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「中国に朝貢せよ」でプチ炎上した外山恒一。その真意は「ほめ殺し」だった!?【1万字インタビュー】

週刊SPA! 10/6(木) 9:10配信

 9月中旬、自称ファシストの外山恒一氏が「日本は中国に朝貢せよ」と訴えるインタビューを掲載したところ、案の定、彼に対する非難や罵声がネット上で飛び交う事態に。果たして彼の主張は本気なのか? 確かめるために再度のインタビューを試みた。

⇒【写真】外山恒一氏

――先日の「日刊SPA!」でのインタビュー記事の反応、最悪でした。

外山:えっ、そうなんですか? いいことしか言ってないのに、おかしいなあ。

――ウチの記事は他のニュースサイトにも転載されるんですが、Yahoo!ニュースではコメントが1500件以上ついてて、大半というか99%は批判、非難、罵倒という感じです。

外山:ネットでの炎上とかって、調べてみたらほんの数人のネトウヨみたいなのが工作してただけだった、って話もよく聞くじゃないですか。1人で1500件コメントつけた奴がいるんじゃないですか?

――いやいや、それはないでしょう。「国賊め」「日本から出て行け」……そういうコメントばっかりです。

外山:記事の地の文でも「売国奴め!」ってツッコミを入れてたわけだし、編集部的にはいわゆる“炎上商法”ってやつで、「してやったり」じゃないんですか?

――滅相もない。せっかく企画に登場いただいた外山さんの評判をますます落とすような結果になってしまいました。

外山:“ますます”?

――そこで改めて外山さんに発言の真意をおうかがいして、もっと火に油を……いや火を消すことに努めたい、と。

外山:編集部の“真意”はともかくとして、私は訊かれれば何でも答えますよ。

――ありがとうございます。ではさっそく。まず問題のインタビュー記事での発言は、外山さんとしてはべつに奇をてらっているのでも何でもなく、本気のものなんですよね?

外山:もちろんです。私は選挙にも民主主義にも反対しているファシストですし、反米主義者で中華主義者です。

――一番反発を受けたのは、“反選挙”や“反民主主義”ではなく、“反米”でも“ファシズム”ですらもなく、“中華主義”の部分だと思われます。

外山:そうでしょうね。みんな中国が嫌いですもんね。

――外山さんは「アメリカと手を切って中国の側につけ」と言っています。それも「朝貢しろ」と、日本が中国の“下”につく形でそうしろと言っているように受け取れるんですが……。

外山:今だってアメリカに朝貢しているようなもんじゃないですか。どうせ朝貢するんなら、にっくき欧米列強の鬼畜米英なんかにではなく、大東亜共栄圏の同胞である中国に朝貢する方がずっといいでしょう。

――でも中国は正直やっぱり怖いですよ。とくに近年、“大国”として力をつけてきてからは、台湾やフィリピンを軍事的に挑発したり、ウイグルやチベットでやっていることも酷いですし、自国民に対してさえ言論の自由を認めないし、とうてい仲良くできるとも思えません。

外山:気持ちは分かります。しかし、まず第一に、私が「日本はアメリカにではなく中国につけ」と言っているのは、好き嫌い以前に、他に日本が生き延びる道がないからです。問題のインタビューでも言ったとおり、アメリカはもう日本を見捨てる気マンマンです。というより、“対テロ戦争”も泥沼化する一方だし、もう世界の問題からは手を引いてしまいたいという衝動を日に日に強めています。“トランプ旋風”にもそれは表れているでしょう。そもそもアメリカは第一次大戦まで、実質的には第二次大戦まで、国外の問題には首を突っ込まないことを国是としていた国で、むしろ“保守派”の側にこそ“引きこもり願望”が脈々とあるんです。しかも中国が急速にノしてきて、アメリカに対抗しようとしているし、それを完全に抑え込めるとはアメリカももう考えてませんよ。

――だからといって、仮に例えば尖閣問題がもっとこじれて、中国が日本を武力で攻撃してきたとして、アメリカがそれを黙って見ているでしょうか?

