ここから本文です

メタリカのメンバー全員が語る、新譜、気になる新人から故レミー・キルミスターまで

ローリングストーン日本版 10/6(木) 17:00配信

メタル界の重鎮メタリカが、米デジタルラジオのSiriusXMで行われたファン・ミーティングで、ニューアルバム『Hardwired ... to Self-Destruct』や最近期になる新人バンドのことを語った。

映画『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』をZeppで一夜限りのライヴ絶響上映

現地時間2016年9月26日、メタリカの面々がSiriusXMの番組『Town Hall』収録のためニューヨークにあるスタジオに姿を現し、集まったファンからの質問に直接答えた。バンドは、11月18日にアルバム『Hardwired ... to Self-Destruct』をリリース予定である。メンバーのジェイムズ・ヘットフィールド、カーク・ハメット、ロバート・トゥルージロ、ラーズ・ウルリッヒは上機嫌で、ファンからの鋭い質問もためらいなく受けて立った。番組『Mandatory Metallica(チャンネル37)』は米東部標準時間の11月17日午後5時まで解禁されないが、ファン・ミーティングを潜入取材したローリングストーン誌が放送に先立ち、盛り上がったやり取りを特別に紹介する。

1. ロック畑以外からのプロデューサーの起用

ニューアルバムのプロデューサーについて「"誰か新しい人にしようか"、とか"有名なプロデューサーにしようか"、とメンバーで話し合った時に、"いっそのこと大きく目先を変えてロックを知らない人にしようぜ"ってことになったんだ」とヘットフィールドが明かした。そして、2008年のアルバム『デス・マグネティック(原題:Death Magnetic)』でエンジニアを務めたグレッグ・フィデルマンに白羽の矢が立った。「いろいろ検討してみた結果、お互い気心の知れたグレッグに頼むことにしたんだ」とヘットフィールドは続けた。「グレッグの担当した(メタリカの2003年のコンサート映画)『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー(原題:Through the Never)』のサウンドはパワフルで壮大だった。彼を使わない手はないってバンド全員が思ったんだ」。

2. リフ作りに絶対の自信を持つメタリカ

曲作りの際、「どのように良くないアイディアを削ぎ落としていくか?」との質問に対しウルリッヒは、「それが問題になることはほとんどない」と答えた。「それよりもこのバンドにとって大きな問題は、曲作りのための素材のストックが多すぎるってことなんだ。ジェイムズはギターを持った途端に新しいリフのアイディアが生まれてくるんだ。ジェイムズがギターをチューニングしながら、"ちょっと待って。これ、録音してよ"って感じさ。そこで俺は"1月27日2時53分"って記録しておくんだ」。そこへヘットフィールドが口を挟んだ。「すげぇ迷惑なんだよね。自分のギターのチューニングもできやしない」。構わずウルリッヒは続ける。「このバンドの問題は、そうした数百もあるギターリフのストックの中からAAA+をどうやって見つけるかってことなんだ。でも1曲にはせいぜい20個しか使えない。そうしないと"リフからAメロ、Bメロ、サビまでどうやってつなぐんだ?"って話になるから。でも本当に素晴らしいリフのコレクションがあるから、"リフのガレージセールでもやろうか"って話しているんだ。俺たちの作ったリフを使いたいってバンドがいたら、そのリフを提供しようっていうアイディアさ。俺たちは今素晴らしいリフの山に埋もれてるんだ」。
--{「『ブラック・アルバム』の大成功の理由は?」という質問にはうんざり}--
3. メタリカは「『ブラック・アルバム』の大成功の理由は?」という質問にうんざりしている

バンド名を冠した1991年のアルバムは、アメリカだけでも1600万枚以上を売り上げた。それから25年間経つ現在もこの記録は破られていない。しかしバンドは、この大成功の理由について聞かれるのはもう飽き飽きしている。「マネージャーのクリフ・バーンスタインによると、それは人間が成長する上で避けて通れない通過儀礼みたいなものだとさ。13歳でティーン・エイジャーになったといっても、それは単に青春時代の始まりに過ぎないのと同じさ。この手のサクセスストーリーを分析しても意味ないと思うよ。でもなぜか、太鼓を叩き続けるおもちゃの動物みたいに何度も何度も同じ話を蒸し返されるんだよな」と、ウルリッヒは嘆いた。

