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築地は「食のプロ」が生み出した伝統文化だ

東洋経済オンライン 10/9(日) 13:00配信

 日本最大の市場、「築地市場」。東京都中央卸売市場の一つとして、日本、さらには世界各地から多様な食材が集まり、取扱品目は水産物で約480種、青果物で約270種と、圧倒的な品ぞろえを誇る。特に水産物の取扱規模は年間40万トン以上と世界最大級だ。

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 江戸時代の日本橋魚市場から、現在の築地に移転開場してから約80年。世界をも圧倒する築地市場の魅力に迫る。

■食のプロが集まる市場

 築地の一日は、日付が変わる頃から始まる。

 深夜0時。次々とトラックが入場し、各地から運ばれてくる品物を降ろしていく。

 夜明けが近づくとともに場内には、たくさんの人と運搬用のターレット車が行き交い、活気があふれてくる。

 築地市場には選りすぐりの生鮮食料品だけでなく、食のプロたちも多く集まってくる。特に水産物に関しては、魚種によって専門が細かく分かれ、経験豊富な一流の目利きたちがそろっている。

 深夜、築地市場に入ってくる水産物は、まず「大卸(おおおろし)」と呼ばれる卸売業者のもとに集められる。

 そこから魚種ごとに「せり」による価格交渉や「相対(あいたい)売り」と呼ばれる売買が明け方からおこなわれ、市場内に店を持つ「仲卸業者」や自社流通を持つ「売買参加者」へと販売されていく。

さまざまな魚のプロたちを通じて消費者の元へ

 仲卸業者の手に渡った商品は小分けにされて市場内の店頭に並べられ、品物を仕入れにきた小売店や飲食店などの「買出人」へと販売される。

 産地から築地市場に届いた水産物は、こうしたさまざまな魚のプロたちを通じて消費者の元へと届けられるのだが、そこに至るまでには、プロそれぞれにさまざまな勝負があるという。

 我々は築地市場を舞台に日々闘う魚のプロたちに話を伺った。

■水産物流通の心臓部を担う「大卸」

 午前10時。普段なら市場が一日を終えようとする時刻だが、取材に訪れたこの日は台風が日本に上陸していたこともあり、せわしない空気が市場内に漂っていた。

 「産地に今日の漁獲状況を確認し、明日の入荷情報を仲卸や売買参加者に伝えているんですよ」と教えてくれたのは、築地市場に所属する大卸7社のうちの一つ、中央魚類株式会社のせり人、柏葉勝巳さん。

 聞くと、せり人の仕事とは、市場に入ってきた水産物をせりにかけるだけでなく、産地と密にやり取りをし折衝することで、仕入れる魚種やその量のバランスをとるという役目も担っているのだという。

 「台風は海が荒れるだけでなく、交通をマヒさせ、物流がストップしたり、産地で水揚げをさばく人たちが出勤できなかったりするでしょ。そうすると台風が去っても荷物が届かないんです。気候以外にも地域によっては風習で漁を行わない期間があり、仕入れがストップすることもあります。海のことだけでなく陸の交通状況や、人員体制、地域の文化など丸ごと産地のことを分かっていないと仕入れはできません」。

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最終更新:10/9(日) 13:00

東洋経済オンライン

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