外山:本音としては関わりたくないはずです。しかし同盟国である日本を見捨てたら、他の同盟国もアメリカを信用してくれなくなりますから、仕方なく介入してくるでしょうね。

――ですよね?

外山:今のところは、です。しかし仮に中国が“問題のすりかえ”に成功すればどうでしょうか?

――どういう意味ですか?

外山:尖閣諸島がどうこうという“領土問題”で揉めているのではないんだ、日に日に右傾化し、過去の侵略戦争を美化し、戦前の体制の復活をもくろむ自民党支配の日本に“懲罰”を加えなければいけないんだ、というふうにです。念のために言っておきますが、私は、日本が右傾化しているとも、過去の日本の戦争がすべて間違っていたとも思いませんよ。あくまでも、中国がそんなふうに“問題のすりかえ”をおこなうことは可能だという話で、もしその方向で中国が国際世論を説得することに成功してしまえば、アメリカには日中の紛争への介入をサボる口実ができますし、アメリカとしてもそっちのほうが助かるんです。

――そんなの無茶苦茶じゃないですか?

外山:いや、“日本は過去に酷い侵略戦争をやった旧敵国だ”という認識に関しては、どちらも戦勝国である中国とアメリカの間にまったく齟齬はないんですからね。もちろんそういった国際世論形成の成否とは無関係に、アメリカにはすでに中国を完全には抑える力がないことは明らかで、中国が絡んだ場合には介入したくてもできない、という状況にアメリカはますます追い込まれていくでしょう。太平洋の真ん中あたりに勢力圏の分割線を引いて、「ハワイにまでは手を出すなよ。それより向こうはもう中国で好きにやってくれ」などとアメリカは言い出しかねません。周辺諸国に対する最近の中国の振る舞いを見ていれば、アメリカが口出ししてこないという確信さえ得られたら、日本に対しても平気で武力行使でも何でもやってくるでしょう。今は中国にまだその確信がないだけですよ。

――怖い話です。考えたくもないですが、中国と戦争になったら日本はやっぱり勝てないんでしょうか?

外山:勝てるわけありません。核武装したって勝てませんよ。理由は簡単で、中国は自国民の命を大事にしないからです。日本が核武装して、アメリカにそれを向ければ、アメリカはもう日本に無茶な要求をできなくなるでしょう。アメリカは自国民の命は大事にするからです。しかし中国に向けたところで、向こうは「やれるもんならやってみろ」ですよ。実際かつて冷戦時代の真っ最中に、アメリカに対してそう言ってのけたような国ですよ、「こっちは何億人いると思ってんだ」って。

――しかし、いくら中国でも、それこそ国際世論の手前もありますし、そう簡単に核攻撃なんかできないでしょう?

外山:もちろんです。仮に尖閣問題その他がこじれて、偶発的であれ何であれ武力衝突が起きてしまって、原因は向こうの作戦かこっちの無能か、日中戦争の時にそうであったようにズルズルと戦線を拡大させて、ついには全面戦争に発展したとしましょう。私も日本の自衛隊がそんなに弱いはずはないと思ってますし、通常兵器で争ってるうちは、もしかしたら勝てるかもしれません。そしておっしゃるとおり、だからといって中国も核攻撃にはなかなか踏み出せないでしょう。しかし、私がもし中国の指導者であれば、万が一負けそうになった時には、ウイグル人の兵士に命じて非公然の決死隊として日本に上陸させ、原発を破壊した上で全員その場で自決させますね。そして、「やったのは我々ではない。イスラム原理主義者によるテロだ。卑劣なテロを断乎として糾弾し、交戦中の敵国のこととはいえ、日本の犠牲者に哀悼の意を表する」とかなんとか声明を出します。それで2、3基やられたら日本はもうお手上げでしょう? 逆に日本が中国に対して同じことをやり返したって、向こうは平気ですよ。

