ここから本文です

“かぎりなく実写“な女子高生CGキャラ『Saya』で国内外から注目をあつめるデジタルアーティスト、「TELYUKA」(テルユカ)とは、何者?

CGWORLD.jp 10/6(木) 18:10配信

10月4日から7日まで幕張メッセで開催している『CEATEC JAPAN 2016』。その中で注目されているのがシャープブースで公開されているかぎりなく実写な女子高生CGキャラ『Saya』だ。ブースでは8K動画で動く『Saya』を見ることができる。

本記事では昨年CGWORLD.jpに掲載した石川晃之・友香夫妻(TELYUKA)のインタビューをお届けする。

※本記事で掲載されている『Saya』は2015年に制作されたものです

「可愛すぎる謎の女子高生」「不気味の谷を越えたCGキャラクター」として、Twitterを皮切りに、TVなどでも話題を集めている『Saya』。制作したのは、石川晃之・友香夫妻の2人から成る“TELYUKA“(テルユカ)。TELYUKAとはどんなユニットなのか、また、『Saya』の今後などについて。日本のメディアとしては初となる、TELYUKAの素顔に迫る!

<1>“雑草魂“でオリジナルをつくる

――今日はよろしくお願いします。おふたりがこのように顔を出されてのインタビューを受けられるのは今回が初めてですか?

石川友香さん(以下、友香):ちゃんとした取材は今回が初ですね。

――初取材にCGWORLDを選んでいただいて光栄です!

友香:ちょっとCG系を差し置いて他の媒体に出るのは良くないかなと思って(笑)。

石川晃之さん(以下、晃之):CG業界でごはんを食べさせていただいているし、すごくお世話になっているので、そこだけは仁義を通しておこうと(笑)。

友香:私たちも、こんなに取材オファーが来るほど『Saya』が注目されるとは思っていませんでしたから。

――そのあたりもぜひ、後でおうかがいしたいと思います。では、おふたりが3DCGを始めたきっかけを教えていただけますか?

晃之:......じゃあ、一応決めてきた言葉を。「神の啓示です!」

ーー(困惑......)

友香:もちろん冗談ですよ(笑)! 私は、もともと高校生の頃からCG制作をやりたかったんですけど、普通の大学へ進学したんです。当時は、CG系の専門学校が2~3しかなかった上に、そうした素養もまったくなかったので、親を説得できませんでした。

――今でも、やくざなイメージを抱かれがちですよね、CGに限らずコンテンツ業界は......。

友香:そうなんです。それで普通の大学に進んだわけですが、どうしてもあきらめきれずバイトしながら独学でCGを学んでいました。社会人になってから、知り合いが建築系の会社に勤めていたのでCADを経由でこの業界に入りました。わたし、『ネバーエンディング・ストーリー』(1984)が大好きなんですけど、「ああいう世界観をつくる仕事がやりたい!」と思いつづけて、ここまで来ました。

ーー情熱的です!

晃之:自分は、小さい頃から絵を描くのが好きだったんです。美術も好きだったのですが、大学は経済学部に進学していました(笑)。卒業後も一般企業に就職したのですが、あるとき小学校時代からの友人がやってきて「一緒にCGをはじめないか?」と、誘われたんです。そのとき、CG制作は家でもできるんだ、と教えられました。てっきり、“でっかいハコ“(スーパーコンピュータ)がないと無理だとばかり思っていたのですが、調べてみたらパソコンでもできるんだと。ゲームも好きだったので、試しにやり始めたら、ハマっちゃったんですよね。

ーーでは、TELYUKAというユニットを組まれたきっかけを教えてください。

友香:6~7年前くらいに、私が、晃之と友だちがやっていた会社に入ったんですね。それで、私が彼にひと目惚れしちゃって。笑顔が素敵だなあ、って(笑)。そして、結婚したのを機に2人で制作をするようになりました。

晃之:その会社もフリーランスの集まりみたいな感じだったので、自然と2人で活動を始めるようになってました。

――友香さんはそちらの会社に入る前はフリーランスだったんですか?

