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「看護師ストーカー」になってしまう患者たち

週刊SPA! 10/6(木) 9:10配信

 看護師へのストーカー被害が絶えないという。“白衣の天使”とも言われる献身的な職業イメージゆえ、患者とのトラブルは報告しづらいという背景もあるようだ。そんな看護師たちの悩みの声を聞いた。

⇒【資料】警察庁「ストーカー事案の相談等状況」より

◆なぜ? 看護師へのストーカーが多発

 まず、国内全体のストーカー被害は、2013年から2015年にかけて3年連続で2万件を超えている。警察庁の発表によると、警察が昨年1年間に把握したストーカー被害は2万1968件で、被害者の89.3%は女性だった。被害者は20代の35.1%が最多で、30代が26.5%、40代が18.0%、そして10代が9.5%と続いている。一方の加害者は85.7%が男性だった。今年5月、シンガーソングライターとして活動していた女子大生の冨田真由さんが、ファンの男とされる岩埼友宏容疑者に刃物で刺され、意識不明の重体となる痛ましい事件も記憶に新しいところだ。

 そして、ストーカー被害に遭いやすい女性の職業の中でも、看護師による被害報告は少なくない。北里大学の和田耕治講師(公衆衛生学)らの調査によると、調査した220人の看護師のうち、患者のストーカー行為を経験した看護師は24人で、全体の11%が実際にストーカー被害に悩まされた経験があるとわかった。なぜ、看護師へのストーカーが多発しているのだろうか?

◆ストーカーへと変貌してしまう患者の共通点

 心身ともに弱ってしまった患者にとって、看護師は優しさに溢れた頼もしい存在だ。自分だけではできないことを親身になって助けてくれる。こうした“優しさ”から、残念なことに一部の患者から過度に好意を寄せられ、困惑している看護師がいるのも事実である。看護師を狙ったセクハラや犯罪は絶えず、身の危険を感じて退職する人も少なくない。さらにはSNSの普及により、その悩みが余計に大きくなっていると都内在住で20代の女性看護師は言葉を漏らす。

「かつての患者さんから『お世話になったお礼を言いたいからお会いしたい』と連絡をいただくことがあります。しかし最近では、TwitterなどのSNSを使って不特定多数に拡散してまで私の身元を探そうとする方もいて、それに同情するように情報を提供する方もいます。看護師はストーカー被害に悩まされることが多いので本当に困りますし、感謝の言葉だけいただければ十分です」

 しかし、困難をともに乗り越えた看護師に好意を抱くのは女性でも同じだ。かつて看護師に救われたという30代の女性は「腫瘍の摘出手術で、局所麻酔で意識があった私の手を握ってくれて、同性なのに惚れてしまいそうになった。これが異性の看護師さんなら、恋愛対象として惚れてしまう人がいてもおかしくないですよね。看護師さんもたくさん面倒なことがあって大変そう」と話した。

 それでは、どういった患者がストーカーへと変貌してしまうのだろうか?

 実際に看護師と現場で働く40代の男性医師は「看護師は患者との距離が近かったり、お尻を突き出すなどの動作があったりと、患者が異性として意識してしまう状況が少なくない。看護師に優しく看病されることを勘違いし、好意を寄せてしまうという話はよく聞きますし、モテない男性のほうが勘違いしてしまう傾向がある。幼少期に両親に甘えられなかった人や、親が受け入れてくれなかった生い立ちを抱える人がストーカーになりやすいとも言われる」と分析する。

◆高齢者によるストーカー行為も

 また、高齢化が進んだことにより、近年では高齢の患者によるストーカーも増えている。警察庁の統計によると、2011年に313人だった70歳以上のストーカー加害者は2015年にはおおよそ倍の615人に、同じく60歳代では983人から1,510人に、50歳代では1,468人から2,261人へと急増している。ストーカー行為により逮捕される高齢者も同様に増加の一途をたどっているのだ。

 看護師が高齢の患者に寄り添い、良好なコミュニケーションを図ろうと接していたところ、一部の患者から強い好意を寄せられてしまう。看護師はそれが恋愛感情だと気づかずに親身な対応をし続け、その結果、ストーカーに発展してしまったという事例は絶えないようだ。これは飲食などの接客業も例外ではない。

 こうしたストーカー被害は「病人だから許しなさい」「患者を疑っているのか」と黙殺されてしまう風潮が医療機関にあり、報告されないケースもあるという。被害に遭ったら警察に通報する必要はあるが、警察も看護師と患者という関係上、介入が難しいのが現実で、なかなか捜査されにくい実態があるという。

 最後に、ストーカー被害を未然に防ぐ対策を、前出の女性看護師はこう話す。

「患者さんに対して、誰にでもいい顔をする、負の感情があっても笑顔が絶えない、優柔不断でハッキリしない、こうした性格の看護師さんは気をつけてほしい。たとえ患者さんでも、されて嫌なことはハッキリ断る意思表示が大切で、まずは自分の身の安全のためにも、しっかりと一線を引く態度を取り、その上で患者に寄り添うこと。職場以外では患者さんとの関わりを持たないのが原則です」

 重い病気にかかったときほど、その人本来の性格や人間性が表に出てきてしまうもの。だからこそ“余計な迷惑”をかけてしまう患者にはならないためにも、看護師との関係を見誤らないことは意識しておきたい。 <取材・文/北村篤裕>

日刊SPA!

最終更新:10/6(木) 9:10

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