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現職校閲者から観た『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』1話 タイトル改変に秘められた意図

KAI-YOU.net 10/6(木) 16:13配信

2016年10月5日(水)、日本テレビ系にてスタートした連続ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』。

【話題の『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』関連画像】

話題作への出演が続く女優・石原さとみが、ドラマの題材としてはなじみの薄い「校閲者」を演じることでも話題の本作。5日に放送された第1話では「校閲者の仕事」の紹介もそこそこに、主人公・河野悦子がその破天荒ぶりを発揮した。

本記事では実際に新米校閲者として働く筆者が、実際の業務内容の紹介や現場の実情、業界に対する愚痴を交えつつ、ドラマの見どころをレビューする。

「景凡社」は超・大手出版社?

ファッション大好き河野悦子(石原さとみ)は、愛読書である女性誌『Lassy』を刊行する「景凡社」に念願叶って入社する。しかし配属されたのは編集部ではなく、超地味な「校閲部」。悦子は校閲部で実績を残し、憧れのLassy編集部へ異動するため、慣れない「校閲」の仕事に邁進する──。

以上が、5日に放送された第1話のあらすじです。悦子が無事景凡社へ採用されたところから物語がサラッと始まりましたが、少し立ち止まって見てみましょう。

景凡社は『Lassy』をはじめ複数の雑誌を発行しており、年間100万部を売り上げる大御所作家・本郷大作(鹿賀丈史)の作品も出していることから、大手の「総合出版社」(マンガや雑誌、小説、学術書など書籍全般を幅広く扱う出版社)であることはほぼ間違いありません。

加えて自社で「校閲部」を持っており(多くの出版社は、外部の校閲事務所に校閲を委託しています)、受付には担当のスタッフ(足立梨花)がスタンバイしています。しかも森尾(本田翼)の名刺に記された本社所在地は、実在する東京の一等地である「千代田区富士見町」。以上のことから、いわゆる“御三家(集英社・小学館・講談社)”クラスの超・大手出版社であると推測されます。

いくら7年面接を受け続けていたとはいえ、この難関を未経験者が中途採用でくぐり抜けるのは至難の業(というかほぼ不可能)。入社パートだけで1クール使っても足りないと思うのですが、一発逆転採用の決め手となったのは悦子の「観察眼」でした。

悦子は景凡社の入社試験面接で、校閲部部長・茸原(岸谷五朗)のタイピンに違和感を覚えます。それもそのはず、それはタイピンではなく「ピアス」だったから。ファッションフリークである彼女はその違和感を看過できず、自ら服飾店に足を運び、それがピアスであることを確かめるのです。

「校閲とは、文字ひとつから疑ってかからなければならない仕事です。ひとたび疑問に思ったとしたら、たとえ第三者が正しいと言ったとしても、自分の目で確認しなければならない。彼女はそれを地で行く人だったんですよ」(『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』1話 茸原の台詞より)

後に茸原は、悦子を校閲部社員として採用した経緯をこう明かします。彼の判断は正しく、校閲中に疑問点(小説内に出てくる建物名が実際のものと異なるなど)が見つかれば「小説の舞台となった土地まで足を運んで」、自らの足で内容に齟齬がないか検証する悦子。

この現場検証はドラマならではの脚色と思われますが、「なにげない描写も逃さず事実確認をする」という心構えは、新米校閲者である筆者も見習いたい点です。ちなみに筆者は同じような状況では「Google ストリートビュー」を使用しています。便利な時代になったものですね。

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最終更新:10/6(木) 19:03

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