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独化学者の急死と北の化学兵器 --- 長谷川 良

アゴラ 10/9(日) 16:30配信

今年1月、友人の独の化学者ヤン・ガヨフスキー(Jan Gajowski博士)=写真が急死した。ヤンはシングルだったから、彼の訃報は彼が長い間、勤務していた国連工業開発機関(UNIDO)の訃報欄で知った。ヤンの名前を見つけた時、信じられなかった。彼は健康であり、UNIDOを退職してからコンサルタントなどをし、時間があれば国連記者室を訪ねてきて、当方とよく話した。ヤンには聞き手が必要だった。彼が話す化学の世界には正直言ってついていくのが大変だったが、彼はこちらが理解しているかなど余り関心がなく、話し続けることが多かった。そのヤンが亡くなったのだ。当方が「ドクター・ヤン」というと、「ドクターなどつけないで、ヤンといってくれ」というのが彼の口癖だった、その彼が突然、いなくなったのだ。

彼はUNIDOではモントリオール・プロジェクト(MP)を担当し、環境保全を推進し、加盟国にアドバイスし、汚染問題があれば、その改善策を提示していた。当方が彼と接触するきかっけとなったのは、北朝鮮のMPだった。彼は平壌を何度も訪問し、そこで環境保全、化学関連施設の安全性などについて北の専門家を教育していた。時には、北の化学工場を訪問し、その環境問題などについて助言してきた。

当方はこのコラム欄で残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs)について報告したが、残留性有機汚染物質は、毒性が強く、分解が困難で長期間、人体や環境に悪影響を与える化学物質だ。例えば、ダイオキシン類やDDTだ。DDTは有機塩素系の農薬でPOPsの規制対象物質だ。日本では1971年に使用が禁止されたが、同条約に加盟している北朝鮮はDDTをまだ使用している。そこでヤンから北の環境問題についていろいろ教えてもらった。

彼曰く、「残留性有機汚染物質の怖さは、悪影響が一国だけに留まらず、地球全土に拡大することだ。平壌がDDTの使用を中止しなければ、土壌が汚染し、その影響は時間の経過と共に他国にも拡大する。簡単にいえば、北朝鮮の汚染物質は偏西風やグラスホッパー現象などを通じて日本や中国にも影響を与える」というのだ。

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最終更新:10/9(日) 16:30

アゴラ

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