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性的マイノリティーの女性起業家 京大卒業後、転職繰り返し 見つけた「天職」

NIKKEI STYLE 10/6(木) 10:40配信

性的マイノリティー対応は、ダイバーシティ経営の本質

 企業の社会的責任(CSR)活動では「ダイバーシティ」(多様性)を前面に押し出すところが増えてきた。しかし、日本では女性活用やワークライフバランスなどにスポットが当たりがち。今後は国籍、宗教、性的マイノリティー、ハンディキャップを持つ人などを含めた本来の多様性を意識する必要がある。虹色ダイバーシティ代表の村木真紀さんに、性的マイノリティーの社会進出支援や経営者の心構えなどについて聞いた。

職場になじめず転職繰り返す 東日本大震災で一念発起

 私は学生時代からレズビアンだったのですが、大手飲料メーカーの経理を皮切りに、システム構築、販売、連結決算支援など様々な職を経験しました。転職を繰り返したのは、性的マイノリティーの当事者であるがゆえに職場になじめなかったためです。

 就職した当初はプライベートと仕事は別と割り切っていました。しかし、「彼氏は?」などのセクハラ発言に加え、プライベートについて聞かれることの多い飲み会なども避けていましたから「チームに溶け込めていない」とも言われました。嘘はつきたくない。でも、カミングアウトもできない――結局どの職場でも同じジレンマを感じて転職を繰り返しました。

 何度かの転職の後、コンサルティングの仕事が多忙を極める中で体調を崩し休職。その休職中に起こった東日本大震災が、私にとって大きな転機になりました。自分はいったい何をやっているのか。社会のために自分ができることはないのか。

 自問自答を繰り返す中で、英国のLGBT支援団体「ストーンウォール」のホームページを見て、自分の進むべき道が見えてきました。英国は同性婚や差別禁止法があり、LGBTの権利に関しては日本より進んでいます。

 ホームページで見つけたある日系企業にLGBT施策について聞きに行ったことがきっかけで、その会社で講演することになりました。当初は会社員と並行して講演活動をしていましたが、その後も次々と企業向けの講演依頼があり、独立することを考え始めました。

 企業に向けてLGBTをきちんとダイバーシティ経営の課題の一つに組み入れることを提案したいと決意し、2013年にNPO法人・虹色ダイバーシティを設立しました。そのために、人事系の法律を一から学び、社会保険労務士の資格を取りました。

データと他社事例で説得、カギ握るのは支援者の有無

 虹色ダイバーシティの現在の主業務は、企業人事の担当者に向けたコンサルティングです。日本にはLGBTに関するデータがなかったため、国際基督教大学ジェンダー研究センター(CGS)と共同研究で「LGBTに関する職場環境アンケート」を14年から毎年実施しています。当社のホームページでも公開していますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

 調査結果の中で注目すべき点は、「ハラスメントが少ない職場の方が勤続意欲が高い」「LGBTに対する差別的言動は、当事者の勤続意欲にマイナスの影響」があることが明確に示された点です。また、都会も地方も差別的言動がありますが、地方のカミングアウト率が少なく、これは「アライ」(支援者・同盟者)と呼ばれる人が少ないためと考えられます。社内に理解者がいるかどうかは、当事者の心理に大きく影響します。

 また、日本企業の場合は「他社事例」を気にするところが多いため、当社では開示できる例は情報提供しています。まずは、社会への影響力の大きい各業界のトップクラスの企業へのアプローチを図っています。

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最終更新:10/6(木) 11:37

NIKKEI STYLE

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北朝鮮からの脱出
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