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安住アナと居酒屋を放浪する吉田羊、放送作家が驚く「台本にないキャラ」とは

週刊女性PRIME 10/10(月) 16:00配信

古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第6回は樋口卓治が担当します。吉田羊 様

 今回、私が勝手に表彰するのは女優の吉田羊さんである。牛田モウでも吉田類でもなく吉田羊だ。

 大根仁監督の渋さ鋭さ全開の映画『SCOOP!』を観た。ハイエナのごとくスキャンダルを狙う男たちを束ねる副編集長・横川定子役が吉田羊だ。大根監督の繊細な演出、小道具の電子タバコをふかしイライラしながら男達を仕切る姿を見ると「この編集部、本当にありそう!」とグイグイ引き込まれる。

 二階堂ふみ演じる新人記者・行川野火を母のように見守り、一瞬見せる視線に女の情念を感じ、福山雅治演じる中年パパラッチ・都城静とのただならぬ関係がわかる。ワンシーンごとに観客が想像を働かせ脳内で自らの物語を構築してゆく。いい役者が揃ったいい映画の特徴だ。

 と、真面目な感想を書きたくなるくらい吉田羊の存在感はすごい。

 TBSテレビ『ぴったんこカン・カン』に安住アナとコンビを組んで居酒屋を放浪する企画がある。そば焼酎・雲海の一升瓶を抱えた途端、コメディエンヌさを発揮し、バラエティーにも居場所を作る。

 普通、女優がバラエティー番組に出ると、サービス精神ゼロの番宣臭を漂わせるのだが、吉田羊ははしゃぎすぎることなくいい感じのノリを見せてくれる。

 安住アナと漫才のようなやりとり。乾杯で、どっちのグラスが下か(目上の人と乾杯する時、少し下げて当てるのがマナーらしい)で、何度も乾杯をする。放送作家が台本に書けないアドリブで盛り上がるのだ。

作家の台本をさらに面白くする女優、吉田羊

 秋に自分の小説が映画化される。『ボクの妻と結婚してください。』。この映画で吉田羊は織田裕二演じる、余命半年の放送作家・三村修治の妻、三村彩子役。夢のようなキャスティングだ。

 撮影現場に何度か足を運ばせてもらった。お会いしているうちに原作者という立場を利用して女優と打ち解けて、「羊ちゃん!」なんて呼ぶようになっているのかな~とにんまりしていたが、実際、現場に行くとあまりの集中力に声すらかけられなかった。柱の陰から見守っているのが精一杯。

 そして完成した映画を観て、吉田羊の演技に感涙。普通の観客になってしまう。

 放送作家は青島刑事と違って「事件は会議室で起きているじゃない、現場で起きているんだ」ではなく、ほとんどが会議室で行われる。タレントましてや女優と接することは滅多にない。しかし、出演者の一挙手一投足をイメージして企画を練る。それを本番でいとも簡単に超えていく出演者は、番組を面白くする。それが吉田羊だ。

 役者のみならずコメディエンヌを一生懸命演じる人がいると、裏方の放送作家も負けられないと奮起し、それに恥じない番組を考える。そんな演者とスタッフの共犯関係が今、とても楽しい。

<プロフィール>
◎樋口卓治(ひぐち・たくじ)
古舘プロジェクト所属。『中居正広の金曜のスマイルたちへ』『ぴったんこカン・カン』『Qさま!!』『ぶっちゃけ寺』『池上彰のニュースそうだったのか!!』などのバラエティー番組を手がける。また『ボクの妻と結婚してください。』など小説も上梓。9月15日に4作目『ファミリーラブストーリー』(講談社文庫)が発売。映画『ボクの妻と結婚してください。』が11月5日全国東宝系で公開。

文/樋口卓治【第6回】

最終更新:10/10(月) 17:48

週刊女性PRIME

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