――怖いシミュレーションがお好きですね。

外山:常に最悪の想定を考えておかないとダメなんです。威勢のいいことばかり言ってれば日本の独立が守れるんなら世話ありません。

――逆にそこを批判してる人も、もちろんごく少数ですが、いました。「日本の独立」を云々するようになるとは、外山恒一も堕ちたもんだな、的な。

外山:そんな“批判”をしてくるのは、ネトウヨとどっちもどっちのヘサヨでしょう。私もかつては国家とか民族とかどーでもいいというアナキストでしたが、2003年に獄中でファシズム転向した時点で、ナショナリズムには肯定的な立場をとるようになっています。私自身はファシストであって、ファシストというのは日本人でも人類ですらもなくただただファシスト党という結社の一員であるというアイデンティティを持っていますから、私は愛国者ではありませんが、愛国者の皆さんと根本的に対立するような主張はしていないはずです。世界情勢の都合の悪い展開は直視せず、自分は愛国者であるというアイデンティティさえ守っていれば日本の独立も守れると思い込んでいるようなマヌケな連中を、私は愛国者だとは思っていませんから、1500人のニセ愛国者に非難されようが何とも思いません。とにかくアメリカが日本をついに見捨てる日はそう遠くない将来に必ずやってきます。その“運命の日”を、今と同じように中国を敵国としたままで迎えてしまえば、それこそ日本は中国に侵略されて、滅びるでしょう。

◆外山氏は中国を“褒め殺し”ている?

――だから今のうちにアメリカから中国に寝返って、仲良くしておけというのが外山さんの主張ですよね? しかしあんな人権も何もないような国と、どうすれば仲良くできるでしょうか? 尖閣問題だけでなく、靖国参拝とか歴史認識の問題とか、対立点を山ほど抱えてしまっています。

外山:私が実際に経験したことをお話ししましょう。私は全国各地で時々“トークライブ”と称するイベントを開催していますが、私の“トークライブ”というのは、2時間なら2時間、最初から最後まで“質疑応答”です。聴衆に「何でも訊いてください」と言って、訊かれたことに答えるわけです。ある時、「過去の日本の戦争についてどうお考えですか?」という質問が出ました。それに対して私はまず、「前提として私は中華主義者であり、中華主義者としてお答えします」と言いました。

――いつ頃の話ですか?

外山:3年ぐらい前だと思います。

――その時点ですでにもう“中華主義者”を自称していたんですね。

外山:もっと前からですよ。10年前にはもう言ってたと思います。それは呉智英センセイの著作からの影響も大きい。呉智英センセイは、実はネトウヨ的な言説の源流でもあると私はニラんでいますが、“封建主義者”を自称して、『論語』の勉強会を主宰されたりもしていて、かなり前に何かの座談会で「最近の若者はアメリカ文化ばかりありがたがってケシカラン、支那の古典を読め、古典を」みたいな発言をされていたのも痛快でした。まだ直接お会いしたことはありませんが、私は極左時代から呉智英センセイの愛読者で、影響もかなり受けています。

――それで、日本の過去の戦争に関する質問に“中華主義者として”どう答えたんですか?

外山:中華主義者ですから、というより単に厳然たる事実として、東アジアの中心は中国です。ここ100年か200年、一時的にパッとしなかっただけで、数千年来ずっとそうですよね。東アジア文明の中心は中国で、日本なんて東の辺境の未開な野蛮国の1つにすぎません。

――そこまで言いますか。

外山:いいんです。謙譲は日本人の美徳です。大事なのはここからです。東アジアの中心は中国なんだから、19世紀に欧米列強が東アジアに侵攻してきた時に、中国こそ先頭に立って、属国である日本や朝鮮やベトナムその他を従えて、これと戦うべきでした。ところが当時の清朝末期の中国の政権は腐敗していて、周辺諸国をまとめるどころか、国内さえまとめきれずに、欧米列強の侵攻を許し、アヘン戦争であっさり負けてしまった。日本はむしろそれでビビったわけです。日本が古来ずっと範として仰いできた、あの強大な中国が負けた。このままだと日本も同じ運命をたどる、と危機感を抱いた“憂国の志士”たちが騒ぎ始めて、やがて明治維新に至るわけですね。で、中国が頼りにならないものだから、日本が代わりに先頭に立って、欧米列強からの圧力をはね返す陣形を東アジアに作らなきゃいけないと決意して、いろいろ頑張ってはみたものの、そもそも辺境の野蛮国の分際では荷が重すぎたというか、なにしろ中国と違ってそんな大役に挑むのは歴史上初めてのことだし、やり方はよく分からないわ、「日本ごときが生意気な」と却って朝鮮や中国から反発を食らうわ、大失敗して最終的にはみじめな敗戦国になってしまう。

