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ECBの9月政策理事会のAccount-Great Emphasis

NRI研究員の時事解説 10/7(金) 13:56配信

はじめに

ECBで資産買入れのテーパリングが議論されているとの報道により、足許でユーロ圏の長期金利に上向きの力が働いているが、今般公表された政策理事会(9月)の議事要旨にはその証拠は含まれていない。むしろ、ユーロ圏でも目立ち始めた低金利環境の金融仲介に対する副作用を巡る議論について、ECBの考え方が整理されている点が興味深く感じた。

金融経済情勢

今回の議事要旨は、9月のECBスタッフ見通しが示すようにユーロ圏経済が緩やかな回復を続けるとの見方に対し、政策理事会として幅広い合意が得られたとしている。

主な要素別にみると、第2四半期は輸出の回復が一時的に貢献したものの、基調的には個人消費が、労働市場の継続的な回復や実質購買力の上昇に支えられ、引続き牽引車になるとの見方が共有されている。設備投資についても、内需の拡大による設備稼働率の上昇や緩和的なfinancial conditionという好条件はあるものの、外需の先行きに関する不確実性に加え、域内諸国による金融経済環境のばらつきによる下方リスクも指摘されている。

インフレについても、ECBスタッフ見通しが示すように、当面は低位ながら徐々に回復していくとの見方が共有されたとしているが、コンセンサスの度合いは経済成長ほどには強くないようだ。

つまり、エネルギーを含む輸入物価のlevel effectが徐々に解消することがインフレ率を押し上げるとの見方は広く共有されているが、食料品とエネルギーを除くコアインフレが1%前後で横這いとっていることが取り上げられ、今後の上昇にはサービス価格、ひいてはその主要な構成要素である賃金の動向が重要であるという我々には馴染み深い議論がみられる。

その上で、インフレ見通しに関する上下双方のリスクが指摘されている。まず、下方リスクについては、(1)従来も見通しに上方バイアスがあった、(2)mean-reversionを前提とする計量モデルに問題がある、(3)低インフレの長期化によりインフレ期待も低下しうる、(4)低インフレでは域内国による相対価格を通じた構造調整が困難化するなど、多くの意見(a number of remarks)が示された。

上方リスクについては、(1)域内国の労働市場改革が一巡し賃金の下押し圧力が減衰する、(2)雇用回復が低賃金労働から高賃金労働の雇用回復へシフトする、(3)原油価格は市場予想以上に上昇する可能性があるとされた。このように議事要旨はバランスをとっているが、上方リスクに関する表現(also argued)からみて、下方リスクの議論が相対的に強かったと理解すべきであろう。実際、インフレ期待に関しては、サーベイベースの指標は安定しているとしつつ、ECBによるSPFの確率分布が下方に傾いている点や、市場ベースの期待が下方にシフトしたことが指摘されている。

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最終更新:10/7(金) 14:02

NRI研究員の時事解説