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朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」、主役・芳根京子の代表作となるか

Wedge 10/6(木) 8:12配信

 戦後の焼け跡のなかに、主人公の坂東すみれ(芳根京子、よしね・きょうこ)は立ち尽くしている。いずれともに幼児専門の衣料メーカーを設立することになる、3人の女性の仲間も、すみれと同じような姿であり、背に子どもを背負った者もいる。

 そして場面は一転して、彼女たちが立ち上げた「キアリス」の20周年記念の会場に移る。

 若手女優たちに、ドラマのハイライトをコマ落としのように演じさせる。中年の容貌の導入部は意表を突かれる。小野明美役の谷村美月、多田良子役の「ももいろクローバーZ」のリーダーである百田夏菜子、村田君枝役の土村芳である。

「特別につくった別品」

 主役の芳根は、「表参道高校合唱部!」(TBS、2015年)の主役・香川真琴役によって、ドラマの世界で注目された。それがドラマ・映画の初出演というわけではない。連続テレビ小説「花子とアン」(2014年度上半期)では、仲間由紀恵が演じた葉山蓮子の娘役でも出演している。

 女優の代表作とはそうしたものである。吉永小百合といえばいまも「キューポラのある街」(浦山桐郎監督、1962年)が、代表作のひとつとして思い出されるが、初出演の作ではない。吉永自身が「デビュー作といわれることが多いですが、この作品の前に10本以上も出演しています」と語っている。

 芳根にとって、「べっぴんさん」は代表作となるだろうか。天真爛漫(てんしんらんまん)な明るい少女役はこれまでも、天性のものを感じさせる。「表参道~」では、オーディションで1000人を超える中から選ばれた。スターというものもまた、そういうものである。

 第1週「想いをこめた特別な品」では、冒頭の回顧シーンから一気に、すみれの少女時代(渡邉このみ)の昭和9(1934)年に戻る。姉のゆり(内田彩花)がしっかりと自分の意見をいえる少女であるのに対して、すみれは自分の考えを声に出していうのが苦手である。

 姉妹の父親は坂東五十八(生瀬勝久)。神戸で繊維会社「坂東営業部」を営んで高台に洋館を新築したばかりの資産家である。

 娘のために特別にあつらえた洋服について、五十八は「特別につくった別品(べっぴん)やで」という。

 制作統括の三鬼一希はタイトルに、この特別な品という意味と「生き方の美しいヒロインの姿」を重ねた、と述べている。三鬼はこれまでも数々の連続テレビ小説にかかわってきた。

 病院に入院している母・はな(菅野美穂)のお見舞いに、すみれは刺繍をほどこしたハンカチを持っていく。刺繍がなにを表現しているのか、つたないために五十八は「わからん」という。はなは、すぐに「ゆりとすみれね」とうなずく。

 すみれは母への特別な品が周囲に理解されなかったので、母の手からハンカチを取り返して走り去る。

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最終更新:10/6(木) 8:12

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