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『SCOOP!』初登場4位 歴史的ヒット作と同時期に公開されるデメリットとメリットについて

リアルサウンド 10/6(木) 11:27配信

 はい、まずは「今週の『君の名は。』のコーナー」。先週末土日2日間の動員は65万人、興収は7億9000万円で6週連続1位。今週火曜日には10月3日(月)の時点で累計興収130億、累計動員1000万人を突破したことが発表された。1000万人って!

 『君の名は。』は前週興収対比も90%以上を維持していて、8月26日の公開から2ヶ月以上経っても全国で約300館というスクリーン数はまったく変わらず。平日もほぼ満席状態が続いているのでスクリーン数を減らせないのは当然として、常に複数の新作を同時に配給している東宝としては、これ以上スクリーン数を増やそうにも増やせないという事情もある。

 『君の名は。』以降に公開された東宝作品のラインナップ(傘下の東宝映像事業部配給作品を除く)は、『後妻業の女』、『四月は君の嘘』、『怒り』、『レッドタートル ある島の物語』。観客層が『君の名は。』とほとんど被らなかった『後妻業の女』の健闘については以前このコラムでも取り上げたが、逆にティーン層向けの『四月は君の嘘』やスタジオジブリ肝入りの海外制作作品『レッドタートル ある島の物語』は、確実に割りを食ってしまったかたちだ。

 先週末、そんな「2016年のポスト『君の名は。』東宝作品」の1つ、福山雅治主演、大根仁監督の『SCOOP!』が公開された。週末土日2日間の成績は動員12万7000人、興収1億5600万円で初登場4位。これは2週前に公開された『怒り』のオープニング2日間の成績、動員17万人、興収2億3300万円と比べても少々厳しい数字と言わざるをえない。これまで『モテキ』『バクマン。』で10代、20代の観客を中心に高く支持されてきた大根仁監督作品であるが、実は『SCOOP!』は30代以上の大人の観客にも(というか、大人の観客にこそ)強く響く作品。『後妻業の女』や『怒り』と比べて、現段階ではその層を取りこぼしてしまっているのかもしれない。

 ちなみに、大根監督の過去作では『モテキ』が276スクリーン、『バクマン。』が324スクリーン。福山雅治主演の過去作では『真夏の方程式』が415スクリーン、『そして父になる』が309スクリーン。それらと比べると、今回の『SCOOP!』の247スクリーンという数字に、公開から2ヶ月以上経ってもまったくスクリーン数の変わらない『君の名は。』の影響を指摘することもできるだろう。

 もっとも、大根監督はTwitterで「タイミング悪かったですねー」というファンの声に「全然そんなことない!こんな邦画豊作の年に公開できてラッキーです。」とリプを返している。これは強がりなどではなく本音だろう。同時期の公開作にあまりにも強い作品があることは、話題性やスクリーン数などで割りを食うことはあったとしても、それだけ多くの人が実際に映画館に足を運んでいるということであり、上映前に予告編を観る人もたくさんいるということ。それらの人々は、すべての作品にとって潜在的な「新しい観客」なのだ。これまでの大根監督の作品がそうであったように、『SCOOP!』は口コミの評判で広がるタイプの作品。2週目以降の健闘に期待したい。

宇野維正

最終更新:10/6(木) 11:27

リアルサウンド

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