4. メタリカとファンとの間に境界線はない

メンバーそれぞれがこれまでに行った中で最も気味の悪い場所は? というスタジオ収録に参加したファンのひとりからの質問に対し、まずカーク・ハメットが驚くべきエピソードを披露した。「『ブラック・アルバム』が世に出た頃の話さ。俺がニューヨークのアップタウンにあるアパレルショップで試着していると、誰かがこっちへ近づいてくるのが見えた。その人は"ヘイ、カーク、元気かい?"って声をかけてきた。振り返ると何とブルース・スプリングスティーンだったんだ。それが俺にとって最も"気味の悪い"体験だった。何せブルース・スプリングスティーンが俺の名前を知ってたんだぜ」。そこへヘットフィールドが割り込む。「スプリングスティーンがお前の試着室へ入ってきたのか?」

次にトゥルージロが、スイサイダル・テンデンシーズでベースを弾いていた頃に歯医者で経験した話を始めた。歯医者がその場を離れ男の歯科衛生士に交代したが、どうやら彼はトゥルージロのファンだったらしい。「相手はマスクをしてたから目しか見えなかったんだけど、声だけは聞こえた。"スイサイダル、スイサイダル"って繰り返し囁いてるんだ。俺は治療イスに仰向けで奴を見上げる格好で、口には何か器具を突っ込まれてるし。その間ずっと奴は囁いてたんだ」。ここでもヘットフィールドが笑いながら茶々を入れた。「それはきっと助けを求める悲痛な叫びってやつだったんだよ」。

ウルリッヒは、ブラック・アルバム・ツアーのミュンヘンでのライブを振り返った。ライブ中、ステージ前のスネークピットにはウルリッヒが少年時代お気に入りだったディープ・パープルのメンバーがいた。「バックステージで彼らと喋って一緒にビールを飲めるなんて、本当に興奮したよ。ステージを終えて戻ると、イアン・ギランのメモが残されていた。"本当に素晴らしいステージだったよ。もう寝る時間を過ぎてしまった。家に帰って寝る前のミルク&クッキータイムだ"って書いてあった。その時まだ10:45ぐらいだったけど」。

そしてヘットフィールドは、トゥルージロと同じく医者関係だがあまり笑えない話を披露した。「ある時四輪バイクの事故に息子が巻き込まれてさ、俺は急いで病院へ駆けつけたんだ。息子が簡単な外科処置を受けている間、俺は近くに立って待っていた。すると息子を処置していた看護婦が手を止めて、振り返って言うんだ。"サインもらえます?"って。俺はムカっときて・・その後どうなったか想像つくだろ?」
--{ルー・リードから多くを学んだこと}--
5. コラボ作『Lulu』でジェイムズ・ヘットフィールドはルー・リードから多くを学んだ

「まずは歌詞の持つパワーを学んだ。彼の歌詞は詩なんだ。彼の詩だろうが戯曲だろうが何にでも俺たちは曲をつけた。ひとつの長い物語になっていて、それが何部かに分かれているんだ。俺は誰かの人生や出来事をストーリー立てた曲を書こうとすると、どうしても安っぽく陳腐なものになってしまうんだ。でもルーの歌詞の大部分は、暗く衝撃的なスタイルを貫いている。韻を踏まずに上手く曲に収めるなんてことも俺にはできない。彼は語っていたんだ。歌を歌うというよりも、物語を語っていたんだ。俺はそこで学んだよ。言葉や歌詞をもっと自由に捉えるべきだってことをね。言いたいことをそのまま表現すればいいのさ」。

6. コラボレーションはもう二度とゴメンだと思っている

「ツアーやコラボ作を一緒にやりたいと思うバンドはあるか?」とのファンからの質問に対し、メンバーは一斉に沈黙した。「俺はこのメンバーが好きだ」とウルリッヒが口火を切った。「俺自身は、このメンバー以外とやる気は全くないね」。「他のミュージシャンとジャムセッションしたりするのは楽しい」というメンバーもいたが、全員がドラマーの意見に賛同した。

