ここから本文です

もんじゅ問題。なぜこの国の為政者は「失敗」を認められないのか 血税1兆2000億円がパー

現代ビジネス 10/9(日) 6:01配信

 これまで何度も無駄と指摘され、それでも、様々な人々の利害のために、ゾンビのように生きながらえてきた「夢の原子炉」。このプロジェクトの中心には誰がいて、誰が責任を取るのか――。

元幹部の告白

 かつて高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市・以下、もんじゅ)の運営主体である日本原子力研究開発機構(原研機構)で上席研究主幹という幹部職を務めた経歴を持つ田辺文也氏はこう語る。

 「『もんじゅ』はいまの日本の技術力では、到底制御できるものではありません。そこに1兆2000億円もの膨大な予算が投じられてきたというのは正常な状態ではない。

 もんじゅは、'95年にナトリウム漏れ事故を起こして、世界的にもその技術は疑問視されています。ましてや福島第一原発の事故という悲惨な経験をしたあとならなおさらです。

 もんじゅの運営を行う職員の間でも、『ほかの研究にカネを遣いたい』『もう批判されたくない』と不満が出ています」

 そのもんじゅについて、8月末、政府が菅義偉官房長官のチームの下、廃炉も視野に入れながら、今後を検討していることが発覚し、大きな波紋を呼んでいる。

 全国紙政治部記者が言う。

 「政府は、現行計画でもんじゅを運転しようとすると、約6000億円の追加支出が必要だという試算を出しました。その額があまりに大きいため、廃炉の可能性も考慮し始めたようです」

 こうしたなか、9月16日には、安倍晋三総理の側近であり、経済産業相を務めたこともある自民党政調会長の茂木敏充氏がインタビューで、

 「もんじゅは運転停止が6年間続き、この22年間で運転した期間はわずか250日にとどまっています。昨年11月には原子力規制委員会が運営主体の変更を勧告しましたが、新たな運営主体も決まらない状況。廃炉以外の選択肢はないとまでは言わないが、私の想像力を超えています」

 と答えた。

 しかし、この発言は違和感をもたらすものだ。

 茂木氏は、あたかも自分たちは、もんじゅの問題に巻き込まれた被害者、あるいはこの施設を廃炉に導く決断をした正義の代弁者といわんばかりだ。だがそもそも、戦後の原子力政策を進めてきたのは、そのほとんどの時期で政権与党にあった当の自民党である。

 元東芝の原子炉技術者・後藤政志氏が言う。

 「日本では、一貫して政府が原発を推進し、その一環として資源の再利用のために『核燃料サイクル』政策を進め、長年の間もんじゅを維持してきました。

 茂木さんをはじめとして、現政権はこれ以上もう対応の仕様がなくなって廃炉を言い始めたのでしょうが、他人事のような顔をしていたのではおかしい。

 最終的に責任を取るべきなのは政府にほかなりません。『文部科学省に任せていた』なんて言い訳は決してできないはずです」

1/3ページ

最終更新:10/9(日) 6:01

現代ビジネス

記事提供社からのご案内(外部サイト)

「現代ビジネスプレミアム」

講談社『現代ビジネス』

月額1000円(税抜)

現代ビジネスプレミアムは「現代ビジネス」の有料会員サービスです。2万本以上の有料記事が読み放題!会員だけの特別記事も配信。豪華ゲストによるセミナーも開催中。

なぜ今? 首相主導の働き方改革