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「グーグーだって猫である2」の街“吉祥寺”を巡る

東京ウォーカー 10/8(土) 10:00配信

■ 【連載】聖地巡礼さんぽ~あの作品の街を歩く~Vol.21

漫画や映画、ドラマなど、人気作品の舞台となった街を散策し、“住みたい街”としての魅力を深堀していく本連載。ここからみんなの“住みたい街”が見つかるかも?

【写真を見る】拾ってきた5匹の子猫の世話をする麻子

第21回で取り上げる作品は、映画化もされた大島弓子の自伝的コミックエッセイのドラマ版第2弾として、6/11~7/9にかけてWOWOWにて全5話で放送された「グーグーだって猫である2 -good good the fortune cat-」。

主人公である人気漫画家・小島麻子(宮沢りえ)の、愛猫・グーグーとの出会いから別れまでを描いたのが2014年のドラマ版第1弾。本作は、前作では描ききれなかった“グーグーと過ごした15年8ヶ月間"に起きた出来事を、原作の設定をもとに構築したオリジナルストーリーになっている。

麻子の自宅兼仕事場が吉祥寺の井の頭恩賜公園を望む場所にあることから、舞台は吉祥寺。

「中学から高校まで6年吉祥寺の学校に通い、『グーグー1』と『2』の撮影中2年間マンションを借りて住みました」という、犬童一心監督のコメントと共に、吉祥寺の魅力を紹介する。

■ 「ポヨ3号店」

犬童監督が「なんとなく、あってもいいですか?と、ポツンとある佇まいがかわいい」と表現するのが、中道通りに面したローストチキン専門店「ポヨ3号店」。

吉祥寺駅前にある「ポヨ駅前店」、三鷹駅にある「ガラパゴスポヨ」に続く3号店で、「ハモニカキッチン」「ヤキトリてっちゃん」など吉祥寺でおなじみの店の姉妹店だ。

ローズマリーの香りが特徴のローストチキンは、「国産ひなどり」213円/100gと「大山地鶏」266円/100gを用意し、早い日には夕方には売り切れてしまうという人気ぶり。

劇中では、「夜食買ってこよ」と言って夜、ふらりと訪れた麻子が大山地鶏を購入。「おおやま(大山)って読むんじゃないんですね」(麻子)、「だいせんって読むんですよ」(店員)…といったやり取りが繰り広げられ、お店の人にも気兼ねなく話しかける麻子のナチュラルな人柄がうかがえるシーンになっている。

ちなみに、麻子と会話をしていた店員は、本物の店長・上神良太さん。撮影時の様子を上神さんは「(宮沢りえさんが)緊張をほぐすために話しかけてくれましたが、逆に緊張した」と笑って話してくれた。

■ 「シェモア」

第3話「ガールフレンド・フォーエバー」で、重要な場所として登場する喫茶店。「ポヨ3号店」で買い物をした直後、麻子は大学の時の同級生・智子(西田尚美)と再会。そのまま麻子の家で飲みながら、2人は若き日々に思いを馳せる。

いつも一人で漫画を描いていた大学時代の麻子(中村ゆりか)が、勝気で大きな声の智子(光宗薫)と出会った「シェモア」は、仲良くなってからもたびたび2人で訪れ、将来を語り合っていた思い出の地。現在の2人が再び訪れたシーンでは、麻子が「私たち、このレトロな雰囲気に追い付いてきたと思わない」と話すのが印象的だ。

劇中では国立にある設定だったが、実際の「シェモア」は吉祥寺駅から井の頭恩賜公園へ向かう手前、武蔵野公会堂のほど近くで50年以上営業を続ける老舗。

「店内に一歩入ると、僕が高校時代と何一つ変わることのない、タイムスリップ感を味わう。マスターの無理をしない、ぶっきらぼうさ、時代に迎合しない急がない人の安心感」とは、「シェモア」についての犬童監督の言葉。

そのマスター、清田宏さんに吉祥寺の魅力を聞くと、「ずっと住んでいるから分からないよ」と、犬童監督のコメントに納得してしまう返しをいただいた。

■ 「まりや」

1955(昭和30)年に創業した、お好み焼き・鉄板焼きの老舗。昔から吉祥寺を知る人なら「お好み焼きと言えばここ」と名が挙がる、地元で愛され続けるお店だ。

劇中では、10年も麻子の担当をしてきた編集者・大森(長塚圭史)の結婚を巡る第4話に登場。大森、アシスタントの飯田(前田敦子)と共に「まりや」へやって来た麻子は、大森がいつ結婚の話を切り出すのかを伺いながら食事をする、というシーンで使われている。

「ここも中学時代から変わらない。店内のタイムスリップ感を味わう。自分の思い出もいっぱいあるから、また来てもこのままであって欲しいなと思う。おかみさんも、おじさんも元気でいてくれるとうれしくなる」(犬童監督)。

