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落合陽一語るVR×未来「人が“異形”になる日も…」

R25 10/9(日) 7:00配信

VR(ヴァーチャル・リアリティ)によるゲーム体験…は、もはや説明が入らないほど話題になっている。さらに物件の内見や、旅行の疑似体験、さらにムフフなセクシー体験に至るまで、巷で「VR元年」といわれるだけあって、多彩なコンテンツが同時多発的に誕生中だ。しかしこれらは玉石混淆。淘汰の果てに、VRのムーブメントは今後どのような道をたどるのか。ひいては僕らの生活がどう変わるのか。「現代の魔法使い」の異名を取り、筑波大学でメディアアートを研究する落合陽一先生に聞いてみた。

VRの本領発揮は、ビジネスとアート分野!

「今度の『PlayStation VR』の発売で一気に波が来ると思います、価格帯が違って、違うユーザー層に届くので。でも現状のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)って重いので、1日2時間遊ぶとイヤになるんですよ。10分程度の試遊なら問題ないけど、1時間を超えると首が重たくなってくる。寝てやる分にはいいんですけど(笑)。そのあたりは今後の課題でしょう。やがてiPhoneのように、軽くて薄い本格的なガジェットが誕生すると思います」

VRの体験では目下ゲームといったエンターテインメントに注目が集まっているが、落合先生によると、VRの体験は、まずビジネスにおけるプレゼンテーションに革新をもたらすという。

「各HMDでトラッキングが安価でできるようになってきたので、VR空間にいる人にものを渡せるようになったのが大きいんですよ。なんか商品があって、これをご覧くださいと渡す、なんていうやりとりができるようになった。またこれまでマンションの内見で360度のパノラマを画面上で表示することはできましたが、歩行できるようになって、広さや大きさも直感的に認識できるようになります」

さらにはアートの分野でも、これまでの概念を覆すかもしれないとか。

「Googleの『Tilt Brush』というソフトがあって、3次元空間に絵が描けるんです、草むらとか雨粒とか三次元空間に自由に。これまでのアートは、塑像や彫刻を体系的、もしくは経験的に学習していないと上手にできなかったのですが、VRなら直感的にできる。重力や構造を意識しないで、空中に花を描いて浮かべたり、雨粒をたくさん描いてその中を通り抜けるなんて体験もできる。これまで人類が誰も表現できなかったことを、VRならできるんです。子供に与えたら、喜んでずっと描いてますよ」

VRに最適化された人は、タコ型!?

重力を技術でなくすにはあと数世紀かかるかもしれないが、VRのなかではもう意識せずに行動できるということ。有史以前から無意識的に縛られてきた常識にとらわれない未来では、どんな日常が待っているのだろう。

「まず仕事の仕方は変わるでしょうね。VRではテレプレゼンス(空間共有)に関する研究が盛んです。遠くにいるロボットに人間の視覚と動作を飛ばして、遠隔地での行動を可能にするような。体の部位を測位するマーカーの技術が発達していけば、世の中のほとんどのものがテレプレゼンス的になっていきます。遊園地の着ぐるみとか、中に人が入っていないなんて時代はそう遠くないと思いますよ」

するともはや「人がどこかに出向く」という当たり前の行為も陳腐化し、移動手段も無意味化し、ひいては土地の値段にまで影響を及ぼしてくるかもしれない。その一方で、課題になるかもしれないのが“人の形”。人間を人間たらしめるのは、人間の形があってこそだが、それすらあやふやになってくるかも、と落合先生は続ける。

「VRを通して、人はどんな異形にも、どんなサイズにもなれるんです。そのあたりの研究は、極めてまじめに取り組んでいます。たとえばデジタル世界ではアナログ世界より、腕よりも指をよく使うでしょ? スマホにしてもゲームを遊ぶにしても。だからもしかしたら人間は、タコ型とか卵型の方がいいのかもしれません。VRを通して研究と実験を続けていけば、現代の生活に最適化された人間の身体構造は今の身体性とちょっと違うかもしれないですよね」

にわかには信じがたい話だが、VRとは人間の常識を取り払う新たなスキームのこと。そんな時代を生まれながらにして体験できる、いわば“VRネイティブ”の世代は、果たしてどんな未来を形作っていくか。――楽しみでもあり、怖くもあるのは、筆者が旧世代だからなのかもしれない。

(吉州正行)

(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびR25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

最終更新:10/9(日) 7:00

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