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米大統領選に見るトランプ旋風の深層~正しさに疲れたアメリカ人~

政治山 10/7(金) 11:50配信

11月8日に迫った2016年米大統領選挙の投票日

 4年に1度の米大統領選挙は、本選が11月8日(現地時間、以下同様)に迫り、いよいよ佳境を迎えている。9月26日には、過去の大統領選挙で勝敗に大きな影響を与えたと言われるテレビ討論会が行われた。共和党のトランプ候補と民主党のヒラリー候補の初の直接対決とあって、大方の予想通り視聴者数は過去最高の8400万人(米調査会社ニールセン発表)となった。

 2008年のオバマ氏(現大統領)の選挙戦が生んだ熱狂と地滑り的な大勝利は記憶に新しいが、この選挙戦での相手候補との1回目のテレビ討論会の視聴者数が5240万人であったのと比較すると、今回の大統領選挙がいかに大きな注目を集めているかが分かる。そしてこの注目度の高さは、紛れもなくトランプ氏が展開する異常な選挙戦によるものなのだ。

米大統領選挙の仕組み「勝者総取り方式」

 一体なぜ、差別的な中傷を繰り返し、政治家としての経験を一切持たず、ビジネスマンとしても自分の会社を何度も破産に導いているトランプ氏に多くの国民が熱狂するのか。この異常な大統領選挙を通じて、米国社会の「いま」が見えてくる。その前にまず、米大統領選挙の仕組みをおさらいしておこう。

 米大統領選挙の本選は、アメリカ合衆国を構成する50の州とワシントン特別区それぞれの規定に従って行われる。その選挙システムは、概ね人口比で各州に振り分けられた「選挙人」の獲得数を競い合うという少しわかりにくい形式をとるが、重要なのはほとんどの州が「勝者総取り方式」、つまり1票でも多く票を獲得した候補に、その州の選挙人すべてを与える方式を採っている点だ。この方式が米国の大統領選挙の性格を決定づけている。

激戦州の勝敗が次期大統領を決める

 具体的には、(1)得票総数が多い候補が勝つとは限らない、そして(2)選挙の勝敗を決める争点となる州の数が絞られる、という特徴を米国の大統領選挙は持つ。(1)の点に関しては、2000年のブッシュ(共和党)対ゴア(民主党)が直近の好例で、得票総数ではゴア氏が勝っていたのにも関わらず、勝者総取り方式によって選挙人をより多く獲得したブッシュ氏が当選し大統領となった。

 そして(2)の点が、米大統領選挙を理解する上で最も重要になる。リベラル政党である民主党は西海岸やニューヨーク州を含む北東部を地盤とし、逆に保守政党である共和党はテキサス州などを含む南部を地盤としている。こういった州では有権者の支持政党がどちらかに大きく偏っているため、どのような候補であろうと勝つ政党が決まっている。

 例えば、トランプ氏はニューヨーク州出身だが、共和党候補である彼が民主党の牙城であるニューヨーク州を制する可能性はゼロだ。勝敗が最初から見えているのなら、勝者総取り方式のもとでは勝つ方も負ける方も票数を積み増すことは無意味だ。そのため選挙の焦点は自然と、支持政党別の有権者数が拮抗している州に集まるし、これらの州の勝敗が次期大統領を決めることになる。今年の大統領選挙では、フロリダ州、ペンシルベニア州、オハイオ州など10州程度が激戦州となると予想されている。残り1カ月となった選挙戦、残り2回のテレビ討論(10月9日および19日)をこなしつつ、両候補はこれらの激戦州に的を絞って選挙戦を展開することになる。

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最終更新:10/7(金) 11:50

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