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南スーダンに入った日本人NGOスタッフが警告「自衛隊はいつ戦闘に巻き込まれるかわからない」

HARBOR BUSINESS Online 10/6(木) 16:20配信

◆避難民支援のため、丸腰で南スーダンに入った日本人NGOスタッフ

 昨年の安保法制で成立した「駆け付け警護」の任務が11月、PKO(国連平和維持部隊)として南スーダン派遣中の自衛隊に付与される見込みだ。日本では憲法との兼ね合いから賛成派と反対派が激しくぶつかっているが、南スーダンの現状そのものは日本に伝わってきていない。

 そこで、南スーダン現地で避難民への支援活動を行っている「日本国際ボランティアセンター」(JVC)スーダン事務所代表の今井高樹さんに話を聞いた。今井さんは9月、南スーダンに入り、避難民の支援を実施したばかり。7月の戦闘激化以降、南スーダンに入った日本人は、自衛隊と政府関係者を除けば今井さんくらいだろう。

◆村人を次々に撃ち殺し、遺体を家に投げ込み、火を放ち……

 今井さんは現地の状況をこう語る。

「南スーダンは2011年に誕生した世界で一番新しい国です。2013年12月に内戦が勃発。昨年の8月に和平合意に達し、統一政府ができました。しかし今年7月には首都ジュバを中心に再度内戦状態に突入。現在では戦場は南部に移りつつありますが、250万人もの人々が国内外で避難民になる事態となっています。

 私が支援を行った首都のジュバはだいぶ平穏を取り戻しつつありますが、首都を一歩出ればひどい状況です。日常的に戦闘行為が行われています」

 今井さんは、ジュバ郊外の教会に避難している母親たちからこんな話を聞いたという。

「ある日突然、武器を持った連中が村に攻めてきました。村人を次々に撃ち殺し、遺体を切り刻んで家に投げ込み、火を放ちました。私は子どもたちと倉庫に隠れ、隙をみて必死に逃げてきました。誰が攻撃してきたのかも、何の目的かすらもわかりません」

「私たちは生きているだけまだ幸運です。村では、子どもたちがまるで“食用の鶏”のように次々と殺されています」

◆自衛隊活動予定地では銃撃や暴行、国連関係車両への妨害等が頻発

「現在南スーダンで行われている戦闘は、単なる政府軍VS反政府軍というものではないんです。政府軍以外の兵士は軍服を着ていません。そして政府側・反政府側のどちらにも、武装勢力の民兵が戦闘に参加しています。

 一般の人々は誰と誰が戦っていて、自分たちが何のために攻撃を受けているのかもわからない状況です」

 そんな苛烈な状況の南スーダンに派遣されている自衛隊は、大丈夫なのだろうか!?

「日本政府は南スーダンで『紛争は発生していない』と話しています。起きているのは、あくまで『発砲事案』であると。日本の自衛隊派遣にはPKO5原則というものがあり、戦闘当事者の間で停戦合意が行われていることが条件となっているので、そのような言い方をしているのでしょう。

 しかし、戦車や軍用ヘリが日常的に戦闘行為を行っている状況が、どうして『紛争』ではないのでしょうか。また、自衛隊は憲法9条のからみから他国軍とは交戦できないことになっています。しかし、戦闘しているのが誰かもわからないところで、どうやって『軍』と『軍以外』を分けるのでしょうか。

 自衛隊の活動現場になるであろうジュバのPKO司令部は、避難民保護施設に隣接しています。その周辺では銃撃、兵士による住民・避難民への暴行、国連関係車両への妨害行為が頻発しています。いつ戦闘が発生し、それに巻き込まれてもおかしくないでしょう」

◆自衛隊PKOだけでなく、南スーダンの現状にも目を

 南スーダンではJVCを含め、多数の団体が支援を実施しようとしているが、避難民は一向に減る気配がない。

「あまりにも避難民の数が多いため、対応しきれていないんです。加えて国連の食料倉庫が襲撃されたり、支援物資を運んでいるトラックが攻撃されたりといった状況です。南スーダン政府も国連やPKOを敵視している節があり、『外国人だから』といっしょくたにしてNGOのトラックでも検問を通さないことがあります。

 日本では自衛隊PKOの問題だけで、南スーダンのことが語られていますが、そこでは多くの人が殺され傷ついている。そのことにも目を向けてほしいです」

※JVCでは南スーダンの緊急支援に対する寄付を募っている。詳しくはJVCのHPを参照。今井さんは現在日本に一時帰国し、10月12日に東京・築地本願寺講堂で報告会を開催する。

<取材・文/白川愚童 写真提供/日本国際ボランティアセンター(JVC)>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:10/6(木) 16:20

HARBOR BUSINESS Online

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