――ずいぶんな言い方ですね。そりゃ反発も受けますよ。

外山:しかし、たしかに中国の親分さんや朝鮮の兄貴にはだいぶご迷惑をおかけしましたが、元はといえば中国がちゃんとやらなかったからですよね? 日本は中国がやるべきことを肩代わりせざるをえない立場に不本意ながら追い込まれて、もともと向いてないので巧くやれなかっただけです。中国さえしっかりしていれば、あんなことにはならなかった。そもそも一番悪いのは欧米列強です。これと先頭に立って戦うことを中国がサボったので、本来は団結すべき東アジア諸国がバラバラになって、むしろ互いに敵対し合い、今でもその不幸な敵対関係が続いている。これでは欧米列強の思うツボです。だから、日本の過去の中国侵略について、中国が日本に謝れ。日本の朝鮮侵略についても、中国が朝鮮に謝れ。我々がしっかりしていなかったから、可愛いお前たちに要らぬ苦労をさせたな、って。東アジアの盟主としての矜持を示すべきなんです。そしたらネトウヨだって一夜にして親中派に寝返りますよ。

――またエキセントリックに聞こえる論法を……。

外山:中国が日本に謝罪したからって、じゃあ中国から賠償金をもらおうなんて考える日本人なんかいませんし、口先ひとつで日本を親中派の国にできるんだから、中国としても何にも損はないでしょう。「これが中華主義者としての私の見解です」って答えたわけです。そしたら、その質問をしてきたのはフツーに日本人のオッサンだったんですが、実は聴衆の中に中華帝国様からの留学生様がお2人、混じっておられたんですね。もちろん私はそんなこと知らずに持論をぶってたんです。トークイベントが終わってその場で交流会って段になって、向こうから声をかけられました。

――ヤバい状況ですね。相当怒られたんじゃないですか?

外山:逆です。まんざらでもない、って感じなんですよ。だって私の発言は一貫して、中国を立ててるわけですから。

――それはそうですが、結論としては“中国が悪い”って言ってるわけでしょう?

外山:“過去の”中国が悪かったと言ってるだけです。当時の清朝が腐敗しており、それを打倒して成立した国民党政権も、孫文先生の短い一時期はともかく、あの蒋介石の野郎が実権を握ってからはろくなもんじゃなかったというのは、今の中国共産党だって「そのとおりだ」と言いますよ。清朝も国民党も欧米列強とちゃんと戦わなかった。毛沢東先生は正しくも国民党に対して「欧米列強とちゃんと戦え」と言っておられたが、まだ政権を獲っておられなかった。そこで不肖、我々日本人が中華帝国様に成り代わって欧米列強と戦おうと頑張ったが、しょせん向いてなかったんですよね、でへへ。しかし今や中国は世界に冠たる大国として見事な復活を遂げられました。今度こそ中国を中心に東アジアの団結を実現して、欧米列強の奴らに目にもの見せてくれてやる番です。もちろん我々日本人も喜んでついていきますよ、って話をして中国の方々が怒るわけないでしょう。

――なんと都合のいい……。

外山:その時の中国人留学生様がたもお怒りになるどころか、大変ご機嫌でした。で、「過去のことについてはよく分かった。しかし現在の問題というものもあるでしょう。例えば尖閣諸島の問題ですよ」とさらにご下問になりました。

――今度こそヤバい局面ですね。

外山:そんなことはありません。私は落ち着いて答えました。「申し訳ありませんが、尖閣諸島は中国のものではありませんよ。しかし我々日本のものでもありません。あれは琉球国のものです」って。そしたら留学生様も「そうかもしれんな」ととくに異論はないご様子でした。

