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宮崎あおい「ぶっきらぼうな兄からの手紙が、逆にうれしくて宝物になりました」

ダ・ヴィンチニュース 10/6(木) 17:00配信

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、映画『バースデーカード』が間もなく公開される宮崎あおいさん(※崎は正しくは「たちさき」)。おすすめの『あれはだれの歌』は、『アンパンマン』で知られる、やなせたかしの作品集だ。大切な人へ想いを伝えることの難しさと大切さについて、語ってくれた。

 映画『バースデーカード』で宮崎あおいさんが演じたのは、橋本愛さんと須賀健太さんが演じる姉弟の母・芳恵役。姉・紀子が10歳になる誕生日、一緒に過ごすのが最後になると悟っていた芳恵は、子供たちが20歳になるまで必ず誕生日に手紙を贈ると約束する。

「相手の状況次第で受け取り方も変わるので、芳恵のように、成長を想像して手紙を書くしかないというのはとくに難しいですよね。実際、紀子が手紙に反発するシーンがありますが、そこでユースケ・サンタマリアさん演じる父親と喧嘩するところが私のお気に入り。不安定な年頃の心の揺れが、橋本さんの声の出し方や瞳で絶妙に表現されていますし、ユースケさんが『お母さんに謝れ!』と初めて激昂するのもかっこよかった。彼にとって、芳恵は今なお子供たちの母親である以上に、自分の愛する大事な女性なんだというのが伝わってきて、すごく心に残りました」

 ふだんから手紙を書くことが多いという宮崎さん。「好きな人の手書き文字は、それだけで愛おしい」と、付箋のメモ書きなども手帳に貼ってとっておくという。

「家族との手紙で思い出深いのが、中学生のころ、1カ月ほど仕事で地方滞在していたときのもの。兄からの手紙がおもしろくて。『お前がいないおかげで、○○ができた!』みたいな雑な文章なんですよ。でもいま読み返すと、そのぶっきらぼうな感じが兄らしくていいなあと思います。本当にいやならそもそも手紙なんて書かないでしょうし。そういう想いもひっくるめて、全部、大切な宝物です」

 紹介してくれた『あれはだれの歌』もまた、宮崎さんがやなせたかしさんから受け取った手紙のような作品集だ。

「やなせさんのまっすぐな言葉が連なっていて、とても好きな本です。はっとさせられたり、なるほどという発見があったり。難しい言葉はひとつも使われていないけれど、だからこそ強く響く。やなせさんは本当に偉大な方。その言葉とこめられた想いを胸の奥にいつも、大事に刻み込んでいたいと思っています」

(取材・文=立花もも 写真=干川 修)

みやざき・あおい●1985年、東京都生まれ。99年に映画デビュー。出演作に、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した映画『少年メリケンサック』『ツレがうつになりまして。』『舟を編む』ほか、ドラマ『篤姫』『あさが来た』など多数。2016年、映画『世界から猫が消えたなら』『怒り』に出演。17年の待機作に映画『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』。

◆『やなせたかし 詩とメルヘンの世界 あれはだれの歌』
やなせたかし 瑞雲舎

「生まれたときは ひとりだったし 死ぬときも ひとりだもの いまひとりだって さびしくない いや ちょっとさびしい なぜだろう」(「生まれたときは」)──やなせたかしの詩や4コママンガ「Mr.BŌ」、掌編小説「チリンの鈴」などを収録。優しく、ときに厳しい言葉に胸打たれる『アンパンマン』の原点ともいえる作品集。

※宮崎あおいさんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ11月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

最終更新:10/6(木) 17:00

ダ・ヴィンチニュース

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