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経済だけでは今の日本の問題に切り込めない(小説家・真山仁)

NIKKEI STYLE 10/8(土) 11:00配信

──日本の宇宙技術がテーマのスパイ小説『売国』(2014年)がドラマになりました。真山さんにとってどんな位置付けの作品ですか。


 『売国』は東京地検特捜部の検事を主人公にした小説なのですが、それを通じて「政治」のチャンネルを強くしていきたいという意識がありました。7月から続編を産経新聞で連載していて、『ハゲタカ』以来の新シリーズの始まりです。


──このところ、選挙や農業、被災地など、経済以外をテーマにした小説が増えていますね。


 経済小説を書いているイメージが強いようですが、今は『ハゲタカ』シリーズ以外、経済はほとんどやっていません。今の日本を考えるには経済だけでは無理なので、政治や産業などの角度から見ていく必要があるのと、自分の関心が強いテーマで書かせてもらえるようになったというのはあります。

──以前のインタビューで「日本を元気にしたい」とおっしゃっていましたが、今もそうですか。


 それはたぶん、もう少し前の、日本がもう少し良かった頃の話だと思います。今は正直、このまま坂を転がり落ちていくようで、誰がこんな日本にしたんだと、いつか言わなきゃいけないような気がするんです。それ(日本の衰退)を止めなきゃいけない、というステージに変わってしまいました。


──いつ頃からですか。


 3年くらい前からですね。政治も経済もそうですけれども、ムードが先行し始めた。理屈が全くついてきていない。

 株価が上がれば景気がいい、なんて言われてきたけど、誰もそんな実感はないですよね。景気がいい時って普通、物が売れますよ。でも今はそんな衝動も起きない。海外に遊びに行ってぜいたくするよりも、いつクビになるか分からないからお金を貯めたいと思っている。極端なことを言うと、日本を逃げ出したって生きていけるだけのお金を残したくて、お金を使わないんだと思うんですよ。将来への漠然とした不安が、なんとなく蔓延している。

 強い政治家が支持されるのもひとつの現象だと思うんです。根拠があろうが無かろうが、断言する人に安心を求める。騙されると分かっていても「絶対○○する」という言葉にすがる。そこに、社会全体の、追い詰められてる感が現れていると感じています。

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最終更新:10/8(土) 11:00

NIKKEI STYLE

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