりつつある。人事院によると、現在69%の民間事業所が配偶者手当を支給しているが、5年前に比べると4ポイント減少した。

 ホンダは17年4月、扶養対象の配偶者が受け取れる家族手当を廃止し、「育児・介護手当」として子どもや介護が必要な家族1人当たり月2万円を支給する制度を始める。成果型の給与体系に変更する過程で、仕事の成果とは直接関係ない配偶者への手当を見直す企業も増えてきている。

 税制や社会保険といった公的な制度の見直しも、民間企業の手当見直しに影響を与えそうだ。

 人事院によると、配偶者手当がある企業の支給基準は、配偶者の年収が「103万円」が全体の40%、「130万円」が15%となっている。年収103万円とは所得税の「扶養」のライン、年収130万円は健康保険や厚生年金保険といった社会保険料の「扶養」のラインだ。

 つまり、民間企業の配偶者手当の支給基準は、税金や社会保険料といった公的な制度の水準を目安にしていることがわかる。

 今年10月から501人以上が働く企業では、他の基準を満たせば年収106万円でも社会保険料を負担するようになる。社会保険労務士の東海林正昭氏は「税制や社会保険の扶養のラインが変わるなら、配偶者手当も見直す企業が増えるのではないか」と話す。

 ただ、配偶者手当がなくなっても家計への影響は限定的だという指摘は多い。国家公務員の例にあるように、配偶者手当を縮小する一方で、その分を子どもへの手当に充てる事例が増えるとみられるからだ。

 人事院によると、民間企業の配偶者手当は平均で月1万3885円。仮になくなったとしても、「手当のために妻が働き方を調整しているなら、仕事量を増やすことで補える。専業主婦の世帯でも、家計の見直しで対処できる範囲だろう」と社会保険労務士の池田直子氏は指摘する。

 政府は専業主婦世帯を優遇する所得税の配偶者控除の見直しも検討し始めた。池田氏は「ルール変更に生活を左右されないよう、日ごろから収入増や支出減を心がけておく必要がある」と助言している。

[日本経済新聞朝刊2016年9月28日付]

NIKKEI STYLE

最終更新:10/5(水) 10:30

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