ここから本文です

田原総一朗:疑惑山積の豊洲市場に未来はあるのか

nikkei BPnet 10/6(木) 9:15配信

 小池百合子東京都知事が誕生してから豊洲市場を巡る問題が一気に噴き出した。「盛り土」「土壌汚染」「欠陥建築」、さらには99.9%という異常な落札率の裏にある「談合」疑惑まで、問題はとどまるところを知らない。

●次々と問題が噴出する豊洲新市場への移転

 小池知事が9月10日に緊急記者会見を開き、豊洲新市場の一部に土壌汚染対策の要となる盛り土がなかった問題が明らかになったが、そこから次々と様々な疑惑が噴出している。

 そもそも豊洲市場の土壌汚染対策には、858億円という巨額の費用が投じられてきた。具体的には、汚染土壌を取り除いてきれいな土に入れ替え、さらに2.5メートルの盛り土をして、合計で4.5メートルの盛り土をする計画だった。ところが実際は、青果棟や水産棟などの主要な建物には盛り土がなく、地下空間になっていると発表された。

 豊洲市場の用地には、1956年から88年までの間、東京ガスの工場が建っていて、都市ガスの製造と供給が行われていたため、土壌が汚染されており、ベンゼンやシアン化合物、ヒ素、鉛、水銀などの有害物質が確認されている。過去には、局地的に国の基準の4万3000倍ものベンゼンが検出されたというデータもある。だからこそ、土壌汚染対策は喫緊の課題であったはずだ。

 10月5日には、豊洲新市場の主要施設である水産仲卸売場棟と水産卸売場棟を結ぶ連絡通路の地下に、環境基準を超えるシアン化合物やベンゼンなどの高濃度の汚染物質が残っていると報道された。なぜこんな事態が起きたのか。

なぜ簡単に「憲法」が無視されたのか

 2008年7月には、大学教授ら4人の専門家会議が、土壌汚染対策について話し合い、豊洲の敷地全体で地下2メートルまでの土壌をきれいな土と入れ替え、その上に2.5メートルの盛り土をするようにと提言した。それにも関わらず、主要な施設の下には盛り土はなく、最高で高低差4.5メートルの地下空間がつくられていた。

 なぜ、こうなったのか。いつ、こうなったのか。それがさっぱり分からない。

 そもそも専門家会議の提言を、そう簡単に覆していいものではない。僕が聞いたところでは、専門家会議の提言とは、言わば「憲法」に匹敵するという。簡単に変えることなど本来はできないはずなのだ。

 「盛り土ではなく地下空間にすることで、試算より150億円安くなった」と言う発言も関係者から出てきているが、なぜ変えたなら変えたことを発表しないのか。

 本来、市場長が現場の最高責任者のはずだが、盛り土が地下空間に変わった時に市場長を務めていた岡田至氏は、盛り土がされていないと認識がないまま「建物の下に盛り土を実施しない工事の発注を決済した」という。

 実際に決済を行った責任者にそんな言い訳は通らないだろう。しかも、小池知事が問題を発表するまで、ずっと隠されていた。いや、隠してきたとの認識すらなかったのだろう。

1/2ページ

最終更新:10/6(木) 9:15

nikkei BPnet

記事提供社からのご案内(外部サイト)

nikkei BPnet

日経BP社

日経BP社が運営するプロフェッショナルのためのビジネスキュレーションサイト。仕事に役立つ先端情報に最速でアクセス。

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。