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大企業が再度「飛躍的な成長企業」になるには? 知っておくべき「3つの処方箋」

NIKKEI STYLE 10/5(水) 11:20配信

大企業が「飛躍」する方法

 大企業は指数関数的に成長する飛躍型企業になれるのでしょうか?

 著者のイスマイルは「大企業はスーパータンカーのようで進路変更には時間がかかる。だが不可能ではない」と述べ3つの処方箋を示します。

 第1にリーダー層の変革です。ポイントは、飛躍型企業が生まれた新しい環境・技術についての教育やメンバーの入れ替えを通じてリーダー層が「覚醒」することです。覚醒とは、情報という隕石(いんせき)が地球に衝突し新世界が始まった以上、ただちに適応に向け自己変革せねば生き残れないという危機感をもつことに他なりません。

 第2に、自社に合った変革の在り方をデザインすることです。例えば既存の中核事業を維持しつつ、激しい環境に進出する飛躍型子会社・事業をつくるといった工夫です。自社の中に「外」を作るのがコツですが、その際、飛躍型企業との提携、投資、買収といった手段を有効に使います。

 第3に、中核事業も次のような視点で根本的に見直しをかけます。

・関心が外ではなく内に向かっていないか

・得意な技術を重視するあまり、隣接する技術や全体を統合する技術を無視していないか。その結果ブレークスルーを起こせていないのではないか

・内部のイノベーションに依存しすぎていないか

 いわば飛躍型企業的な目線で全社をレビューします。その上で、飛躍型企業の11の特徴の中から適切なものを取り入れ、自社の既存の強みと組み合わせて、自社流の簡易版飛躍型企業経営スタイルを創り出します。

 もとより、大企業には現在の飛躍型企業からの学習に匹敵する学習を積み重ねて形成した、知的資本の厚みがあるはずです。過去に比べ、新しいことを学習する必要性が増大した現代において、自分と比べはるかに小さくて若い飛躍型企業から謙虚に、しかし貪欲に学び、自分たちで飛躍に向けて実験する。これが飛躍型大企業像です。

■ケーススタディー 挑戦的な目標をかかげて達成していくコカ・コーラ

 世界規模で大規模な資産を有しているコカ・コーラは、資産をなるべくもたないようにする飛躍型企業( Exponential Organizations )の時代には脆弱性を呈することが危惧される会社として挙げられています。しかし、同社が現在の地位を100年以上維持しているのは、挑戦的な目標をかかげて達成していく伝統があるからです。現在も、2010年から20年までにビジネスを倍増するという野心的な目標を追求しています。この目標達成のために、同社は飛躍型企業に近い取り組みを始めています。

 まず、野心的な目標として「世界中の人々のからだと心、そして精神をリフレッシュします」を打ち出しました。

 あわせて、「スタートアップを大企業になりやすくし、大企業をスタートアップになりやすくする」というビジョンの下に、それを実現すべく、社内全体でさまざまな「実験(IDEASのE)」を始めました。その一環で、社内全体にリーンスタートアップの手法を根付かせつつ、多くの小規模プロジェクトを立ち上げ、各プロジェクトでMVP( Minimum viable product = 最小限の機能を備えた検証用製品・プロトタイプ)をつくっては検証をしています。さらに、一連の情報に社内の誰でもアクセスできるように「オープン・アントレプレナーシップ」プログラムも始めています。こうした取り組みを通じて、飛躍型企業の専売特許ともいうべき実験する文化をつくろうとしています。

 また、「ダッシュボード」を活用しながら社内に「自律的組織」をつくる動きもとっています(IDEASのDとA)。たとえば、コカ・コーラは新しいアイデアが進化できるように、従来型の思考回路から離れた場所で新会社を立ち上げて、既存の中核事業からは独立させています。新会社はコカ・コーラ本体の税制、法務、財務、人事といった既存システムからは完全に切り離されています。また、同社はシンギュラリティ大学研究所の設立メンバーでもあるのですが、同研究所を通じてスタートアップの他社と協業し、破壊的な変化を起こそうとしています(SCALEのL:外部資産の活用)。

 既存の本体組織が強い文化を持つ場合、破壊的イノベーションは、本体組織の免疫系を回避できるように、本体組織から離れたところで秘密裏に始めてしまうというのは、飛躍型企業的なアプローチをとるセオリーの一つです。

 しかしながら、他方でコカ・コーラは本体の文化を変革することも公の目標としています。そこで破壊的イノベーションの透明性も重視しています。つまり長期的な視点で破壊的イノベーションを起こすチームを本社内にもつくり、破壊的イノベーションを中核事業にも結び付けることが戦略的なスタンスなのだと宣言しています。

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最終更新:10/5(水) 11:27

NIKKEI STYLE

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