――うまいこと言い逃れたもんですね。

外山:私は心にもないことは言いません。私はもともと琉球独立論者ですし、すべて本気で言っていることです。とはいえ、正直なところ「中国人、御し易し」とこの時には思いました。とにかく中国を立ててさえいれば、ご機嫌なんです。

――得意の“ほめ殺し”というやつですか。

外山:関西に住むファシストの大先輩にも「外山君の“中華主義”は実は“中華ほめ殺し主義”やな」と見抜かれてしまいました。しかしべつに仮に中国に見抜かれたってかまわないんです。公式の外交の場で「ほんとは“ほめ殺し”なんですけどね」みたいなことを言いさえしなければいい。儀礼第一の外交の場と、今こうして話してるような国内向けの発言の場とで、立場を使い分ける必要があることぐらい、日本なんかよりずっと政治というものに習熟した中華帝国様ならよく理解してくれますよ。実際、中国と周辺諸国とは何千年もそんなふうにして付き合ってきたんですから。

◆中国をヨイショしまくり、近隣国に気を使わざるを得ない状態に持ち込め!

――でもそんなふうに中国にただおべっかを使って、それで日本の独立が守れるとも思えないんですが……。

外山:それはまた別の話です。ここまでの話は、どっちかというと単に歴史認識問題を有利に解決するための方便としての“中華主義”にすぎません。日本がアメリカに見捨てられるのも、だとすれば今のうちから中国につく以外にないというのも、“中華主義”云々とは無関係に言える単なる事実です。そして、中国につきながら中国の言いなりにならないようにするのも実は簡単です。それはただ時間の問題なんです。

――時間の問題?

外山:アメリカではなく中国につく、という選択が早ければ早いほどいい、というだけです。落ちぶれつつあるとはいえ、日本は今なお世界有数の経済大国です。技術大国でもあります。そんな国が味方についてくれるというのは、中国にとっても悪い話ではないどころか、ぜひそうしてほしいぐらいであるはずです。韓国が味方についてくれるより、日本が味方についてくれる方が中国も嬉しいでしょう。日本の国力はこの先どんどん落ちていくでしょうが、3分の2ぐらいまで落ちてもまだ中国は日本を味方につけたいんじゃないかな。半分まで落ちると危ないと思います。だから早いうちなんです。早ければ早いほど、いわば“中華先生”が担当しているクラスで“先生の一番のお気に入り”というハナモチならん立場を確保して、中華文化圏の中で南北朝鮮ごときよりずっと優位に立てるし、時には“先生にモノ申す”権利さえ手中にできる。一方で、国力がどうあれ、アメリカに見捨てられてからではもう遅いです。こっちからアメリカを見限って、こっちの主体的意志として中国についた、という形にならないと相手にしてもらえません。

――中国の味方をする、というのは具体的にはどういう……?

外山:日中の利害が対立する場合があるのは前提です。そういう時にはこっちはこっちの言いぶんを主張させてもらう。「そろそろPMナントカもどうにかしていただけませんか? 困ってるんです」と言って、なんなら日本で開発した最新の公害除去技術をタダで“献上”したっていい。日本以外の“中華文化圏”内部の問題に関しても同じです。南北朝鮮やモンゴルやベトナムや台湾といった、日本と同じく中国に対して弱い立場の周辺諸国と団結して、中国に対抗することもやっていく必要がある。しかし中華文化圏の外からの中国に対する諸々の圧力には、中国と手を組んで対抗する、という約束をするだけで中国にとっては充分に申し分のない利益であるはずです。

――でもウイグルやチベットや、あるいは中国の国内の人権問題についての欧米の批判は正当なものでしょう? それでも中国の味方をするんですか?

外山:だから中華文化圏の内部では、中国以外の国々と団結しなければいけません。団結して、「ウイグルやチベットにも我々と同程度の“相対的独立”を認めてやってください」と“陳情”すべきです。しかし欧米が口出ししてきたら「うるせー、そっちのルールを押しつけんなバーカ」とアッカンベーをして中国の味方をしてやる。中国は嬉しいでしょう? そういうことが続けば逆に中国もだんだん、欧米からの要求ははねつけても、日本をはじめ周辺諸国からの要求には多少なりとも配慮してやらなければならなくなってくるはずです。“東アジアの盟主”として中国を立てまくり、ヨイショしまくりながら、いつのまにか中国の方が近隣の諸国に気を遣わなければならないような状況に追い込むべきなんです。

――そんなことまでぶっちゃけてしまっていいんですか?

