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指導歴50年、佐藤信夫コーチが語る スケーティング「基本中の基本」

webスポルティーバ 10/9(日) 19:50配信

連載・佐藤信夫コーチの「教え、教えられ」(3)

 日本フィギュアスケート界の重鎮であり、選手時代から指導者になった今でも、フィギュアスケートの発展に尽力している佐藤信夫氏。コーチ歴50年。74歳になった現在も、毎日リンクに立ち、浅田真央らトップ選手から幅広い年齢の愛好者まで、フィギュアスケートを教え続けている。

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 その佐藤コーチはフィギュアスケートに、「本来あるべき基本がある」と言う。


 フィギュアスケートの「スケーティング」の概念をお話しすることは非常に難しいものがあります。僕は僕のやり方で「スケーティング」というものを理解して、指導者としてそれを教えている。もちろん私のスケーティング指導がすべて正しいということではないのですが、それでも私にとってのすばらしい「スケーティング」というものはあります。

 以前、スケートを教わる時期は若ければ若いほどいいという話をしました。それは人間が持つ身体的な仕組みでもあるから、大人になってから習ってもなかなか身につかないことがあるのは仕方がないのです。大人になってから一輪車に乗れるようになるのは大変なことだけど、小学校の低学年の子どもたちはいとも簡単に乗れてしまう。それは、重心があっちへ行ったりこっちへ行ったりしても、子どもはそれを自然に体で吸収して、「こうなった時にはこっちに体重を預ければいいんだ」ということをすぐに覚えてしまうためです。

 スケートも同じです。大人は言葉と頭で解決しようとします。だから大人には「こういうことをしたら転びますよ」「スケートは体重で氷を押して進むことだから、大きな力を使わないで静かに移動すればだんだんうまく滑れるようになりますよ」という説明をします。でも子どもにはあれこれと難しいことは言いません。小さい子を教えるときには、あまり型にはめないで、ある程度安全かなと思うところまできたら、できるだけいろいろな遊びをさせるのが賢明かなと思っています。

 たとえば、1枚の画用紙に子どもがいたずら書きをします。その子が画用紙の白い部分が見えなくなるまでいたずら描きをしたら、それはすばらしいことなんです。その画用紙をアイスリンクに置き換えてみてください。氷上での遊びを通じて多種多様な動きを体で覚えさせたいわけです。夢中になって遊ぶことによって、一番自然な体重移動ができるようになるのです。

 氷上を滑っている途中、体重をグーッと右にかけたり、左に持っていったりすることによって、こっちへ行ったりあっちへ行ったりするわけじゃないですか。ありとあらゆる方向に行くことを自然と覚えていけば、何だってできる。そして慣れていきます。こう滑りたいという気持ちさえあれば、自然と答えが出てくるものなのです。だから子どもたちには「いろいろな動きをしなさい」と言います。どこまでも単純に「あそこへこういうふうに行きたいんだ」という欲を大切に持ってもらいたいです。

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最終更新:10/9(日) 19:50

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