ここから本文です

限界集落の汚名返上、年間32億円稼ぐ小さな村

JBpress 10/5(水) 6:15配信

 経営力がまぶしい日本の市町村50選(44)

■ 人口の10倍以上に上る“応援団”

 安芸郡馬路村は高知県の東部にあり、高知龍馬空港から車で約2時間ぐらいかかる山奥に位置する村で人口はおよそ900人(2016年5月推計)。総面積の約96%が山林に覆われており、魚梁瀬杉(やなせすぎ)という銘木を中心に林業で栄えてきた歴史がある。

 馬で行く以外に交通手段がないというのが村名の由来とされるが、県内34市町村の中で2番目に人口が少なく、規模だけを見れば「限界集落」と呼ばれる町村と大きな差はない状況である。

 そんな中、2003年に提唱した「馬路村 自立の村づくり宣言」のもと、子供たちが元気に遊び、楽しく通学できる村づくりを目指し、保育園2園(36人)、小学校2校(37人)、中学校2校(12人)を有していることは注目に値する。

 実際人口1人当たりの教育費は高く(財政コーナー参照)、その一方で学習塾はないため、住民がボランティアで教え合うという風習もある。

 柚子産業で有名な村で、その売上高は1988年の1億円から2014年には32億円へと増加し、それに伴い加工品工場にはI・Uターン者も含め従業員は80人を超えている。観光においても柚子効果で国内外から年間5万人が訪れている。

 また村外から来訪した観光客らを対象に2003年から募集している「特別村民」の登録者が今年の8月に1万人を突破した。登録料は無料で、専用の“住民票”が発行されるほか、特別広報紙が年1回送られる。

 来村時には馬路村農協のゆず飲料「ごっくん馬路村」を、上治堂司村長と村長室で一緒に飲める特典もある。

 人口の10倍以上に上る全国各地のファンへは特産品情報を積極的に発信しており、2015年12月に本格化させた「ふるさと納税」では、6800人に申込書を送った結果、約8カ月の寄付件数約1700件のうち、約100件が特別村民からだったという。

■ 柚子効果を林業にも

 まさに柚子で知名度を上げたことによる波及効果とも言えるが、柚子産業の収入をテコにもう1つの基幹産業である林業の活性化にも取り組んでいる。

 2000年に村役場が出資して設立したエコアス馬路村はいままでの林業の仕組みを変えるとともに、主に自然循環型商品として、間伐材を利用して木製トイレやうちわなどのユニークな商品づくりをしたり、林業の後継者育成も担っている。

 それまでは伐採した後、下流の貯木場に運ばれて売られていた木材を、村内に貯木場を整理し、建築用材や様々な需要に対応できるように加工する製材所を充実させて間伐材を加工している。

 山仕事にはできるだけ高性能機械を導入し、効率化と安全性を高めながらコストダウンに努め、生産された木材で加工・流通の流れをつくり、資源循環型森林経営を確立している。

 現在では森林組合、エコアス馬路村、林材加工協同組合の雇用者数は108人に至っている。

 さらには、損保ジャパンや日本興亜損害保険とは「いきいき共生の森」パートナーズ協定を2007年から継続しており企業連携により森林整備を推進している。

 また東京都港区とは2011年に「間伐材をはじめとした国産材の利用促進に関する協定書」を締結したり、現在建築されている公共施設の外装木質化など、木材/木製品の需要拡大に向けた積極的な取り組みを行っている。

1/4ページ

最終更新:10/5(水) 6:15

JBpress

記事提供社からのご案内(外部サイト)

JBpress PremiumはJBp
ressが提供する有料会員サービスです。
新たな機能や特典を次々ご提供する“進化
するコンテンツ・サービス”を目指します。

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。