ここから本文です

「とと姉ちゃん」 青椒肉絲の作り方に学ぶ! “仕事に役立つ名セリフ” とは

NIKKEI STYLE 10/7(金) 19:40配信

■唐沢寿明演じる花山編集長の名セリフ

 NHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」の最終回が迫り(執筆時点)、「ああ、春、夏が過ぎて、もう本格的に秋なんだなあ」とセンチメンタルな気分に浸るビジネスパーソンはあまりいないかもしれない。オンデマンドでしばしば楽しんでいた私としては、真夜中に宇多田ヒカルの「花束を君に」(番組の主題歌)が聞けなくなるのもなんだか寂しい……なんてこととは別に、番組後半で活躍する唐沢寿明演じる花山伊佐次の「仕事に役立つ名セリフ」が聞けなくなるのがちょっと残念だ。

 いうまでもないが、花山のモデルは雑誌「暮しの手帖」編集長の花森安治。ドラマをきっかけに、今年「花森本」が10冊近く出版されたのは、花森安治が偉人であるというばかりでなく、「今という時代を生きる上で有益な言葉」をたくさん残してくれていることに私たちが今さらのように気がついたからなのではないか。

 花森の超初心者である私は、その魅力のごくごく一部しか理解していないが、「これは実生活に使える!」と思われる「会話技術」を、ドラマの場面とともに振り返ることとする。

■入社試験での花山伊佐次の振る舞い

 とと姉ちゃん(常子)が社長、花山が編集長として戦後まもなく発刊した「あなたの暮し」(もちろんモデルは「暮しの手帖」)も、例の「商品テスト」の企画が当たり、売れ行き絶好調。社員募集に多くの若者が押し寄せ、最終試験を勝ち上がった10人ほどを前に、花山がしみじみと語り始める、というシーンがあった。

花山:「入社試験というのは、甚だ憂鬱なものだねえ。こちら側は果たして人を判断することができるのか? という気持ちをもちながら、それ以外方法がない……」

 心細げな受験生が連れて行かれた部屋で彼らを待っていたのは、「四川料理の鉄人」陳建一さんだった。とと姉ちゃんや、花山編集長からこれといった説明のないまま、陳さんはいきなり料理を作り始める。中華の定番、チンジャオロースーだ。

 「肉は薄めに筋に沿ってこうやって切るね。タケノコは……ネギは……ピーマンは……油通ししてね……盛りつけるよ……はい出来上がり、さようなら……」

 陳さんは手早く仕上げると、そのままその場を去って行った。

 アッケにとられる受験生たちに「はいここまで!」。さっきまで「憂鬱なものだねえ」としみじみ語っていた花山が噂通りの「鬼編集長の顔」に戻り最終試験の課題を告げた。

花山:「今の料理の作り方を、うちの読者に伝える記事を20分以内に書くように!」

 狭い部屋には小論文作成のための椅子やテーブルなど一切ない。しかもほぼぎゅうぎゅう詰めの室内だ。機転を利かせた一人(とと年ちゃんのめい)が床にメモ用紙を広げ書き始めると、全員が慌ててそれに習い、道路にろうそくで文字を書くようにはいつくばり、必死に鉛筆を動かす。

 そんな困難に追い打ちをかけるように、花山は蓄音機でベートーベンの「運命」を大音響で鳴らしたり、録音しておいた工事現場の騒音や電車のがたんごとんいうノイズを「これでもか!」と言わんばかりの音量で垂れ流したりして、受験生の集中力をそごうとする。最悪の受験環境だ。

 編集長が意地悪そうに、若者に大声で呼びかけた。

花山:「君たちの目指す編集者とは、どんな状況でも読者にとって分かりやすい情報を取材し書いて提供するのが仕事なんだ! それに耐えられないものはいらん!  帰れ!」(という感じ……)

1/3ページ

最終更新:10/7(金) 19:40

NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。