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保険会社撤退続出、存続の危機に瀕するオバマケア

Wedge 10/7(金) 12:30配信

 もし米国の次期大統領がドナルド・トランプ氏になったなら、アフォーダブル・ヘルスケア・アクト、通称オバマケアは恐らく廃止になる。しかしそれを待たずして、オバマケアはすでに崩壊の危機に瀕している。

 今年に入り、オバマケアのマーケットプレイスから脱退する、と発表した保険会社が後を絶たない。マーケットプレイスとはネット上に各保険会社が個人向け健康保険プランを提示し、顧客がプランを比較検討し購入できる場所のこと。年収などにより異なる保険料も明記される。8月にはついに大手保険会社であるエトナ社が、現在オバマケアを提供している15の州のうち特に損失額の大きい11州から撤退する、と発表した。

 なぜこのようなことが起きるのか。それにはオバマケアの仕組みについての説明が必要だろう。オバマケアは全国民を対象とするものではない。企業に勤める人々は企業が半額から全額を支払う健康保険制度がある。これからはみ出す人々、自営業者や零細企業、無職で健康保険を持たない人の救済措置として生み出されたのがオバマケアだ。

 米国の一般的な健康保険制度は、保険会社が提供するプランを利用者が買う仕組みだ。しかしプランは非常に複雑で、例えば病院に行くたびに一部費用を負担するかしないか、その負担額、さらに高額治療の場合に免責金額を設定するか否か、その金額などにより保険料が異なる。

 オバマケアとは、収入に応じて政府が保険料の一部を負担し、誰もが健康保険を持てるようにする、というものだ。カリフォルニア州の場合、ロサンゼルス郡のマーケットプレイスには7社が20種類のプランを提供している。通常で購入すれば月々400ドル前後のプランだが、収入に応じて政府による補助金が加算され、数十ドルでも購入が可能だ。ただし安いプランでは免責金額が非常に高く、実際に医者にかかると数百ドル単位の出費となる。

オバマケアで損失を垂れ流す保険会社

 2016年、オバマケアの加入者は1270万人となった。しかし保険会社にとってはオバマケアは「損失を垂れ流す」ものとなっている、という。エトナの場合、今年度の損失額は3億ドルとも言われる。保険対象が低所得層であり、プランも比較的安いものが用意されているが、それに対し保険の使用率が企業が想定していたよりも多かったためだ。

 別の大手保険会社、ブルークロスは今年の保険料を州により前年比で64%近く上昇させた。つまり営利企業が保険を仕切っている限り、「誰もが入れる低価格の健康保険」というのは絵に描いた餅のようなもの、ということが徐々に露呈している形だ。

 ところで米国には政府保証型の健康保険も存在する。67歳以上に提供されるメディケア、貧困層に提供されるメディケイドなどだ。これを国民全般に広げ、企業が提供するのではなく国が提供する健康保険を、という声は以前からある。

 その代表とも言えるのが、民主党の大統領指名を最後まで争ったバーニー・サンダース氏だ。同氏はエトナのオバマケア撤退のニュースを受け、「メディケア・フォー・オール」システムの推奨を訴えた。「健康保険は利益を出すことを目標とする営利企業に委ねてはならないものだ」との声明を出した。ただし長く保険会社による健康保険制度が実施されてきた米国の制度を一気に変えることは困難だ。健康保険を政府が行うことで巨大保険会社が破綻し経済に影響が及ぼされることも懸念されている。

 一方ドナルド・トランプ氏はエトナの撤退を「ほんの手始めに過ぎない」として、オバマケアという制度そのものに欠陥がある、と指摘。今後もオバマケアから撤退する保険会社が増えるだろう、と批判の目を向ける。

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最終更新:10/7(金) 12:30

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