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豊洲の「環境アセス」やり直しでも五輪道路は間に合うのか

デイリー新潮 10/8(土) 9:01配信

 地道に積み重ねてきたはずの「評価」が轟音と共に崩れるさまは、さながら賽の河原の如し。9月23日、小池知事は5年前に公示された豊洲市場の「環境影響評価(アセスメント)」の変更に言及した。となれば、五輪の大動脈も無傷では済むまい。一体いかなる“バイパス手術”が施されるのか。

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 都の「環境アセスメント」は、大規模な開発事業の際、事業者が環境への影響を調査・予測し、評価書案を作成。これを都の環境局が審査したのち、評価書を公示する制度で、1980年に条例化された。豊洲に関しては2011年8月に公示。が、これは「盛り土」を前提に作成されており、

「評価書では『汚染物質の曝露による環境への影響が生じることはない』と結論付けていた。このため小池知事は23日の会見で『一般論としては評価書の変更届を出さなければならない』とし、『評価のやり直しの可否を決めるまで1カ月くらい、アセスをやり直すならさらに1年3カ月ほど必要だ』などと見通しを示したのです」(都政担当記者)

 いずれにせよ、移転がさらに先延ばしとなるのは必至。都の環境局に聞くと、

「何らかの工事、つまり変更を行なう場合は、大気や土壌について再予測し、『軽微な変化がある』あるいは『現状と変わらず』といった再評価をした評価書案を提出して頂くことになります。それを受けてこちらは審議会に諮り、再アセスメントの可否を判断いたします」

 もっとも実際には、

「再アセスメントというのは、制度が始まってから行なわれてきた300件以上の環境アセスのうち、3、4件しか例がありません」

 ところが、まさに豊洲はそのレアケースだった。07年に評価書案がまとまっていたものの、土壌汚染対策が大幅変更されたことで09年、再アセスメントを行なっている。かりに今回やり直しとなれば、何と「再々アセスメント」となるわけで、紛うことなき“いわくつき物件”なのである。

「このハードルがクリアできない限り、築地の解体は先の話です。従って懸案の環状2号線、すなわち『五輪道路』計画もあえなくタイムアップとなってしまいます」(前出記者)

 同線は、築地跡地から晴海の選手村に至る箇所の開通を以て仕上げとなるのだが、跡地部分ではトンネルを掘らねばならず、当初から完成は五輪開催の数カ月前とみられていた。再々アセスメントなどに見舞われたら目も当てられないのだが、そこに妙案があるというのは、交通ジャーナリストの清水草一氏である。

「今年の12月に開通させる予定だった『暫定道路』を改良して利用すれば五輪の輸送路としては問題ありません。これは市場の南側の道路と、すでに完成している2号線を繋げるだけ。片側1車線を2車線に広げる工事も難しくありません」

 賽の河原では、鬼に苛まれる小児は地蔵菩薩に救われる。漂流する「豊洲島」の首尾は果たして……。

「特集 どんどん湧き出る『アルカリ地下水』と疑問点 イースター島より不思議な豊洲アイランド! バカな話が多すぎる『豊洲のパンドラ』10の疑問」より

「週刊新潮」2016年10月6日号 掲載

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最終更新:10/8(土) 9:01

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