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核燃料サイクルに未来はあるか --- GEPR

アゴラ 10/6(木) 16:30配信

政府は、高速増殖炉(FBR)「もんじゅ」を廃炉にする方針を明らかにした。これはGEPR(記事「「もんじゅ」は研究開発炉として出直せ」)でもかねてから提言した通りで、これ以外の道はなかった。問題は、なぜわかりきった答に到達するのに、ここまで時間がかかったのかということだ。

「国策民営」のねじれ

技術的にいうとFBRの配管から冷却材のナトリウムがもれるのは大した問題ではなく、軽水炉の配管から水がもれるようなものだ。ナトリウムは水と爆発的に反応するが、大事故に発展するわけではない。ロシアで高速増殖炉が実用化しているのも、ナトリウムもれを無視しているからだが、日本ではそうは行かない。絶対にナトリウムがもれないようにすることは困難で、この対策に20年かかっている。

もんじゅの運営主体である日本原子力研究開発機構は、原子力規制委員会にも勧告されたように当事者意識が稀薄で、もんじゅの復旧と運転を担えるとは思えない。もんじゅが止まっている最大の原因は「地元の理解が得られない」という曖昧なもので、これは何十年たっても同じだ。

FBRの目的も、当初は「燃やす燃料より多くの燃料ができる夢のエネルギー」という謳い文句だったが、実際には増殖による利益は莫大な投資に見合わないので、(プルトニウムを製造することが目的の)ロシア以外の国では「廃棄物のコンパクト化」に目的が変更されたり、計画が中止されたりしている。

日本でも核燃料サイクルの目的は、プルサーマルでプルトニウムを「利用」することになっているが、これは無意味である。ウランを再処理してそれより高価なMOX燃料をつくるのは無駄であり、使用ずみ核燃料のまま直接処分したほうが安い。余計なプルトニウムをつくってそれを消費するのは、マイナスの財を製造していることになる。

この奇妙なシステムができた原因は、1950年代に正力松太郎や中曽根康弘などが政治力で原子力開発を決めたとき、将来の核武装を視野に入れていたことにある。もちろん彼らはそんな話は口に出さず、「原子力の平和利用」という建て前で通した。核兵器なら国の予算で開発するのが当然だが、平和利用ならコストは電力会社にすべて負担させることができるからだ。

電力会社は軽水炉で発電することには前向きだったが、核燃料サイクルには積極的ではなく、バックエンドのコストは政府が負担するものと考えていた。しかし実際には、再処理も日本原燃という電力会社の共同出資による株式会社として出発し、100%民間の負担になった。全体計画は国だがコストは民間という国策民営で、国が電力会社にただ乗りする形で核燃料サイクルは出発したのである。

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最終更新:10/6(木) 16:30

アゴラ

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