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【地域おこし協力隊の闇】国家資格があっても下働き、謎の“武闘派”職員、40歳で老人扱い

HARBOR BUSINESS Online 10/9(日) 16:20配信

 田舎暮らしを体験でき、しかも生活が保証される中には移住の引っ越し費用まで持ってくれる「地域おこし協力隊」。田舎に憧れた若者はネットで見るような町おこしのヒーローになれると勘違いして華やかなウリ文句に釣られて応募する。そうやって集められ使い捨てられていくブラック自治体の地域おこし協力隊の実態がさらに集まってきた。

 地域おこし協力隊として中国地方のある県に赴任したCさん、彼は中部地方で手広く公的書類を作成していた司法書士。並行して店を経営していたためお金には困っておらず45歳を機会に田舎暮らしを夢見て一念発起。風光明媚な河川のある村の協力隊に応募し合格した。好条件に惹かれて都会からの応募者が増え競争率が年々高まっていると聞き、面接では、仕事のできる経営者として多様な町おこしのプランを語り、合格を勝ち取った。

 「移住促進という係に配属されました。こちらとしては移住を促進するために様々なイベントや企画を立てて開催することを目論んでいました」

 ところが、行ってみてやらされたのは主に移住促進住宅という仮設住宅の掃除。毎日、掃除と布団カバーの洗濯だけをやらされ続けた。予想もしない展開に入ってすぐに鬱ぎみになり、半年も経ったころCさんはさすがに我慢できなくなって新しい移住促進のプランを提案してみた。

 「それがもう、お話にならないんです。プランを面白がってくれたのはいいですが、その後何か月経っても何も話が進まない。僕は結局11か月で辞めましたが、辞める頃になってその話が市役所の計画に取り込まれていたのを知りました。最初から協力隊にはやらせるつもりはなかったんだと悟りました。都会の人にアイデアだけ出させて取り上げるつもりだったんですよ。結局、彼らは地元の人以外には何もやらせたくないんです。余所者を信用していないというより、身内だけでやって担当者が役場の中で点数を稼ぎたいだけ」

◆特産品開発の予算を出してくれず……

 同じようなことは別の方面からも聞こえてきた。東北地方に赴任したDさんは、特産品販促担当ということで地域おこし協力隊として赴任した。特産品の開発といっても、地元で余っている農産物を加工し何か新商品を作らなくてはいけないというミッションを抱えている。

 それなのに、役場の人間にはこう言われたという。

 「“試作って言ってもただの料理好きなだけでしょ”って(苦笑)。何かを試作するのにその費用は自分持ち。国から助成金が出ているのにも関わらず、そのお金は地域おこし協力隊の特産品開発には使わせないんです。結局、地元の婦人会のご好意がなければ何も進まない状態でした。結局、自分の思うような試作品を作れないので婦人会のいうままに新商品を開発しましたが、都会から人を呼んでも地元の意見しか通らないなら意味がないですよね」

 Dさんは新商品の開発を諦め1年で東京に帰ったという。

◆40過ぎが田舎に行くと老人扱い!?

 移住の費用を負担したり、地域おこし協力隊の採用に積極的な地域は過疎地域だ。ただ、場所が過疎地域だけに、人が移住しにくい不便な場所にあったり、これから述べる別の意味の阻害要因も多い。

 東北と関東の境目付近にある某地域に赴任したEさんは、そのことを行ってから実感した。

 「独身でしたし、独り身なので田舎暮らしに憧れました。でも行ってみたら全く違っていました。田舎では村祭りを中心に動いているんです。つまり青年団の活動に参加しなくては村に溶け込めない。ところが田舎では40過ぎると青年扱いされません。雑用は頼みにくいしまず何か行事があっても青年ではないので声をかけられない。そうやっていつの間にか村で孤立していました」

 町に出れば挨拶程度はしてもらえるが、同期で入った20代後半の若者が青年団で働くのに比べ、毎週休日家にいることが多くなった。

 「だんだんと疎外されて休みは家から出なくなりました。家にいるだけなら田舎でも引きこもりと同じですよね。せいぜい村の外にあるホームセンターに買い物に行くだけです。これならある程度便利な都会にいたほうがずっと良かったです」

 彼が応募した時期にはまだ50代までもしくは年齢不問という募集が多かったが、最近では30歳までに限定された募集がほとんどになった。

◆成果を横取りされた後に追い出される

 九州のある県に赴任したFさんはもともとWeb関係の仕事をやっており、面接では地元特産物のPR担当をするはずだった。ところが赴任したら話は変わっていた。

 「今流行のふるさと納税の係になっていました。特産品を集めるために村を歩きまわり、農協を説得し、やっとWEBサイトの公開にまでこぎつけました。ところがそこからが泥沼でした……」

 うまい魚介類で有名なこの地域は、ふるさと納税ブームに乗って爆発的な申し込みが入った。サイトを立ち上げてたった2か月で3000万円近い税収が舞い込んだのだ。そこで事件は起こった。

 「ある日、村役場に出勤してみると年配の女性職員が自分の席に座っていました。そこで突然言われたんです。『この仕事は私がやるから、あんたはそこで封筒の袋詰作業でもしてろ』ってね」

 税収が思いのほか大きく膨れ上がり、村役場はかつてないフィーバー状態。責任者であるはずのFさんのことなどすでに誰も見向きもせず、すべては総務課長の手柄になっていたという。

 「あとで聞いた話では、その女性は総務課長の愛人と噂されていた人だったんです。サイトだけ作らせてあとは全部役場に取られてしまいました。地域おこし協力隊なんて所詮使い捨てですよ。良いところだけ利用されて総務から追い出されました。たった一人での地方移住ですからね。味方なんて誰もいません」

◆”武闘派”の市役所職員の謎

 結局Fさんは、農業指導という名目で田んぼを毎日見て回る仕事に変えられてしまったそうだ。今でもFさんは言う。

 「田舎になんか引っ越すもんじゃありません。余所者は都会では想像もできないような理不尽な目にあいますよ。少なくとも親戚や妻の身内が住んでいるとか血縁がある場所でないと地元の人は人間として扱ってくれません」

 この地方は、昔から喧嘩っ早い地域とも言われており、総務課長は”武闘派”の一人。なんでも飲み屋で喧嘩をして何人も病院送りしにしたという犯罪スレスレの「武勇伝」の持ち主だった。抵抗しようにも手を出されたらインドア派のFさんに敵うわけはない。Fさんは利用するだけ利用され、1年を棒に振ったと嘆く。

 「こんな危険な人物が役所で総務課長をやっているのがおかしいと思いますよね。出ようと思えば出られるのに、都市部の大学を出て田舎の役所にいるっていうことは何か訳があると知りました。都会者はそのへんの裏事情に疎いのでうっかり田舎に行くと大失敗しますよ」

 現在出ている地域おこし協力隊の募集要項を見ても、移住促進担当が一番多く、次いで道の駅の職員という募集もよく見かける。所詮、どれも役場にとっては国がお金を出してくれる無料のアルバイトが欲しいだけ。地域おこし協力隊のその先の人生など欠片も考えていないのが実情なのかもしれない。

<取材・文/小手平走歌 写真/zzr>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:10/9(日) 16:29

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