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政府、金メダル確定…五輪新種目「ただ乗り」で --- 上山 信一

アゴラ 10/9(日) 7:12配信

丸川さんが五輪の予算肥大化について知事から事情聴取されたいとのこと。結構なお話ですが、聴取して、それでいくら払っていただけるのでしょうか? まさか、話聞いただけで依然、「政府は一円も出さない。今後も五輪には徹底してただ乗りします」なんてことはないですよね。

この際、いわせていただくと、わが日本国政府は五輪へのただ乗りでは世界新記録、ぶっちぎりで金メダル確定です。なにしろ、

(1)政府はIOC、都庁、JOC、組織委員会の開催都市契約に署名しなかった・・驚きの事実。なので政府には五輪開催について何の権利も義務も発生していません。ならば、なぜ担当大臣がおられるのか?そもそも何を担当されるのか?納税者として不思議です、無駄に大臣の数は増やさないでほしい・・。しかも、なぜ、権利も義務もない大臣が調整会議に来られるのでしょうか?

(2)組織委員会(特別目的会社のような公益財団、都が97.5%出資)にも政府は出資せず、補助もしない。お金のないJOCですら1.5億出しているのに、国はゼロ・・・JOC、都庁や組織委員会からしたら、政府は、やる気ないんですかねぇと、さびしい限り。

(3)東京都は開催都市だから、自分の施設は自分でつくります。しかし、お金がなくて困ってる他県が政府に五輪施設の補助金を求めても知らん顔。
長野五輪の時の文科省は、ちゃんと長野の財政事情を考えて、360億ほど施設建設費を補助してますが、今は、一円も出さないとひたすら頬かむり。

(4)さすがに国立競技場くらいは国も建て替えることにした。ところがその資金も一部を都に金出せ!と・・まるで、かつあげ(YA〇U〇A)ですよねぇ。
都庁は400億円を差し出しました。あまりにお行儀が悪いというか、吝嗇すぎて気持ちが悪い。

要するに政府といえども、まずは払うものを払ってから劇場には入場し、そのうえで全体予算がどうこうとか感想を言っていただかないと困ります。ほかのお客さんはみなさん、劇場建設に寄付して、さらに入場料もはらっておられます。その上で収支が心配と話されているわけで・・。おたくさんだけ、特別扱いというわけにはいかないですよ。

「国はセキュリティを担います、うちのお巡りさんが協力します」って?すみません、警視庁も都庁の一部、都民の税金のお金で運営されています。日本は自治体警察の制度なんでね。

まあ、マニアックなこといいますと機動隊だけは国の予算です。五輪で機動隊がでてきたら、やっと国も貢献していただける!SHOW THE FLAG!でも、もうそうなったらたいへんな事態なわけで・・めったにご貢献いただけない(出番をご用意できず、すみません)。

あっ、そういえば「東京都が破たんしたら資金を提供します」と確かに国はサインされました。しかし都が財政破綻している状態って、あまり想定できないですよね。そんな状態で五輪はやれない?開催中止ですから、これも無意味なサイン・・・実現できる貢献項目とはいいにくい(そう思いたい)。

(5)ちなみに、リオの閉会式には総理がマリオになって出演されました。あの出演料もいただいておりません(12億かかったという話がありますが)。要は、おたくの社長は入場料を払わず、他人が経営する劇場に入り、主演までやってお帰りになった)。

ともあれ、世界の子供たちは、日本は国を挙げて、政府が責任をもって五輪をやってくれるんだと思っています。日本人もそうです。

ところが、競技施設を受け入れたものの、お金が足りないと困った地方が政府に陳情しても知らん顔。都庁からはかつあげ。契約にはサインしない。会議にだけはでてきてえらそうに指図・・・?とみえちゃうのです。

おまけに五輪推進の会議を政府内で開催されているようですが、あれって、IOC、JOC、都庁、組織委からみると協賛企業の社内会議と同じです。
なにしろ開催都市契約にサインしていない国には何の権限も責任もないのですから。

協賛いただく内容ですが、
(1)万一の時の機動隊、(2)万一、都が破たんしたときの保証人、(3)国立競技場の提供くらい??

開催都市、東京都がやるイベントですが、政府にもいちおう協力はいただいている。しかし、まあ、それって政府が税金の対価でふつうにやるべき義務でしかない。
この程度で「全体予算が心配だ」とか、「効率的にやれ」とかよその団体がやるイベントの運営に口を出されても困るわけです。

私は何が言いたい?
「世界に恥ずかしいから、払うもの、ちゃんと払ってください」
「かつあげはおやめください」
それだけです。

“丸川五輪相 都知事から五輪予算の検証結果聴取も(NHKニュース)(https://newspicks.com/news/1822374?ref=user_1157056)”

(参考)ショーザフラッグ【show the flag】とは「国旗を掲げる」「旗幟を鮮明にする」「国力を誇示する」などの意


編集部より:このブログは慶應義塾大学総合政策学部教授、上山信一氏のブログ、2016年10月8日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた上山氏に感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、上山氏のブログ「見えないものを見よう」(http://blogs.yahoo.co.jp/shinichi1957ueyama/)をご覧ください。

上山 信一

最終更新:10/9(日) 7:12

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