7. レミーがいなければメタリカは存在しなかった

ニューアルバム『Hardwired ... to Self-Destruct』の中の『Murder One』は、モーターヘッドのフロントマンで今は亡きレミー・キルミスターに捧げた曲で、歌詞の中にはレミーの曲のタイトルが多く出てくる。"レミーはメタリカにとてつもなく大きな影響を与えた"vとメンバーは口々に言う。「メタリカが今ここにこうやって存在するのは、モーターヘッドによるところが大きい」とヘットフィールドは言う。「レミーに関して言えば、彼は父親のような存在だったし、俺たちをすごくサポートしてくれた。レミーは恐れを知らない人だった。彼は自分というものをしっかり持っていた。彼は彼でしかあり得なかった。俺たちはそんなレミーを心からリスペクトしている。彼は最期の瞬間まで自分を貫いた。彼の生き方にインスパイアされない奴なんていないだろ?」

「1981年の夏、俺はモーターヘッドのツアーの追っかけをしていた」とウルリッヒが明かす。「その時、バンドをやってみたいって真剣に思ったのさ。南カリフォルニアへ戻ってすぐ、ジェイムズに電話して言ったんだ。"いいか、俺たちで一発ぶちかましてやるぞ"ってね。モーターヘッドがすべてのきっかけだったんだ」。
--{メタリカの気になる若いバンドは?}--
8. メタリカの気になる若いバンド

あるファンが「ヘヴィメタルの将来を担うバンドはいるか?」と尋ねた。しばらくの沈黙の後、ヘットフィールドが口を開いた。「そうだな・・ここに君のデモテープを持ってきいてるか?」とジョークを飛ばすと、ハメットが気になる新しいバンドについて語り始めた。「ちょっと前に、あるバンドのビデオを観たんだけど、結構よかったよ。バンド名が難しいんだけどね。"ホラー"って読むんだけど綴りは"Ho99o9"なんだ」。

ヘットフィールドは、最近これといって印象に残るメタルバンドは聴いていないという。「シンコペーションはどこへ行った? ハートはどうした? 俺は頭にきてる。俺みたいに思う奴が出てきて、新しいクールでユニークな何かを成し遂げて欲しいんだよ。他人と違う曲を書かなきゃいられないって奴が出てこなきゃいけないんだ」。

ウルリッヒは、カナダのサイケデリック・ロック・バンド、ブラック・マウンテンの名前を叫んだものの、お気に入りの別グループの話を始めた。「数ヵ月前、グラストンベリー・フェスティバルで、サヴェージズって女の子4人組のバンドを観たんだ」。すると「女の子(Chicks)? ちっちゃなチキンか?」と、ここでもヘットフィールドが口を挟む。ウルリッヒは構わず続けた。「舐めたもんじゃない。彼女たちは凄いよ。パンキーでエネルギッシュで、スーパーダークなんだ。リトル"スージー・アンド・ザ・バンシーズ"って感じで、ダークでどこか神秘的なユーロパンクなんだ。シャウトするヴォーカルの存在感が凄いんだ。ぜひ観て欲しいね。彼女らはちょっと違うよ」。

9. なんだかんだ言ってもメタリカはロックの将来を心配している

「次の世代のアリーナ・バンドはどこにいる?」とハメットは言う。「どこだ? 誰か教えてくれよ」。トゥルージロは最近、ブラック・サバスのギーザー・バトラーと同じテーマについて話し合ったという。「ロンドンからカリフォルニアへ行く飛行機の中で彼と一緒だったんだけど、彼はこう言った。"メタリカが去り、俺たちが去ったら、誰が引っ張っていくんだ? 次は誰だ?"ってね。俺は"ちょっと考えさせてください"って言うしかなかったよ」。

Translation by Smokva Tokyo

Kory Grow

最終更新:10/6(木) 17:00

ローリングストーン日本版

記事提供社からのご案内(外部サイト)

RollingStone 2016年10月号

株式会社パワートゥザピープル

2016年10月号
9月10日発売

710円(税込)

表紙:トム・ヨーク
特集:IMAGE
ロック&ファッション&アート
高橋盾(UNDERCOVER)
ヒステリックグラマー 他

Yahoo!ニュースからのお知らせ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。