外山:あくまで今は日本国内向けの発言をしています。

――それに中国の周りの国々が団結するというのも、なかなか難しいでしょう? とくに日本は韓国や北朝鮮との間にたくさん対立を抱えています。

外山:べつに日本がその団結の中心にならなくてもいいんですから。ベトナムあたりが中心になってくれるといいと思います。中国の周りの国々は、どこも今は中国の脅威におびえてますよ。中国と協調しようとしている韓国でさえ、要は中国が怖いからそうしているだけでしょう。しかし、おっしゃるように日本と南北朝鮮の関係をはじめ、簡単には仲良く団結できない事情もいろいろある。じゃあ日本は前面に出ずに、ベトナムに出てもらってはどうでしょうか。ベトナムにも日本はかつて一瞬進駐しましたし、ベトナムが必ずしも“親日的”であるかどうかは分かりませんが、南北朝鮮にほどは恨まれている気配もありません。こっちは負けましたが、どちらもアメリカと戦争したことのある国ですし、こっちは運よく台風が来ただけですが、どちらも元寇を撃退した国ですし、もしかしたら多少の親近感は持ってくれているかもしれません。元寇もそうですが、ベトナムは歴史上何度も中国に攻め込まれていて、70年代にも“中越戦争”をやったぐらいで、もともと反中意識の強い国です。

――ほほう。

外山:しかも毎回最終的には中国を撃退していて、それどころかアメリカさえ撃退したような不屈の民ですから、中国もたぶんベトナムには一目置いて、あるいはベトナムだけは敵に回したくないと恐れてすらいるはずです。第二次大戦中の進駐については平謝りして、「いやーしかしお強いですね、私どもなんかアメリカの野郎にコテンパンにやられちゃいましたよ、ベトナムさんが叩きのめしてくれてスカッとしました」とかヨイショして、“いざとなったら強いベトナム”と“今なお中国に次ぐ経済大国・日本”が手を組んで、ベトナムを先頭に立て日本がそれを支えるという形で中国を牽制する陣形を作り始めれば、最終的には南北朝鮮だってこれに加わる他なくなるはずです。しかも日本より韓国のほうがベトナムにとって“最近ウチを侵略してきた連中”ですから、ベトナムと仲良くしている限りは、韓国は歴史認識問題で日本をどうこう責めたてようにも「そんなことを言うがお前らだってベトナム戦争の時に……」とベトナムに突っ込まれかねなくなるので、そこらへんも好都合です。

――悪質なことばかり考えてますね。

外山:ファシストですから。ファシズムというのは、原理原則なんてものはないんだ、という認識を原理原則とする、“結果うまくいきゃあ何でもいいんだ”的な思想です。世界が単一の原理原則で覆い尽くされてしまうことに反対し、それぞれの地元のナショナリズムと結託して、今ならアメリカ的な“グローバル・スタンダード”に抵抗し、かつてイタリアやドイツの先輩たちは米ソ2方向からの自称“普遍的正義”に対抗したわけです。日本の独立なんか相対的なもので充分で、そもそも今だってアメリカの属国です。“完全な独立”を目指すことを原理原則として、相対的な独立さえ失ってしまうような結果になるのでは元も子もありません。望みうる最良の結果が相対的独立である以上、そこを目指して、あとはいくら姑息に立ち回ったっていいんですよ。

――とはいえ、“周辺諸国の団結”は中国としても何としてでも阻止してくるんじゃないですか?

外山:それにも考えがあります。ベトナム主催で、あるいは主催持ち回りで、定期的に“大東亜会議”を開催するんです、中国抜きで。

――ますます中国が許しませんよ!

外山:結論は毎回最初から決まってるんです。「これからも中華文化圏の一員としての自覚をもって、一致団結して中国を支えていきましょう」っていう決議を最後に必ずやる。それでも許さないと思いますか?

