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【プレー分析|原口元気】得点シーンに凝縮された“成長の跡”。パーソナリティの強さも発揮

SOCCER DIGEST Web 10/7(金) 11:30配信

カウンターの起点となり、フィニッシュまで完結させた。

【ロシア・ワールドカップ・アジア最終予選】日本 2-1 イラク/10月6日/埼玉スタジアム2002
 
 ハイライトはなんと言っても、26分の得点シーンだろう。右サイド深くに切り込んだ清武弘嗣のグラウンダーのクロスに反応し、右足のヒールキックで鮮やかにネットを揺らした。
 
 特筆すべきは、このカウンターの起点となったのが原口だったことだ。相手の横パスをカットし、そのまま80メートル近くを猛ダッシュで駆け抜け、フィニッシュまで完結させた。
 
 この得点シーンに、原口のここ最近の成長ぶりが見てとれる。迅速な攻守の切り替えや質の高いオフ・ザ・ボールの動きはヘルタ・ベルリンで習得したものであり、いまやストロングポイントのひとつとさえ言える。
 
 しかしながら、前半の見せ場はこのシーンだけ。15回のプレー機会のうちボールロストは5回で、特に立ち上がりはトラップミスやパスミスが目立った。パスは10回のうち8回を成功させているが、バックパスや横パスがほとんど。アタッキングサードに入ってドリブルで仕掛けた回数に至っては、14分に相手のファウルを誘った1回だけだった。
 
 なぜ、原口は“沈黙”してしまったのか。後方から見ていた左SBの酒井高徳はこう説明する。
 
「そもそも、元気はボールに触れる回数が少なかった。モリ(森重)くんがボールを持った時に、少し裏を狙う意識が強すぎたかなと思います。相手の陣形も崩れなくて停滞した感じがあったので、後半はまず僕がパスを受けて、そこから元気の足下に繋ぐ形にして(原口に)どんどん前を向かせようと。マークしていた23番(ワリード・サリム)も、元気に前を向かせないような守り方はしていなかったので」
 

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同点ゴールを喫した60分以降に仕掛けの積極性が増す。

 アタッキングサードでの仕掛けが1回だった前半とは異なり、後半は6回と急増。その背景には酒井高が語ったように、チームとして「原口の足下にボールを収める」という意識付けがあったからで、同点ゴールを喫した60分以降はさらに仕掛けの積極性が増した。68分にはDFふたりを抜き去ってファウルを誘い、75分には縦へのドリブルから左足でピンポイントクロスを本田圭佑に届けている。
 
 原口はピッチにいた誰よりもチームを救おうとする強い意志を持ってプレーしていた。
 
「後半追い付かれて、チームとしてちょっとナイーブというか、うまくいかない時間帯があった。なので、自分が左に張ってそこから(相手DFを)剥がしていくことで、違いを作っていきたいと思いました」
 
 こうしたパーソナリティの強さ、換言すれば自ら責任を負おうとするアタッカーが出てきたのは、日本代表にとっては朗報だろう。その代表格だった本田のパフォーマンスが下降気味という現状を踏まえればなおさらだ。
 
 10月11日のオーストラリア戦はさらに厳しい戦いになるだろう。ただ、そうした状況下で輝けるのが今の原口であり、この10月シリーズでさらに結果を残せば、日本代表のエース格に飛躍しても不思議はない。
 
【原口のプレーデータ】※以下、( )は前半/後半の回数。データは編集部集計
プレー回数:27回(15回/12回)
 
パス回数:18回(10回/8回)
 
パス成功数:15本(8本/7本)
 
シュート数:1本(1本/0本)
 
ボールロスト:9回(5回/4回)
 
アタッキングサードでドリブルで仕掛けた回数:7回(1回/6回)
 
▼原口がパスを出した回数(選手)ランキング※カッコ内は後半
1位 柏木陽介/4回(3回/1回)
   森重真人/4回(3回/1回)
3位 本田圭佑/2回(0回/2回)
   清武弘嗣/2回(1回/1回)
5位 酒井高徳/1回(0回/1回)
   岡崎慎司/1回(1回/0回)
   吉田麻也/1回(1回/0回)
 
取材・文:高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
 

最終更新:10/8(土) 16:22

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