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待機児童問題解決には1.4兆円あればいい

日経DUAL 10/6(木) 11:55配信

皆さん、こんにちは。治部れんげです。日中もだいぶ涼しくなってきて、夜は虫の音が聞こえるようになってきました。保育園や幼稚園、学校は運動会の季節ですね。わが家の小学生は、YouTubeで踊りの振り付けを見ながら、家でも練習に励んでいます。

前回記事「シルバー民主主義って何?子ども優先の社会を作るには」では、「シルバー民主主義」という高齢者優遇政策の問題についてご紹介しました。今回はさらに、この問題を深く掘り下げます。日本の国家予算に占める社会保障費は年間約110兆円に上ります。ところが、子育て関連費用はそのうちわずか5%。このことは、保育園不足や学校教育に向ける資源が不足するという問題につながっています。そこで、「これはおかしい!」と考える、教育・政策・メディア関係者などの有志が「ニッポン教育応援団」というグループを作りました。目標は、政府の教育財源を5年以内に倍増させること。ソーシャル署名(記事末参照)を活用し、まずは1万5000人を目標に呼びかけをしています。

9月18日(日)に「子どもたちのための社会を創り、日本の未来を育てよう~ニッポン教育応援団第1回シンポジウム」を開催。第一部は社会学者と経済学者によるデータ満載の講演。第二部は経営者やロビイングの達人が加わり、パネルディスカッションが開かれました。私も趣旨に賛同して手伝わせていただき、パネルのファシリテーターを務めました。議論のエッセンスをご紹介します。

■日本経済の低迷の要因は、保育と大学にお金がかかりすぎること
 まず始めに、社会学者で京都大学准教授の柴田悠(はるか)先生による講演。国際比較や定量分析に基づく論理的な内容は「子ども予算倍増」の強力な説得材料になりそうです。



 最初に柴田先生は、日本の課題を全体像として提示しました。「日本は保育と大学にお金がかかりすぎるため、『0~2歳保育利用率』と『大学進学率』が低く、それらが経済低迷の要因になっています。大学進学率の国際比較で日本はOECD平均を下回っており、学生1人当たりの公的高等教育支出の国際比較においてもOECD平均を下回っています。小中高は先進諸国並みに安くなっているのと対照的です」。

 その後、保育・教育・高等教育を無償化することの意義に話が進みました。「長期的に見たメリットは、3~4歳での保育教育により非認知能力が上がり、それが所得上昇につながること。それにより犯罪率が下がり、税収が増えて、政府支出が減るため、子どもがいない人にも将来的メリットがあると言えます」。ノーベル経済学賞を受賞した受賞した米シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授の研究を引用しつつ解説します。

 柴田先生は、日本財団によるこのような試算も紹介しています。「日本にいる貧困な子ども(15%相当)の高校進学率・大学進学率が向上すると、一学年あたり、課税前の生涯賃金が2.9兆円増えて、税・社会保障の政府純支出(社会保障支出-税・社会保険料収入)が1.1兆円減ります」。

 もし、すべての子どもの保育・教育・高等教育を無償化すると、合計コストは約8兆円となるそうです。また、DUAL読者の関心が高いであろう保育園不足問題を解決するため、潜在的待機児童の解消と民間認可園保育士の賃金を上げることに「合計で1.4兆円」が必要ということです。対象者を限定することの課題も踏まえつつ、思考や試算の過程を丁寧に解説してもらい、とても勉強になりました。

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最終更新:10/7(金) 11:00

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