――うーん、どうでしょうね。自分抜きで周りに団結されるのはイヤでしょうし、しかし今後も自分に協力してくれるっていう趣旨の集まりなら……どうしていいか分からなくなりますね。

外山:ウイグルやチベットからも代表を招く。もちろん中国からの“完全な独立”ではなく“相対的独立”に要求をとどめる穏健路線の指導者を呼んで、それぞれの地域でそういう勢力が影響力を拡大するのを助ければ、自暴自棄なテロ路線に走る完全独立派を抑えることにもなって、中国としても却って都合がいいはずですよ……とかなんとか、いくらでも正当化できます。

――中国が「だったらオレも参加させろ」と言ってきたら?

外山:宗主国様に直々に出てこられたんじゃ、我々属国はみんな萎縮して、何にも言えなくなっちゃうじゃないですか。シーンと静まり返った会場で、さっすが中国代表のありがたい独演を我々は一方的に拝聴するしかない、って“会議”になっちゃうに決まってます。そうなると中国への不満が小出しにガス抜きできずに溜まり始めて、しかもそれを大っぴらに言えないもんだから内攻して、そういう話はオープンな場ではなく、水面下で秘密にやろうという展開になって、何やら良からぬことを企む国も出てくるやもしれません。宗主国様への“お願いごと”を属国代表どもがオープンな場で話し合って、利害調整して、その上で「いかがでございましょう」って宗主国様にお伺いを立てる方が、そちらとしても余計な心配がなくて結構なことなんじゃないかと思いますですがねぇ……。

――よくもそう次から次へと口から出まかせを……。

◆「中国が世界の中心」という建前「だけ」を共有すればいい

――しかしまあ、“中国に朝貢せよ”なんて結論だけを聞くと突飛な妄想に聞こえますし、まさに暴論に聞こえますから、また外山さんがただ面白い思いつきを吹いて回っているだけなのかと実は内心思ってましたが、こうしてじっくりお話をうかがってみると、意外と細部まで詰めて考えてるんですね。あるいは妄想だとしても、“緻密な妄想”という気がします。

外山:朝貢ってそもそも支配―被支配の関係になることではないんです。“中国が世界の中心でございます”っていう建前だけを共有してればよくて、べつに中国に隷属することではない。昔だって例えば日本が中国に使節を送って「貢ぎ物にございます」と何か物珍しいものでも献上すれば、中国は「うむ、苦しゅうない」と言って、宗主国としての威厳を見せつけるためにそれに数倍するような豪華な土産物を持たせて帰すっていう、完全にこっちが得するシステムだったんです。“中国が上”というのは建前だけの話。その建前さえ公式の外交の場で踏み外さなければ、むしろ中国の側がこちらに恩恵を与えてくれる。中国に朝貢しつつ、そういう“正しい朝貢関係”について中国に思い出していただく必要があります。

――思い出してくれるかなあ。

外山:実はこういうことを言ってるのは私だけではないんです。もちろん私は私で独自に思いついて、“中華主義”を吹聴して回るようになったんですが、例えば5年ほど前に與那覇潤さんという歴史学者が『中国化する日本』(文藝春秋・2011年)という本を書いて、そこそこ売れてたみたいで、読んでみるとやっぱり、中国の勢いはもう止めようがなくて、我々に残された唯一の選択肢は“ほめ殺し”である、というようなことが書いてありました。與那覇さんは私より10歳ぐらい若い新進の学者さんのようですが、一方で日本を代表する知識人であらせられるところのアノ柄谷行人センセイも、こちらは自ら中国に渡って、せっせと“ほめ殺し”を実践されているようです。

――ホントですか!?

外山:一昨年出た『帝国の構造』(青土社・2014年)という本があって、中国を代表するエリート大学の1つである清華大学で、向こうのエリート学生たちに講義した内容を単行本化したものらしいんですが、“帝国としての正しい振る舞いかた”を宗主国・中国を相手に説教してるような、中国ヨイショ本であると同時にまさに“中国ほめ殺し”本です。共産主義者の柄谷センセイもファシストの私と同じ考えであったか、と心強いかぎりです。

――今度は柄谷さんをほめ殺してませんか?