取材スタッフを笑顔で迎えてくれたのがおかみさんの今田満子さん。結婚してから45年間ずっと住んでいるため、「吉祥寺はどこがいいかと言われるとわからないけれど…」と前置きをしつつ、「住み心地は快適!」と断言。

「スーパーが安いところから高いところまであちこちにあって、今日はどこに行こうかなって選べるくらい。『今日は娘が来るから奮発していい肉を買おう』とかね。コンビニも近いし、年寄りにはいいと思います」と話してくれた。

ちなみに、ご主人のお母さんがお店を始め、現在は二代目、そして息子さんが三代目になろうとしている、と聞いてなんだかとてもうれしくなった。

■ 「ペパカフェフォレスト」

「あと、何と言っても『ペパカフェ』ですね」と犬童監督が前のめりでコメントをくれたのがこの「ペパカフェフォレスト」。ドラマ版第1弾では、麻子が高校時代の同級生と再会する場所として登場し、本作でも外観がちらりと映る。

井の頭恩賜公園の中にあり、木々を望むオープンテラスが魅力のタイ料理店。立地のよさに加え、ガパオやタイラーメン、チキンライスなど、本格的なタイ料理が味わえるとあって、常に人でにぎわう人気店だ。

「まさに森の美しさの中にある、おいしいリーズナブルなお店。タイ料理であることで、気取らないおいしさを思う存分味わえる。行きも帰りも井の頭の森の中を歩けることの気持ちよさ楽しさ。映画も、二回のドラマもここで打ち上げやってます」と犬童監督も大絶賛。

■ 「井の頭恩賜公園」

麻子が愛猫・グーグーと出会った場所であり、散歩をしたり、大道芸を見たり、ゾウのはな子に会いに行ったりする、本作を紹介する上では欠かせないスポット「井の頭恩賜公園」。2017年に開園100周年という大きな節目を迎えようとしている。

劇中では、池の水を入れ替える“掻い掘り”中の少しさみしい景色や、花見客でにぎわう桜の景色など、さまざまな表情で画面を彩っている。

井の頭恩賜公園について、「もともと『自然の森』なので、後から作り上げた公園とは違う魅力があるんです」と言う犬童監督。「自然に触れることができる、アーティストたちも集う、来るものを拒まずの自由な場所。昼間っから、だらっとしていい、ダメさもまた飲み込む懐の大きさ。歴史があり、過去とつながるスピリチュアルな魅力。北側の商業施設群との対比、街としての幅の広さを見せられる」と、作品の舞台としても刺激される場所のよう。

そして、吉祥寺にとっても大きなニュースであり、監督にとっても急遽4話の最後に追悼コメントを差し込んだくらい想いが強い、というのが5/26に日本最高齢の69歳で亡くなったアジアゾウのはな子。映画とドラマ2作、すべてに登場しているはな子は、麻子にとって「同じ街で共に日々を過ごし、死を抱え生きる仲間として多くの示唆を与えてくれる存在」であり、本作の第4話でも、「麻子は突然訪れた人生の岐路に出会い、心に大きな揺れを抱え、その身は自然とはな子の元に向かう」(犬童監督)。

その第4話の撮影日にも、体調管理のためはな子の姿は運動場になく、「その空白と化した画は、逆にはな子の存在の大きさを感じさせてくれた」(犬童監督)と言う。

多くの「はな子ロス」を生んだほど、吉祥寺住民にとって癒しであり大きな支えでもあったはな子。その存在の大きさを本作でもしっかりと感じられるだろう。



JRと京王井の頭線が乗り入れ、バスの便もよく交通アクセスは文句なし。個性的な横丁や商店街、さまざまな商業施設のほか、ユニークな個人店も数多く並ぶなど、“住みたい街”として知られるだけに、吉祥寺という街の魅力の多さは言わずもがな。

そして犬童監督から見た吉祥寺とは。「商業施設と、スピリチュアルな場所である森。街の中でそれが共存していて、線路を挟んで行き来できるのがすごくいいですね。あと、若い人から年寄りまで、どこか自由な気分があります。お互いに興味を持ち合い、場が一緒になれば、それぞれの年代が心を開いた会話をできる。プロも、アマチュアも、漫画家や、ミュージシャンなどアーティストが多いことからそんな雰囲気が生まれてるんですかね。いつでもどこでも、肩の力を抜いていられるよさがあります」

今回取材していて一番印象的だったのが、「吉祥寺の魅力」を「ずっと住んでいるからわからない」と言っていたシェモアさんとまりやさん。吉祥寺にずっと住んでいる人がこんなに元気でほがらかに活躍されているんだから、それこそ住む街として最高!ということだなぁ、と思う。【東京ウォーカー/小林未亜】

第22弾は10月下旬配信予定

最終更新:10/8(土) 10:00

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