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GDPなど経済統計は本当に信用できるのか(中)

会社四季報オンライン 10/7(金) 19:31配信

 前回触れたように、GDP統計など現行の経済統計はさまざまな問題点を抱えていますが、そんな中で最近、日銀がGDPについてある試算を発表し、論議を呼んでいます。

 現行のGDP統計は内閣府が数多くの基礎統計を積み上げて全体を推計し算出していますが、家計調査など一部統計の精度にやや難点があります。そこで日銀はその影響を受けないように税務情報(個人や企業の納税額など)をもとにGDPを推計しました。

 それによると2014年度の名目GDP実額は519兆円となり、内閣府が公表している現行値490兆円より約30兆円多かったということです。実質GDP成長率も現行値のマイナス0.9%に対し、試算ではプラス2.4%となっています。これだと日本経済の姿がかなり違ってくることになります。

 この試算の内容について、経済学の基本から説明しましょう。GDP(国内総生産)とは国内で生み出された付加価値の総額を表しますが、理論的には生産(供給)だけでなく支出(需要)から見ても、分配(所得)から見ても同額になるという「三面等価の原則」というものがあります。しかし実際には、利用する基礎統計自体に誤差があるため、三面の値は必ずしも一致しません。このため、GDP統計の算出では、3つの側面で数値を調整しています。

 日銀の試算は、3つの側面のうち分配面について住民税や法人税の税額データを基に直接推計したものです。現行のGDP統計は主として生産と支出面の基礎統計を中心に積み上げて推計していますが、その多くはサンプル調査で、中には精度の点でやや難のあるものが含まれており、これが誤差の一因になっているのです。

 その点、税務データは脱税がないことを前提にすれば、個人や法人の所得を網羅的にカバーしているといえるわけで、既存の統計では把握しきれていない部分も含めて広範囲かつ相当程度正確に、分配(所得)面からGDPを算出できるはずです。米国ではこの手法がGDP統計で使われており、日銀は米国の手法も参考にしたということです。

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最終更新:10/12(水) 13:11

会社四季報オンライン

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