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解かれた生命の神秘に背く人間社会の営み --- 中村 仁

アゴラ 10/5(水) 12:30配信

ノーベル賞が泣く社会の「自食」

ノーベル賞の発表が続く1週間は、人間とは何者なのだろうと、考え込む時間を与えてくれます。今年も日本人が生理学・医学賞を受賞し、日本人としての誇らしさを取り戻す日になりました。顕微鏡の中で科学が発見した延命の可能性対し、人間社会の現場では、人間の生命を奪い取ることが日常になっています。「おめでとう」一色でいいのでしょうか。

東工大の大隅良典・栄誉教授(71)が発見した生命の営みの神秘に感動します。1ミリメートルの1000分の1、顕微鏡でしか覗けない細胞の中で、自食作用(オートファジー)という仕組みにより、不要になったタンパク質が分解、再生していく姿を発見しました。超ミクロの世界で、生命を維持する不思議な現象が展開されているとは。

ガン、神経疾患など幅広く分野で、治療に応用できる道が開けるそうです。昨年の大村智さんの感染症の治療法の発見といい、12年の山中伸弥さんのiPS細胞の開発といい、特に生理・医学賞は効果が分かりやすく、人間の生存をこうした研究成果が支えてきたことに、感動を新たにする人は多いでしょう。

人が人を踏みにじる

解かれた生命の神秘が応用され、様々な病の治療、薬の開発により、健康の維持、寿命の延長、ひいては安楽な生活がもたらされたことは、いうまでもありません。ただ、待てよ、人間が人間を踏みにじる「自食作用(オートファジー)」も一方で、深刻になっているのではないかと。文字通りの「自食」です。

実例として、どこまでふさわしいかはともかく、横浜の「大口病院」における高齢患者の連続殺害事件には絶句します。点滴液に消毒液を混入し、病死を装ったらしいと聞くと、怒りとともに悲しさがこみあげてきます。この病院は、余命を期待できず、もう戻ることがない患者が数多く、運び込まれているとか。見放された終末期高齢者の扱いの問題が背後にあるのでしょう。

相模原市の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」で男女19人が、侵入してきた男に襲われて殺害された事件も凄惨でした。犯人は施設の元職員で、何度か犯行を予告し、犯行後に警察に自首しました。施設の防犯態勢、警察の手ぬるい対応の問題より、弱者に対する確信犯的な殺傷ないし虐殺は想像を超えていました。

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最終更新:10/5(水) 12:30

アゴラ

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