友香:いいえ、小さなゲーム開発会社でグラフィッカーをやってました。その前は、建築パースのお仕事をしていまして。先ほどお話したようにキャリアのスタートはCADでした。当時は、未経験者を雇うことはまずありませんでしたし、美大出身とかでもありません。だから知り合いのツテを通じて少しずつ、最初にイメージしていたCG制作に近づいていこうと......って、感じです。けっこう、雑草的な生き方なんですよ、私たち。決してエリート的な生き方ではないですね。

晃之:2人とも、美大とかCG系の専門学校などはいっさい通らずにここまで来ました。今でこそインターネットが便利ですが、CGに関する情報とかも自分たちでかき集めてきた。語弊があるかもしれませんが、学校に通ってしまうと100万円単位でお金がかかるじゃないですか? それなら、100万円使って自分でソフトとPCを買って、実践していった方が良いんじゃないかと、まだ学べる場所も限られた時代だったのでなおさらそう思ったわけです。

ーー日本人って、未経験のことを始めようとするとつい、「ちゃんと基礎を身に付けてから......」などと身がまえがちですけど、そういった方々へ勇気を与えると思います。もちろん、相応の血のにじむような努力をされてきたはずですが。

友香:2人でオリジナル作品をつくっていこうと決めたのも、“雑草魂“が根底にありますね。わたしたち、学生時代からのつながりとか、コネクションがまったくないところからのスタートだったので、作品を発表していくしかないと。TELYUKAの作品を気に入ってくれたプロダクションさんなどが「うちの仕事を手伝ってよ」と、声をかけてくださったりして、ようやく最近になって仕事がまわりはじめた感じです。

ーー最初はオリジナル作品をつくる際のユニットだった“TELYUKA“が、自然と仕事も請けるようになってきたわけですね。

友香:はい。それまでは、どちらかが仕事を通じてプロダクションさんと仲良くなって、そこから何かを引っ張ってくるという感じでした(笑)。

ーー初めてTELYUKA(ユニットとして)でお仕事されたのはいつ頃でしたか?

友香:今年だよね?

晃之:そうです、2人で集中して仕事をするようになったのは今年の初めくらいになってようやくですね。2人で会社を辞めてフリーランスとして活動しはじめたきかっけというのが、やはりハイエンドのCGに集中して取り組んでいきたいなと。でも、収入がないと生きていけない。フリーになったのに、某プロダクションさんへ面接を受けに行ったりも(笑)。

ーーなんと!?

晃之:ただ、業務委託のかたちだったのでフリーランスとして働かせてもらいました。その間も時間をみつけてはオリジナルを少しずつ作り続けていました。友香がTwitterをやっているので、進捗をツイートしたことがきっかけで仕事の話をいただけたり。そうした意味でもオリジナル作品をつくり続けていれば、様々なつながりができていくのかなあ、と。

ーーてっきり、何年も前からTELYUKAというスタイルを確立していらっしゃるのだと思っていました。

晃之:いえいえ、TELYUKAとしてオリジナルをつくり始めたこと自体が4年ほど前からなので。

友香:先ほどもお話したとおり、それ以前は本当に地道に下積みを続けてきました。現場のたたき上げというか......。

晃之:だから、僕たちのキャリアを聞かせてくださいと言われても地味な苦労話ばかりで全然面白くないと思いますよ(笑)。

ーーとんでもない、すでに十分面白いです(笑)。ところで、おふたりの間で役割分担みたいなものはありますか?

友香:彼は本当の意味で全ての作業ができるので、まさにゼネラリストなんです。私の方はひとつの作品としてのアートディレクションはわりと得意だったりするので、オリジナルをつくる際は、私が全体的なイメージを、そして彼が具体的な制作手法やテクニカル面をリードしていく感じですね。

晃之:ざっくり言うと、僕がシステム担当で、彼女がアート担当ですかね。友香はPCを組み上げるといったことはまったくダメなんで(笑)。その代わり、感性というかセンスの面をリードしてもらっています。僕は、理屈(理論)担当というか(笑)。

ーーなるほど。

1/2ページ

最終更新:10/6(木) 18:10

CGWORLD.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

CGWORLD

株式会社ボーンデジタル

vol.220
11月10日発売

1,512円(税込)

CG・映像クリエイター総合誌
特集1 VRバラエティ
特集2 3DCGで描くイケメンキャラクター

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。