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減産合意でも救えないサウジアラビアの窮状

JBpress 10/7(金) 6:15配信

 9月末のOPECの「減産」合意以降、これまでのところ米WTI原油先物価格は堅調に推移している(米国の在庫が5週連続で減少したことを受けて10月6日時点の価格は1バレル=49ドル台)。だが、原油価格がこのまま上昇していくと考えるのは早計である。

■ OPECはなぜ減産に合意したのか

 OPECは9月28日の会合で、原油生産量を加盟国全体として日量3250~3300万バレルに制限することで合意し、11月30日に開催される通常総会に向けて加盟各国の個別の生産上限を決定すべく調整していくこととなった。

 合意に至った最大の理由は、原油市場におけるさらなる供給過剰への懸念だった。OPEC会合を翌日に控えた9月27日、国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は「世界の原油生産量は2017年後半になるまで需要を上回り続ける」との見通しを明らかにした。世界の原油市場の供給過剰は100万バレルを超える情勢にあった。

 世界の原油需要に対して強気の姿勢をとり続けてきたサウジアラムコでさえ、OPEC会合の直前に「世界の原油需要はそれほど堅調ではない」と発言するなど、需要面の懸念も浮上していた。

 大きな要因は、サウジアラムコが最大の市場と見込む中国の原油需要に黄色信号が灯り始めていることだ。8月末の中国の純国内石油需要は日量1089万バレルと9カ月ぶりの前年比マイナスになり、石油需要の頭打ちが鮮明になってきている。ガソリンの供給過剰状態が9月にさらに悪化しているため、これまで原油輸入拡大を牽引してきた「茶壺」と呼ばれる民間の製油所の統廃合に中国政府が本腰を入れ始めている。さらに人工衛星の画像分析から「中国の戦略備蓄は政府発表の数字(約3200万トン)の2倍以上の約8000万トンに達している」との指摘もある(9月30日付け米ZeroHedge)。

 このような悪環境の中で原油価格40ドル割れをなんとしてでも回避するため、OPECが8年ぶりに「協調」を演出したというのが、減産合意の実態だったのだろう。

■ 疑問視される減産合意の発効

 しかし市場関係者の間では、11月30日の通常総会において加盟各国の原油生産上限は決定できないのではないかとの見方が広がっている。減産に向けてルールが何も決まっていないからだ(10月5日付ロイターによると、OPEC諸国と非OPEC産油国は10月8日からイスタンブールで非公式会合を開き、合意した減産の具体的な実施方法について協議することとなった)。

 OPECの8月の原油生産量が日量3324万バレルであり、ロイターの調査によれば9月の原油生産量は8月より増加している。減産合意が正式に発効するのは11月30日以降となるので生産量がさらに増える可能性がある。

 10月に入り、国営イラン石油会社の幹部は同国の原油生産量が制裁前の水準(日量400万バレル)に達したことを明らかにした。今後の原油生産量について「日量570万バレルを目指す」と発言している。リビアやナイジェリアも国内の混乱が沈静化すれば原油生産量を急拡大することは間違いなく、OPEC諸国は今後増産することはあっても減産する国は現れてこないのではないだろうか。

 OPECの原油生産量が日量3300万バレルに減産できたとしても、この生産量は2011年12月から2015年12月まで設定されていた生産目標(日量3000万バレル)に比べるとはるかに高い水準である。

 2008年から撤廃されていた加盟国の生産枠についても、合意直後にイラクが異議を唱え始めている。OPEC事務局が発表しているイラクの原油生産量が自国の統計数字よりも低いため、生産枠設定に当たって不利な扱いを受けると危惧しているからである。仮に生産枠が設定されても生産枠が順守される保証はない。2008年以前実際の原油生産量が生産枠を日量100万バレル規模で上回ることは珍しいことではなかった。

 こうした状況から、たとえOPECが減産に合意していても、原油価格が今後1バレル=50ドルを超えて大きく上昇する可能性は極めて低いと言わざるをえない。

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最終更新:10/7(金) 6:15

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