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“豊洲”東京ガスの有害土地に1860億円…石原元知事の“懐刀”が明かす

デイリー新潮 10/6(木) 9:00配信

 ある女が2人の男と一緒に寝て犯された。どちらに乱暴されたかわからず女は悩み続ける。それが通奏低音のごとく物語を貫くのが横光利一著『上海』だ。そんなバカな? という類のものだが、ここ豊洲にも同種の話あり。都は市場用地取得のために、1860億円を東京ガスなどの地権者に支払った。二束三文の埋め立て地を有害物質だらけにした当事者たちが濡れ手で粟とはこのこと? 

 ***

 戦後の復興でエネルギー需要が一気に高まり、工場用地取得が宿願となっていた東京ガス。1954年1月に都議会で豊洲埋立て案が通過、88年まで約30年に亘って操業を続けた。ガスの製造過程で発生するタールの残りかすには発がん性物質「ベンゼン」が含まれる。事実、環境基準の4万倍を超すこの物質が検出されたこともあるほど、豊洲は汚染度が高かったのだ。

 その一方で都は、築地市場再建案などを検討した時期があったものの、豊洲移転へ舵を切る。それは99年9月のことである。

「当選直後の石原(慎太郎)知事が築地を視察して、“古い! 狭い! 危ないなぁ!”と言ったんです。インパクトがありましたよ」

 と振り返るのは社会部デスク。

「移転先として都は豊洲に白羽の矢を立て、東京ガスと本格交渉に入りました。ところが、2000年6月に東京ガスはこれを拒否します」

 事実、東京ガスに聞くと、

「住居・商業・オフィス等を念頭に置いた開発プランを進めており、都に対して豊洲移転は基本的に受け入れがたいという考えを示しました」

 やんぬるかな、というところで交渉役として送り込まれたのが、他ならぬ浜渦武生元副知事。石原元知事の一時の懐刀である。

「私は豊洲がある江東区議会と区長を口説く作戦に出ました」

 と、交渉のひとくさりを話し始めたのは、当の浜渦氏である。

「特に区長は都について、“迷惑施設ばかり押し付けられて困る”と大きな不満を持っていました。そこで、彼が何を求めているのかを確かめたところ、“観光スポットが欲しい”と。これを受けて私が、“市場を豊洲へ持って来れば、周辺に観光施設を作ることができるのでは”と提案し、区長は承諾したのです」

 他方、東京ガスに対し、

「ガス会社と市場の公益性を強調し、都と一緒にやっていこうじゃないかと説得したのです」

 結果、01年7月に両者のあいだで売買に関する基本合意がなされる。

「私の政治力と腕力があったからだね。価格については一切話をしていません。その前段階の交渉を担ったのです」

「壮大なモノを作る開発プラン」があっという間に覆った背景には、東京ガス側に価格つり上げの意図がないわけではなかった、そう勘ぐられても仕方なかろう。

「理解しがたいのは、通常ならば東京ガスが負うべき汚染土壌対策費の多くを都が捻出している点。都の負担が850億円であるのに対し、東京ガスの方は180億円。歴然としていますからね」

 そう言って大手不動産会社幹部のひとりも首を傾げるし、この問題を追及する急先鋒の曽根はじめ都議も、

「件(くだん)の土壌が汚染されているのは明白で、民間同士の取引なら価格は抑えられたはずです」

 と指摘するのだ。

 前掲書は結末で、雛の死骸にゴミや油が寄り集まるさまをこう表現する。

〈一つの小さな島を泥溝の中央に築いていた〉

「特集 どんどん湧き出る『アルカリ地下水』と疑問点 イースター島より不思議な豊洲アイランド! バカな話が多すぎる『豊洲のパンドラ』10の疑問」より

「週刊新潮」2016年10月6日号 掲載

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最終更新:10/6(木) 12:22

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