ここから本文です

学校不祥事の顛末-LINEで私的な連絡を取り、不適切な行為を働く-(1)

教員養成セミナー 10/9(日) 11:00配信

後を絶たない教員のわいせつ事案 どのような行為にどのような処分が科されるのか

【今月の事例】
 A県教育委員会は、自分が勤務する学校の女子生徒に不適切な行為を働いたとして、県立高の男性教諭(27)を同日付で懲戒免職処分にした。県教委によると、部活の顧問をしていた県立高教諭は無料通話アプリ「LINE(ライン)」を活用して女子生徒に私的な連絡を行い、複数回、勤務校の教室内で生徒を抱きしめ、口にキスした。県教委の事情聴取に対し、教諭は「好意を抱いていた」と話しているという。県教委によると、教諭が連絡手段として生徒のLINE のIDを取得する際には、学校長の許可が必要だが、県立高教諭は「面倒くさい」と申請していなかった。
…………………………………………………………………………

1 アレルギー事故から何を学ぶか

1 厳罰化の傾向
(1)本事案の特徴
 残念ながら、教員によるわいせつ事案は後を絶ちません。不祥事が発覚すると、当該教員は処分をされ、そうした処分は公表されます。それでもなお卑劣なわいせつ事案がなくならないのはなぜなのか、今一度、立ち止まって考える必要があるのではないでしょうか。本事例は、無料通話アプリ「LINE(ライン)」により、教員と生徒が直接連絡をとっていることが特徴的と言えます。そのことを踏まえ、以下、問題点を検討していきましょう。

(2)処分量定の例
 わいせつ事案に関する処分は、厳罰化の傾向にあります。東京都では「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」(平成28年4月1日更新)を公表しています(東京都Web サイト参照)。その中から、児童生徒に対する性的行為等に関する処分量定を抜粋してご紹介します。

---------------------------------------------------
ア 性行為そのもの、あるいは性器等に直接触れる行為等
□ 同意の有無を問わず、性行為を行った場合(未遂を含む。)
□ 同意の有無を問わず、直接陰部、乳房、でん部等を触わる、又はキスをした場合
→免職
---------------------------------------------------

 これらの行為は、強姦罪や強制わいせつ罪に当たり得る行為です。その悪質性から、同意の有無を一切問わず、最も重い免職処分が相当とされているのは当然と言えるでしょう。

---------------------------------------------------
イ 性的行為と受け取られる行為
□ 性的行為と受け取られる直接身体に触れる行為(マッサージ、薬品の塗布、テーピング等を行う際の行為も含む。)を行った場合
□ 性的行為と受け取られる着衣の上から身体に触れる行為を行った場合
→免職、停職
---------------------------------------------------

 これらの行為が例示されているのは、「部活動の指導として」とか、「正当な治療と称して」卑劣なわいせつ行為が行われる例が見られることへの強い警鐘と見るべきでしょう。性的行為と受け取るかどうかは相手の内心の問題ですから、そう受け取られるような行為なのかは、客観的事情から判断されることになります。

---------------------------------------------------
ウ わいせつメール等による性的行為の誘導等
□ わいせつな内容のメール送信、電話等又はメール等で性的行為の誘導、誘惑を行った場合
→免職、停職
---------------------------------------------------

 「メールをしただけで…」とお思いになるかもしれませんが、わいせつ行為に至らなくても、免職や停職といった重い処分が相当とされています。

---------------------------------------------------
エ 性的な言動により性的不快感を与える行為
□ 性的な冗談・からかい・食事、デートへの執ような誘い等の言動を行い、性的不快感を与えた場合
→減給、戒告
---------------------------------------------------

2 LINEによる関係性の変容
 携帯電話、スマートフォンの普及に伴い、生徒との連絡手段としてLINE のID を取得する例があります。たとえ当初は連絡目的であったとしても、生徒と個人的にやりとりを続けるうち、次第にタガが外れ、恋愛感情を伝えたり、わいせつ行為へ誘ったりなど服務事故へ発展するケースが増加しています。本事案は、まさに最近のそうした傾向を示すものです。

3 何を自覚すべきか
 不祥事があると、教員として自覚を持つべきと抽象的に言われますが、漠然とではなく、「何を」自覚すべきなのかを具体的に考えることが重要だと思います。
 例えば、教員と生徒には上下関係があること、生徒は未だ人格形成の途上にあり判断能力が未熟であること、生徒が不適切な誘いに対し的確な判断を下したり行動したりするのは難しいこと、生徒は不適切な関係について周囲に相談できないことなど、自分なりにいろいろと考えてみてください。
 LINE の利用で自分の立場を忘れ処分された事例を他人事と思わず、いつ誰に見られても恥ずかしくない教師を目指していただきたいと思います。

※「教員養成セミナー2016年11月号」より

弁護士 樋口 千鶴
(上條・鶴巻法律事務所/東京都教育委員会公益通報弁護士窓口)

最終更新:10/9(日) 11:00

教員養成セミナー

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Yahoo!ニュースからのお知らせ