外山:滅相もない。衷心から出た言葉でございます。

――問題のインタビューでは、“中国に金印をもらいたい”って発言もネットでマジレス気味に叩かれてたんですが、あそこはさすがに冗談なんでしょう?

外山:まあ半ば冗談ではありますが……でも記事の地の文の「いまどき中国が金印なんか作ってないだろ」ってツッコミはいかがなものかと思いました。だって90年代に今の天皇が初めて中国を訪問した時に、“金”印かどうかは知らないけど、中国側は天皇に印鑑を渡そうとしたんですよ。

――マジっすか!?

外山:外務省がバカだから受け取ろうとしたのを、宮内庁が慌てて止めたという話だったと思います。だから中国は今でもやっぱり本質的にそういう国なんです。

――じゃあ外山さんの“恐ろしいインボー”が成就して、日本が中国との朝貢関係に入ると、中国は天皇に金印を……。

外山:バカなことを言ってはいけません。それこそ本当の愛国者の皆さんに国賊呼ばわりされますよ。中国に臣従するなんていう“汚れ仕事”は俗権の長がやればいいことです。だから陛下ではなく私が金印をもらうと言ってるんです。陛下には“征夷大将軍”に任命していただき、中国には“漢倭奴国王”に任命していただいて、私が両方に臣属すれば陛下の立場は傷つかずに済むじゃないですか。

――な、なるほど! それならいろいろと波風立たない……いやいや、そんなわけないか(笑)。

外山:でまあ、常々公言しているとおり私は選挙反対で民主主義反対で、いずれ政権を獲る気ですが、選挙で政権を獲るつもりなどさらさらないわけです。今のうちから“中華主義”の立場を公然と掲げて、反中・嫌中に染め上げられた日本にも頼もしい親中派がいて、しかも従来から仕方なく支援してきた古色蒼然たる左翼の親中派と違って、面白路線で一部とはいえ未来を担う若くて優秀な日本人民から熱狂的に支持されてもいるようだ、と中国共産党の視野に入れていただく、と。早いとこ日本人民の総意で我々に中華主義のファシズム政権を樹立させていただかないと日本は大変なことになるんですが、どうせ実際に大変なことにならなきゃ日本人は目を覚まさないんですから、もういっそ大変なことになってしまえばいい。

――いや、大変なことにならないようにみんな努力してると思うんですが……。

外山:むしろ我々も安倍ちゃんを陰に陽に応援して、もっと調子に乗らせて中国を本気で怒らせてもらって、なんなら稲田朋美とか片山さつきとかが安倍ちゃんを継げば万々歳で、いよいよ戦争になって日本が負けてしまえばいいんです。中国版GHQが日本に進駐してきて、しばらく占領しますが、かつてのソ連のアフガン侵攻も最近のアメリカの対イラク戦争もそうだったように、いまどき敗戦国をいつまでも占領し続けるマヌケな戦勝国はありません。頃合いを見て傀儡政権を作って撤収するのがセオリーです。その時に中国共産党が私を首班指名してくれれば、なにも苦労して武装闘争とかやらなくても、選挙に頼らない政権奪取ができます。もちろん、ただ中国に負ければ日本には最悪の未来が待っているが、その時に我々さえ生き残っていれば安心だ、あとは我々に任せろ、ということでもあります。

――外患誘致で今すぐ逮捕しろ、とネトウヨが騒いでました。

外山:私はニヤニヤしながら黙って自民党政府を支持していくつもりなのに、それのどこが外患誘致ですか? 私は、中華主義に賛同してくれるマジメな愛国者たちを我がファシスト党にコツコツと組織して準備万端ととのえる以外はとくに何もせず、ただそれが活かされる日本敗戦の日を今か今かと夢に見ながら待機するだけです。外患を誘致する国賊の役目は、私ではなく、安倍ちゃんとそのお仲間の皆さんにお任せしますよ。

日刊SPA!

最終更新:10/6(木) 10:27

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