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閉店ドミノのセブン&アイ、「アリオ出店凍結」の要因は「セブン&アイ自体のデフレマインド」!?

HARBOR BUSINESS Online 10/8(土) 16:20配信

 セブンアンドアイホールディングスは、10月6日の半期決算発表で「エイチツーオーリテイリング」(H2O、阪急阪神グループ)と資本業務提携することを発表。そごう神戸店(神戸市中央区)、そごう西神店(神戸市西区)、西武百貨店高槻店(高槻市)を阪急阪神百貨店に経営譲渡し、百貨店事業をさらに縮小することを決めた。

 しかし、合理化の大ナタが振るわれるのは百貨店事業のみに留まらない。この大ナタは、これまで「本業」としてきたスーパーマーケット事業にも振るわれる。

 すでに、イトーヨーカドーでは、2017年2月期までに約20店舗を閉鎖、最終的には2020年までに約40店舗を閉鎖することを発表している。これまでに閉鎖された店舗や閉鎖が発表された店舗のなかには、イトーヨーカドー1号店の千住店(足立区)、都外初出店であった川越店(川越市)、そして2000年に出店した大型ショッピングセンターである新浦安店(浦安市)が含まれるなど、まさに大ナタを振るう形となった。

 しかし、「大ナタ」はこれだけに留まらなかった。セブンアンドアイホールディングスは、これまで好調とされてきたイトーヨーカドーを核店舗とする大型ショッピングセンター「アリオ」(Ario)の新規出店も凍結する方針だというのだ。

◆アリオとイオンモールの「決定的な違い」

「アリオ」はセブンアンドアイホールディングスが展開する近郊型の大型ショッピングセンターで、セブンアンドアイホールディングスと三井物産が共同出資した「モール・エスシー開発」が運営、殆どの店舗が「イトーヨーカドー」を核店舗としている。

 イトーヨーカドーでは「駅前・高層型」という旧来型の総合スーパーが不振な一方で、ショッピングセンターであるアリオは、比較的業績が好調だとされてきた。それにも関わらず、新規出店の凍結を行うのは、これまでのアリオの出店・経営戦略と大きく関係があるであろう。

 アリオは2005年に1号店となる「アリオ蘇我」(千葉市中央区)が開業。以降、札幌(札幌市東区)、川口(川口市)、亀有(葛飾区)など、おもに大都市近郊地域や地方中核都市の駅周辺を中心に出店を進め、2011年には当時セブンアンドアイホールディングスCEOであった鈴木敏文氏と縁が深い長野県上田駅前にも出店。2016年4月に開業した「セブンパークアリオ柏」(柏市)まで18店舗を展開している。

 このように、地方の純郊外地域への出店を得意とする「イオンモール」とは大きく異なり、アリオはイトーヨーカドーが得意としている足元商圏人口の多い大都市圏での近郊地域・地方中核都市中心部への出店を主体としてきた。

 一方で、近年それらの地域では地価が上昇に転じ、さらに建築費や人件費の高騰も起きている。そのため、従来のコストでは、アリオの新規出店は難しい状態となっている。

◆アリオ出店凍結! その背後に何が?

 さらに、アリオに出店するテナントのうち、セブンアイ系列外の大型テナントはファミリーファッションの「ユニクロ」やシューズの「ABC-MART」など、デフレ化にも強いいわゆるファストファッションで占められることが多い。イオンモールが得意とする純郊外地域では、こういったファストファッションの大型店の出店余地がまだまだある一方、アリオが得意とする大都市圏(特に首都圏)では、景況感が改善しつつあるうえにアパレルの選択肢も多いため、ファストファッションの大型店で床を埋めるという従来のショッピングセンターの経営手法が成り立たなくなってきているという現実もある。

 これまで「デフレマインド」による収益改善が見込めない百貨店、総合スーパーに対し、デフレ下でも収益を上げてきたとされるショッピングセンター「アリオ」。

 しかしこれまで示したように、アリオはデフレ状態でないと新規出店・収益化が難しい業態であり、大都市圏がデフレから脱却しつつあるなかで、結果的に出店を凍結せざるを得ない状態にまで至ってしまったと言える。

 消費者のデフレマインドが深刻だと言われる昨今。しかし、本当に深刻なのは、ショッピングセンター運営にも苦慮するほどにまで追い込まれた「セブンアンドアイホールディングス自体のデフレマインド」ではなかろうか。

<取材・文・撮影/都市商業研究所>

【都市商業研究所】

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」

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ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:10/8(土) 16:20

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