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処女かどうかが分かる不思議な漢方薬って? 読むだけでストレス・不安によく効く、漢方おもしろエピソード

ダ・ヴィンチニュース 10/5(水) 11:00配信

 読む漢方薬ってなんだろう。しかも「ストレス・不安によく効きます」って。不思議に思いながら手に取ったのが『ストレスに負けない心になる「人生の処方箋」読む漢方薬』(村上文崇/双葉社)。

 著者は東大文学部を卒業した後、中国で医師免許を取得し、上海の総合病院で漢方医として診療に従事したという経験を持つ本格派。しかし、本書は医学的な視点から、「いかに漢方に効果があるか」「いかに素晴らしいか」ということを小難しく述べるような医療ブックではない。

 むしろ反対だ。「漢方ってそもそも何?」と問われたら、著者は「楽しく生きること」だと答える。「健康に生きること」は「楽しく生きること」。「正解」や「常識」「無駄のなさ」「失敗のなさ「役に立つこと」ばかり重視される風潮の現代社会へ、漢方の「役に立たないオモシロ話」から「楽しさ」を感じてもらい、結果として「健康になってほしい」というのが、本書の目的である。

 漢方には医療的効果がもちろんあるが、その漢方薬の成立背景が「オモシロイ!」という一面もあることを知ってほしいと、漢方に関する役に立つ知識よりも、「オモシロエピソード」を集めた、著者の漢方愛を強く感じる一冊なのだ。

 例えば、漢方には「いいところ発見力」があるという。

 日本では言葉にするのも憚られるアレも、漢方では立派な薬になっている。中国では地鼈(じべつ)と呼ばれ、黒光りして家の到るところにカサカサいるあの虫のこと。そう、ゴキブリだ(正確には、日本にいるゴキブリとはちょっと違うらしい)。ゴキブリを薬にするなんて信じられないと思うかもしれないが、漢方界では血の滞りからくる病理物質の薬として効能に定評があり、現代でも生薬として活躍している。そのため需要もあるので、自然採取では賄えない分、養殖も行われているほどだ(ただ、日本で売られている漢方薬の中には通常入っていないそうなのでご安心を!)。

 また、漢方は「ロマンを求めること」でもある。医療としての枠を越え、中国では不老不死や死者の蘇生、長寿の妙薬として漢方におけるトライ&エラーが繰り返されてきた。

 その中に、「守宮砂」という「処女かどうかを鑑別する薬」というものまである。現代の日本では女性が処女かどうかを、それほど気にする男性はいないと思うが(断言はできないけれど)、昔の中国は「処女重視の風潮があり」、結婚相手が本当に処女かどうか重大な問題だった。そこで、花嫁に対する様々な「処女鑑別法」が生み出され、その中の一つに「守宮砂」という赤い薬が存在した。

 中国では割と有名な薬で、この守宮砂を女性の肌に塗ると、赤いアザのような跡が残るそうだ。この色は処女であるうちは消えないが、処女を失うと消滅するのだという。つまり、見た目で処女か否かが分かってしまうという画期的(恐ろしい?)代物なのだ。

 守宮砂の作り方は諸説あるらしいが、まず、ヤモリ(守宮)を捕まえる。そのヤモリに赤い漢方薬である「朱砂」を食べさせる。(かなりの量を食べてもらわなければいけないので、長く飼育するらしい)。規定の量の朱砂を食べきったところで、赤くなったヤモリを日干しに。それを粉にすれば「守宮砂」ができあがるそうだ。

 だが、赤い砂を食べたヤモリが赤くなるのか。そもそも砂のような食べ物をヤモリが食べてくれるのか。色々ツッコミどころのある漢方薬なので、「守宮砂では処女鑑別はできない」「そんな薬はおかしい」という批判も昔からあったそう。しかし「今はないけど、昔は本当にあった。正しい作り方が伝わらず、現在では再現できないだけ」という解釈がメジャーだという。

「信憑性がなくても、100%否定しない」という漢方のいい意味で「ファジーな感覚」を著者は気に入っているそうだが、確かに、何事も「正しさ」を追い求め、息苦しく感じている人にとっては、こういった考え方は「心にいい」と思う。

 その他、漢方とは「頭の体操である」という項目では、履き物のゾウリが「陣痛促進剤」として薬だった時代のことや、「蜜人」というミイラの薬、猛毒なのに「白血病キラー」として現代でも活躍している砒霜(ひそ)の話など、「考え方一つで物事の見え方を楽しくできる」漢方のオモシロエピソードが載っている。ポジティブで柔軟な考え方をする漢方の魅力にすっかりハマってしまうかも?

文=雨野裾

最終更新:10/5(水) 11:00

ダ・ヴィンチニュース

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