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気候変動を防ぐには原発の正常化が必要だ

JBpress 10/7(金) 6:10配信

 国連は10月5日、気候変動に関する国際的合意「パリ協定」の締約国の温室効果ガス排出量が世界全体の55%を超えて発効の条件を満たしたので、11月4日に発効すると発表した。アメリカのオバマ大統領は「地球を守る闘いにおいて歴史的な日だ」と歓迎する意向を表明した。

世界の平均地上気温の上昇(図)

 しかし日本政府はパリ協定の国会承認を求める議案を11日にも閣議決定する方針で、主要排出国の中では遅れている。これをNGO(非政府組織)などが批判しているが、政府が渋っている原因は簡単だ。協定を承認しても、その目的の実現は不可能だからである。

■ パリ協定は実現不可能である

 パリ協定は京都議定書以来、18年ぶりの気候変動対策の国際的な枠組みだ。先進国だけに温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書と異なり、発展途上国を含む世界の190カ国以上が参加し、2100年までに世界全体の排出量増加を実質的にゼロにする
という野心的な目標を掲げている。 今後どれぐらい地球温暖化は進むのだろうか。これは大論争の続いているテーマで、誰も確実なことは分からない。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書のシミュレーションも次の図のように大きな幅があり、世界の地上平均気温は2100年に今より1~4℃上がると予想されている。

 この気温上昇をパリ協定の目標とする「産業革命以前より2℃上昇」に抑えることは、経済産業省で地球温暖化についての首席交渉官だった有馬純氏の評価によれば「現在の発電部門の排出量をそのままマイナスにしたような規模のマイナス排出にするという、およそ実現性に疑問符のつくビジョン」である。

 ましてパリ協定の理想とする1.5℃以下(温室効果ガスの増加率ゼロ)という水準は物理的に不可能だから、いずれも法的拘束力のない努力目標として設定されている。したがって日本がこれを承認してもしなくても大した違いはないが、承認すると国内対策をしなければならない。京都議定書のときは、これが大混乱の原因になった。

■ 非現実的なエネルギーミックス

 温室効果ガスの中で最大の二酸化炭素(CO2
)については、火力発電所が大きな発生源なので、気候変動の問題はエネルギー政策と関連している。 政府は2030年までに温室効果ガスを2013年比で26%削減するという目標を決めた。ここではエネルギー起源のCO2
を2030年までに25%減らすことになっているが、その前提として想定されるエネルギーミックスは、次のようなものだ。 ・再生可能エネルギー:22~24%程度
・原子力:20~22%程度
・石炭:26%程度
・LNG:27%程度
・石油:3%程度

 これが実現できれば、電力に由来するCO2
の排出量は34%も減り、エネルギー全体で25%減らせるが、問題は実現可能かということだ。再生可能エネルギーは震災前10年間の平均で電力の11%だが、そのうち9%は水力で、これはほとんど増えないと予想されているので、残りの13~15%を太陽光などの新エネルギーでまかなうことになる。 これはやろうと思えば、できないことはない。固定価格買取制度で高価格を保証すれば、巨額の設備投資が行なわれるだろう。杉山大志氏(IPCC総括責任者)の計算では、太陽光でCO2
を1%減らすには、約1兆円かかる。 つまりこの計画通り太陽光を増やすと、13兆円以上の国民負担になるのだ。これは現在の電力会社のコストをほぼ倍増させるので、電気代はドイツのように2倍になるだろう。

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最終更新:10/7(金) 6:10

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