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山田孝之「人生もう半分。急ぎ足で詰め込んでる」

R25 10/9(日) 7:00配信

(前編はこちら)

山田孝之は15歳の時、原宿でスカウトされてデビューした。18年に及ぶキャリアで、本当に様々な作品に出演している。

この何年かだけでも、隠匿された殺人事件を追って次第に正気を失っていく記者を演じたり、半殺しにしたおっさんと自転車で二人乗りしながら農道で「セックスしてえ」と叫んだり、“星”だったり、世間のベタな常識が一切通用しない“勇者”だったり、あるいはCMではタキシード姿で剣を掲げてモンスターに切り込んだり、ヘリでさらわれる女性をタキシード姿でコーヒー豆で救ったり…。

「でも完成したという役はなかなかないですね。試写とかオンエアを見て“うわー全然できてねえ”ってとこと“これは結構理想に近づいたな”ってとことがすべての作品であります。でも基本は芝居単位ですね。俳優って実は作品に携わる時間が短いんですよね。プロデューサーや監督たちは何回も何回もその脚本を読み、練り上げ、僕らが呼ばれるのはある程度固まった段階になります。で、役作りをして現場でそれを出して終わる。みっちり作品に密着して作り込むとなると、それこそ年に1~2本に絞って、台本を最初から練っていく段階から入っていけば、もっとうまくいくかもしれません」

60歳までに積み重ねて、あるいは引っこ抜いていくこと。

でも山田さんの今のスタンスはそうではない。いろいろな作品にバンバン出ている。

「単純に飽きっぽいんです。いつ死ぬかわからないし、やりたいことをやろうと。でっかい地震が来たり、他国がミサイル撃ったってニュースで聞いたりすると、意外と死って近いところにあるなって思って。だからなるべく明日死んでも後悔しないように生きよう、やりたいことはどんどん積極的にやっていこうって思うんです」

間もなく山田さんは33歳。「いつ死ぬかわからない」という危機感は18歳から持っていたという。でも昔は何をやりたいかわからなかった。少しずつやりたいことが出てきても、どういう手順で誰と組んで進めればうまくいくかがわからなかった。

「それが見えてきたのはこの2、3年ですよ。30歳の時に初めて年齢を意識して、結婚して子供が生まれたということがあったし、30歳って本当の意味で社会にしっかり出る年齢だと思っていたし。あとはその時新たにパッと思ったことを形にするのって、たぶん60歳ぐらいが限界かなと思っていて、そうすると30歳って、人生もう半分しかないんだなっていうことも思ったし。今は急ぎ足で詰め込んでる感じもありますね。映画だと少なくとも世に出るには2年かかるので、それをやりつつも、もっと早くアプローチとして出せるものも並行してやっていきたい」

山田さんの脳内ではいろいろなことが駆け巡っている。それは30代の俳優として今やっておくべきことであったり、60歳までの活動期間を見越して積み上げておくべきことであったり。

「単純に積み上げて目指してるところに段を重ねていってるのか、あるいはこっそり下のほうから段を抜いて、目指すところをどんどん目線の高さに下げるようにしているのかはわからないですけどね(笑)。実はいろいろ考えてるんですよ」

例えば2011年から始まり、チープなRPGパロディぶりと意外な大物が全力でバカをやる面白みで人気を博した『勇者ヨシヒコ』シリーズ。今年10月に第3弾が放送される。脚本・監督の福田雄一氏より直接メールがあって実現したプロジェクトだ。

「そういう仕事の進め方をあえて外でしゃべってきたのも考えがあってのことですね。きちんと仕事先とコミュニケーションをとりながらちゃんと仕事として成立するところまで自分の責任で持っていって、ある程度形になってから事務所に入ってもらえばいいかなと。常に代理の人を間に入れて伝言ゲームみたいにすると、時間もかかるしお互いの真意も伝わりにくいので。“オファーが来ました。やりました”っていうより、“自分がやりたい”って自分発信で事務所に告げると、今回の『ザ・ファイナル』にしてもそうですけど、そこから何億円も何百人も動かしてプロジェクトが進んでいくわけじゃないですか。それは責任感も増しますよね。絶対面白くしないといけないし、ビジネスとしても成功させないといけないし…」

例えば、まさに取材のタイミングで、ミュージシャン赤西仁とのユニット「JINTAKA」のPVが公開された。これはまさに、今の思いをスピーディーに世に出した好例なのかもしれない。一説によると、エイプリルフールでの二人のインスタグラムに端を発して実現した企画というのだけれど…。

「あのプロジェクトは、やってること自体は“勇者ヨシヒコ”と変わりません。パロって全力でやる、でも、ただふざけたわけではないんです」

でも真意は言わないのだという。言うと面白くないからか、何かが台なしになるからか。最後に野望を聞いた時、山田さん「ちょっと待ってください」とスマホを手にし、何やら操作し始めた。

「すみません、野望の正確な意味を調べます…んー、分不相応な大きな望み? 難しいなあ。先に見てるようなことですよね? すごくありますよ、それがあっての今の動きなので。でも、人生通して俳優として芸能界に身を置いて見てることは言えないです。邪なことを考えてるわけではないんですけど、いろいろとタイミングが重要だったりもするので。今ちょっとそういうことで、こういう場で言っちゃうのは利口じゃないかな。何しろ先のことがかかってるんで(笑)」

武田篤典(steam)=取材・文/稲田 平=撮影

(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびR25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

最終更新:10/9(日) 7:00

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