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辞めてから大人気 三菱頭取レース 敗者の爆弾発言

週刊文春 10/8(土) 7:01配信

 9月23日に金融庁で開かれた会合での大物バンカーの発言が物議を醸している。

「企業向けに融資しながら、その企業の株式に運用する。さらに不動産仲介業務を手掛ける信託銀行のビジネスモデルは利益相反そのもの」

「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」でこう語ったのは、田中正明・元三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長だ。今年6月に三菱東京UFJ銀行上級顧問を辞してはいるが、同グループは信託銀行を持つだけに周囲を驚かせたのだ。

 実は、この田中氏は銀行を去ってから金融庁に重用されている。前出の会合に加え、「金融モニタリング有識者会議」、「フィンテック・ベンチャー有識者会議」、さらには、経産省の「IoT推進ラボ」の支援委員でもある。

「金融庁の委員は学者やエコノミストなどから選ばれるのが一般的。銀行OBが委員を務めるのは異例だが、森信親長官の肝いりで実現したと聞いています。国際派の森氏は以前から田中氏と親交が深かった」(金融庁関係者)

 田中氏は、東大法学部を経て、1977年に三菱銀行(当時)に入行した。

「ミシガン大の大学院に留学し、国際派で知られる。岸暁元頭取が全銀協会長時代に、エリートの登竜門と言われる企画別室長に起用された頃から頭取候補として内外に名前が知れ渡った」(三菱関係者)

 その後は、三菱の北米戦略の中核であるユニオン・バンク頭取を務め、モルガン・スタンレーへの1兆円出資を平野信行会長と手掛けて、“剛腕”が鳴り響いた。

 ただ、「お役所」と言われる三菱にあっては珍しい、歯に衣着せぬ物言いが災いした。

「次期頭取を選ぶ際に、会長らが事前にお伺いを立てる旧三菱銀行の頭取OBたちで作る『相談役会』で芳しい評価が得られなかったそうです。その結果、官僚以上に官僚的と言われ、ソツのなさで知られる小山田隆氏が頭取になった。ただ、今後は海外が主戦場と言われており、アメリカの金融当局にも顔がきく田中氏を選ぶべきだったとの声もある」(同前)

 田中氏の忌憚ない意見を期待しているという森長官。さっそく期待にこたえた“爆弾発言”だった。


<週刊文春2016年10月13日号『THIS WEEK 経済』より>

森岡 英樹(ジャーナリスト)

最終更新:10/8(土) 7:06

週刊文春

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