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ダイエット、見習うなら「メキシコ人」より「フランス人」? ドクター秋津がジャッジ! 健康長寿の新常識

デイリー新潮 10/6(木) 12:30配信

 総合内科医の秋津壽男(としお)医師(62)のジャッジの下、これまで様々な健康長寿の新常識を紹介してきた本シリーズも、今回で最終回である。

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 糖質やカロリーの話の流れから、最後は皆さんの関心の高いダイエットに関する設問で締めましょう。

■【Q10 「フランス人」と「メキシコ人」ダイエットで見習うべきはどっち?】

 フランス料理といえば、バターや生クリームを使った高カロリーのイメージが強い。一方のメキシコ料理は小麦やトウモロコシの粉を焼いたトルティーヤやアボカドといった食材が頭に浮かぶ。ヘルシーなのはメキシコ料理と言えそうです。

 ところで、わんこそばを食べたことがある人なら、普段より量を食べられて不思議に思った記憶はありませんか。原因は、満腹中枢が「お腹いっぱい」と判断するまでにはタイムラグがあるからです。太りたければ早食いが最も合理的な方法となります。

 そこでフランス料理に目を転じると、真っ先に思い浮かぶのがコース料理です。ゆっくりと何回かに分け、料理の皿がテーブルに運ばれてきます。時間をかけて食事を楽しむのは、なにもレストランだけに限りません。家庭でも、彼らは食事中の会話を大切にするため、昼食や夕食に費やす時間は1時間を超え、2時間以上に達することも珍しくないそうです。早食いの真逆ですから、血糖値の上昇が穏やかになり、糖質が減るメリットが期待できます。

 こうした食習慣が根付いているから、フランスは実は肥満人口が少ない。逆に肥満人口が多い国でトップに挙がるのは、アメリカ、そしてメキシコです。アメリカはイメージ通りですが、メキシコの上位登場に驚いた方も少なくないでしょう。

 原因として指摘されているのが、近年、ファーストフード店が急激に増えたこと。まさに「早食いの弊害」が国家レベルまで広がってしまったわけです。こうした結果、2013年には、国連食糧農業機関(FAO)の調査で、経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国中、メキシコは成人肥満率が最も高い国として、アメリカを抜き、トップに躍り出てしまった。

 したがって、ダイエットで見習うべきは、世界有数の「肥満大国」メキシコではなく、フランスとなります。もっとも、我々も毎日、懐石料理というわけにはいきません。行儀よく箸を持ったり、よく噛むことなどを意識し、満腹中枢が反応しやすくなるよう、ゆっくりと食事を楽しむことを心がけたいものです。

 これで健康長寿のための新常識10項目が揃いました。

 どれも身近なテーマで、大金をかけることなく、始められるものばかりです。

 長生きは権力者やお金持ちの特権ではありません。フランス国王・シャルル10世(1757~1836年)の専属外科医、ショヴォ・ド・ボーシェーヌはこんな言葉を残しています。

「健康は、この上なく高価で失いやすい財宝である。ところが、その管理はこの上なくお粗末である」

 年々、新しくなる医療の常識を念頭に、日々の生活で体調管理に努める。それこそが、健康長寿へ確実にアクセスできる近道ではないでしょうか。

特集「『ドクター秋津』がジャッジ! 健康長寿の『新常識10』――秋津壽男(総合内科専門医・秋津医院院長)」より

秋津壽男(総合内科専門医・秋津医院院長)

「週刊新潮」2016年9月22日菊咲月増大号 掲載

新潮社

最終更新:10/6(木) 12:30

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